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第38話 初仕事

翌朝。


兼業ハンターになって初めての週末。

金の日に登録したので、翌日には早速依頼を熟せるのは有難いと思うエリアス。

(デイジー先生、ナイスなタイミングだ)


エリアス達が受注したのは、大都市フィアラルを含む広大な土地を治めるマグナス大公が発注した依頼だ。


エリアスは作業服に着替え、待ち合わせ場所に行こうと部屋を出た。

扉を開けると、そこには俯いたまま微動だにしないソフィーの姿があった。

一体何時から居たのだろうか。

魔力探知と受動探知で、常に周囲の状況に気を配っているエリアスが、全く気付かない程の ”超高度な遮蔽術式(ギリード)”……。


「院長? 何してんの?」

「…………」

「院長!?」

「エリアス君……」

「はい?」

「聞きたい事がある。

30代バツ1子持ちの何が良いのかね」

「…… 院長? 朝から何言ってんの? 怖ぇよ」

「10代20代30代の未婚女性に興味は無いのかね!!? どうなんだね!!? ん!!!?」

「…… 今日は朝からの依頼を受けてるので失礼します」


足早に立ち去ったエリアス。

勿論、心の中は穏やかではない。

何故、ソフィーは事ある毎に絡んで来るのか。

何故、初めての依頼の日にナーバスにならなくてはならないのか。

何故、冗談を真に受けるのか。

尽きない”何故” を振り払い、エリアスは集合場所へ急いだ。


………………………………………………………………



「なぁエリアス。本当に良かったのか?」

「ん? 当ったり前だろ?」


マグナス大公、つまりセシルの父が発注した依頼とは、市内の清掃だった。

討伐依頼も受けられるAAランクなのだ。彼等に適当な依頼は他に山ほどある。


「討伐以外も経験しておくべきだろ?」


そう言うと、市の職員に担当する場所を確認するエリアス。

どうやら、彼等が担当するのは市内を流れる川の掃除の様だ。


「よしっ!! 重力操作を活用して川底のゴミ拾いだ!!」

「「おーーっ!!」」


水深はお尻ぐらいまでなので、支給された胴付き長靴を装備し川に入るメンバー達。

重力操作を駆使して、川底のゴミを徹底的に引き揚げさせるエリアス。

基本の重力操作に”遠隔” の術式を組み込む方法を教えた様だが上手くいくのだろうか。


「触れてない物を浮かすの難しい!」

「ちょっとぉ! 普通に道具使った方がいいんじゃなくて!?」

「慣れるんだ。万が一慣れたら、相当便利だ」

「万が一って何よぉ!?」


文句を言っていたメンバーも、開始から3時間程で慣れた様だ。

巨大な荷馬車の様なカゴに、器用にゴミを入れていく。


珍しい光景だったらしく、大勢の人が集まってしまったがお構い無しだ。


生徒達が受注した依頼を確認しにギルドに行ったデイジーは、CROSS ROADが市内の清掃を受注した事を知ると、広場へと向かった。

他のパーティーは、薬草の採取や薪として利用される枝などを取りに市外へ出ているので、一番近い所から見て回ろうと思った様だ。


広場へ向かう途中、川沿いに大勢の人が集まっている事に気が付く。

(お祭りなんかやってたかしら……?)


見ると、CROSS ROAD一行が川のゴミを重力操作で器用に集めて回っているのだ。

驚かない筈もない。

(な!? あの子達、いつの間に遠隔の重力操作を!?)


「エリアス君! お金出てきた!// 金貨ザクザク///」

「お金はお金で纏めとくんだ。金貨ザクザクはヤバいお金かも知れないから、後でギルドに持って行くぞ」

「うぅ…… お駄賃……」


一瞬しょんぼりしたクルミであったが、気を取り直して作業を続ける。


「…… この子達、相変わらず優秀ね」


問題等ある筈もなく、デイジーは市外へと向かうのであった。


……………………………………………………………



午後4時。


みっちり働いたエリアス達が集めたゴミは約4t。

どうやら、結構な範囲を掃除した様だ

それをゴミ捨て場に運ぶと、ギルドに報告である。


「ご苦労さま。綺麗に見えるけど結構ゴミあったでしょ?」

「川底のゴミは4tぐらいだ。

それと金貨が180枚出てきたんだが」

「4t!? 金貨!?」

「う、うん」

「ゴミも金貨もすごい量ね……大変だったでしょうに。

金貨はギルドから騎士団に報告しておくわ」


この依頼の報酬は、一人銀貨5枚。

日本円に換算すると、約10,000円程だ。

しかし、受け取ったのは、銀貨6枚である。


「ん? 多くないか?」

「+1枚は、マグナス様からのお駄賃よ//」

「マジか!? お礼言わなきゃな!」


何だかんだで、かなりの魔力を消費したメンバーは、寮に戻ると食事を済ませ部屋に直行した。

明日は休みなので、女子は早起きして臨時収入でカフェに行くそうだ。


時刻は午後8時過ぎ。


エリアスは部屋に戻り、ベッドで横になっていた。

夢中で掃除をしていたので忘れていたが、一人で居ると朝のソフィーを思い出してしまう。


(興味は無いのかね……か。


思い返せば、記憶を消して転生している妻を探すのが難し過ぎて、もしかしたらと思う人が居ても、違った時の事を考えて遠ざけてしまっている。

でも…… それじゃダメだよな)


エリアスは着替えると、マグナスから貰ったお駄賃とヘソクリを手に夜の街へ消えて行った。

とある店の前で立ち止まったエリアス。

時間も時間なので開いているか心配だったが、大都市なので大丈夫だった様だ。

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