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#0:プロローグ

新作です。少し前から、こんなの書いてみたいなぁとは思ってたんですけど、機会がなくて書けませんでした。

(残酷な描写ありは保険です。多分、ないと思いますけど一応)



「それじゃあ今日も一緒に帰りましょうか?」

「うん、早く早く!」

「分かったよ」


 俺――月田 優也がやれやれとため息をついた。そして手を片方ずつ差しだすと二人の少女は嬉しそうに、俺の手を仲良く片方ずつ取った。


「なぁ、美姫?」

 

 俺の左手を握っている少女の方を向き、問いかけた。すらっとした黒い髪に、モデルのような美しい顔立ち、それでいて名家の出で立ちである彼女――神無月 美姫がそこにいた。彼女は俺の問いかけに対して、コテンと可愛らしく首を傾げた。


「はい、どうかしましたか?」

「どうかしましたじゃなくて……どうなってるんだこれ?」

「どうもこうもありませんよ?」

「そうだよ、私たちの仲は永久不滅だもん!」


 俺の右手を握っている、薄茶色のショートカットの少女が元気にそう言う。身長が少し小さく、大きな目と可愛らしい唇によってどこか幼さを感じさせる彼女――東条 天音も美姫と同じく俺の幼馴染である。


 そんな二人は、幼馴染である俺から見ても美人である。噂程度だが、校内の女子人気ランキングというものがあり、彼女たちは常に一位二位を争っているらしい。まぁ、納得だが。そんな彼女たちと幼馴染であり、これほど距離が近ければ当然周りの男子からの視線が痛い。


 いや、少し違うか。二人とも、以前まではただの幼馴染だった。――いや、これも語弊があるか?仲の良い幼馴染といったほうがいいか。高校二年生の異性にしては、仲が良すぎるのかもしれないが、三人で手をつないで帰ったりするほどだ。


 それでも普通に手をつなぐだけだった。しかし、今は指と指を絡ませながら手をつないでいる。恋人つなぎというやつだ。こうなってしまった原因は俺にある。だけど、まさかあの流れで彼女が二人できるとは思ってなかったんだよ!?




――時は遡り、一週間前。


 俺は人生大一番の勝負に挑もうとしていた。それは、美姫への告白である。普段から一緒に登校している幼馴染の女子が二人いて、その内の片方が彼女である。昔から美姫のことも天音のことも大好きであった。しかしながら、それはドキドキするというより一緒にいて楽しいといった家族間での好きなようなものだった。


 しかし、二人が成長するにつれて徐々に二人のことを女の子として意識し始めてしまっていた。中学生の時、異性といることが恥ずかしくなってしまった時期があった。その時、少し距離を置こうとしていたのだが二人はそれを許してはくれず、三人でずっと一緒にいた。

 そして高校に入ってすぐに俺は恋に落ちた。天音ではなく、美姫に。勿論、天音のことも好きだし、可愛いとは思う。だけど、ふとした時に誰の顔が浮かぶかと言われたらやっぱり美姫だったのだ。


 俺は彼女に告白をしようとした。しかし、出来なかった。そもそも、恋人に近しいくらい元々の距離感が近すぎたこと。美姫はモテモテで告白する人が後を絶たなかったこと。それに何よりも、天音との関係を壊したくなかったからだ。


 美姫への告白が成功するにしろ、失敗するにしろどちらにしろ三人で一緒にいることは難しくなってしまうだろう。そう、思って一年ほど全く告白する勇気も持てずにただただ時を過ごしていた。相変わらず、距離の近い幼馴染にドキドキしながらも心臓に悪いであろう日々を過ごしていた。


「ただ、いつまでもこのままじゃ行けないよなぁ」


 ただ心のどこかでずっとそんなことを考えていた。


――そして一週間ほど前、ついに美姫への告白を決意した。学校の屋上に彼女だけを呼んだ。


「美姫、話がある」

「は、はい。あれ、天音ちゃんは呼んでいないんでしょうか?」

「ああ、お前だけに話したいことがあったから」

「わ、私だけにですか?」


 何を言ったのかは覚えていない。断られるかもしれない、そう思って頭の中は真っ白だった。気が付いた時には俺はじっと彼女のことを見つめて、返事を待っていた。


他にも作品を投稿しているので、是非是非そちらのチェックもお願いします。

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