表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
タイムリープ〜悪女の烙印を押された私はもう二度と失敗しない  作者: 結城芙由奈@コミカライズ連載中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

89/152

第6章 15 馬車の中で

 馬車から降りてきたのは黒いフロックコートを着た若い男性だった。


「どうされのですか?」


男性は私を見ると尋ねてきた。


「はい、実は具合が悪い男性がいるのです。すぐにどこか開いている宿屋に連れて行って休ませてあげたいのですが・・・。」


私はベンチでうずくまっているオスカーをチラリと見ると言った。


「あちらの方ですか?具合が悪いと言うのは・・・。」


「は、はい・・そうです。」


私が頷くと男性は言った。


「良いでしょう。ならこの馬車に相乗りしましょう。実は私も宿に泊まっているのです。私と一緒に行って、そこの宿屋に空き部屋があるかどうか、確認してみましょう。」


男性は笑みを浮かべながら提案してきた。


「本当ですかっ?!ありがとうございますっ!」


ああ、なんてついているのだろう。馬車に乗せてもらえるだけでなく、うまくいけばそのままオスカーを宿屋に止めてあげることが出来るかもしれないのだから。


「本当にありがとうございます。あの、お名前は・・・。」


すると男性は言った。


「いえ。お互いに名乗るのはやめにしておきましょう。見たところ・・・あなた方は訳ありのように見えますし、私もある理由で身分を明かせないので。」


「そうですか・・・分かりました。」


男性の言葉はある意味助かった。今ここで私が名乗れば正体がばれてしまうことになるかもしれないのだから。


そしてそんな様子の私たちを御者はじっと見つめていたが、不意に声を掛けてきた。


「お客様。それでどうされるのですか?」


「この女性と、ベンチにいる男性を私が宿泊している宿まで乗せていくことにするよ。君も手を貸してくれ。」


「はい、分かりました。」


そして御者と男性が2人係でオスカーを支えて馬車まで運んで乗せてくれて・・・馬車は走り出した。





ガラガラと走り続ける馬車の中―



「どうもありがとうございました。」


私は隣に座る男性に声を掛けた。オスカーは向かい側の席で横たわっている。意識はまだ戻っていないようだった。


「いえ・・・あまりにもお困りのように見えたので・・・貴族のお嬢様が身体を張って馬車を止めるほどですから、よほどのことがあったと思ったからです。」


男性の言葉に私は反応した。


「何故・・・私が貴族の娘と分かったのですか・・?」


すると男性は答えた。


「そんな事は・・・貴方の服装を見ればわかります。それに言葉遣いからも・・。」


「・・・。」


何と答えればよいか分からず、思わず黙っていると男性が再び声を掛けてきた。


「あの方・・・随分酷い傷を負っていますね。治療の跡が見られましたが・・・あんな傷で動き回るのは無茶ですよ。」


「はい・・・おっしゃる通りだと思っています。」


「何があったのかは聞きませんが・・・本人に、あまり無理をしないで動き回らないように伝えた方がよいですよ?傷がひらいてしまいますから。」


「ええ・・・そうですね。伝えておきます。」


私はギュッとスカートを握り締めた。すると再び男性が口を開いた。


「宿屋に着いたら、傷の様子を診てあげます。」


「え?」


「実は・・私は軍医だったのですよ。戦争が終わり、これから故郷へ向かう旅の途中だったのです。」


「そ・・そうだったのですか?大変でしたね・・・戦争に行かれていたなんて・・ご苦労されたのですね・・。」


「ええ、確かに大変でした。でも私は内科医だったのですが、おかげで怪我の治療も上手になりましたし。」


笑みを浮かべる男性に私も微笑み返したその時、馬車が止まった。


「ああ・・・どうやら宿泊先に到着したようすね。ではあなたはここで待っていて下さい。部屋の空きが空いてるか宿で聞いてきますから。」


「すみません。何から何までありがとうございます。」


礼を述べると男性は口元に笑みを浮かべ、馬車を降りて御者台の男性に何か話しかけ・・ホテルの中へと入って行った―。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ