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第2話 親の脛を……

色々な話を聞いて、今後の事を意識しだすエリアス。

今後の事も大事だが、勇者の必須技能である剣術を身に付けないといけない事に気付く。

そして、剣を持っていない事にも気が付く。

勇者になりたいと言う息子の言葉を聞き、父と母は、今後の進路について色々と話をしてくれた。


この世界では、16歳を迎える年から働く事が可能になる。

魔法学院という所に入学するのも、この時期だ。

家業を継ぐのも良し、何処かに就職するも良しなのだそうだ。

そして、戦闘系の職業を希望する者は、各都市にある”ハンターギルド”に登録し、依頼を熟しながら腕を磨くか、魔法学院に入学して2年程勉強するらしい。


そして18歳になる年、ギルドでのランクが高い者、学院での成績が優秀な者は王国騎士団から入団許可証が贈られる。

贈られるが、無視して構わない。

何故なら、18歳になる年は成人の儀式が行われ、神から”天職”を賜るからだ。

国としては、優秀な人材は欲しいが神の意思を無視する訳にはいかない。

総力戦となれば、徴兵すればいいだけの話なので強制していない様だ。


ハンターとして活躍を続ける者も居れば、戦いから身を引く者も居るが、まぁ、それでも半数は騎士団に入り国防に従事しているようだ。


(魔法は自分で創るぐらい知識有るし……ギルドに登録して、実戦経験を積むのがいいかもな)


何となく、ギルドに興味を示すエリアスであった。


……………………………………………………



その後も、相変わらず魔物の森に入り、下位の魔物を討伐する日々。

そんな日々の中、エリアスは気付いた。


「武器が欲しい……」


魔王時代は、己の四肢と魔法、そして神の能力で戦っていたので武器が無くても問題無いのだが……


「勇者といったら、やっぱり剣!華があっていいよな〜。

剣術は苦手だが止むを得ん!」


だが、それ以前の問題がある事に気が付く。

金を稼ぐ手段が無いのだ。

下位の魔物は倒すと消滅するのみで、魔石の回収は疎か希少部位を回収して販売する事も出来ない。


「くっ……貧乏だったぜ……。イザベラ、金貨を転送してくれ」


ダメです。

7歳児に仕事などある筈もなく、考えた末に辿り着いた答えは……


「今の時点で、親の脛を齧っている状態な訳か……

この際、骨の髄までしゃぶらせてもらおう!!//」


家に戻り、父の帰りを待つエリアス。

(子供っぽさを意識するんだ……そう、俺は創造神だが、今は可愛い7歳児なのだから)


「お、エリアス。今日は出掛けなかったのか?」

「父さんに話があって、早く戻ったんだ」

「パパだけ?ママにはお話は無いの?//」


母も参戦する様だ。

あまり子供っぽくないエリアスが何を言うのか、もう楽しみで仕方無い両親。

想像は膨らむばかりだ。


(更なる高みを目指して、元騎士である俺に稽古を付けてくれと言ってくるに違いない!フフフッ)

(いえ、それは無いわ。

エリアスちゃんは、私を嫁にくれと言い出すわ!そして、私は嫁に行くのよ)

(待ってくれ!じゃあ俺はどうなるんだ!?)

(召使いとしてなら、同居を許可するわ)

(くっ……)


(父さん、母さんヒソヒソ話聞こえちゃってるよ?)

「父上、母上。実は、武器が欲しいのです……」


モジモジしながらの上目遣いでオネダリするエリアス。

そんなエリアスの言葉を聞いた両親は、顔を見合わせ笑い始めた。


「父さん!母さん!僕は真剣だ!」

「ごめんごめん。実は予約してあるんだ。

少し前にエリアスに話しただろ?16歳になったら、学院に入学するか働くか選ぶ事になるって」

「うん」

「エリアスは、勇者に成りたいんだろ?

天職を賜るまでの期間、働くとしたらギルドに登録してハンターだ。学院に入学したとしても武器は必要になる」

「え!?じゃあ」

「そう、この家を出る日に渡そうと思って予約してあるんだ」


その予約してある武器とは、この世界で”神界鉱石(セレスティアル)”と呼ばれている鉱石から製錬される希少金属を混ぜて造られる逸品である。

(あぁ、宇宙を創る時に、邪神界から貰ってきて混ぜ込んだ謎物質ね……)


その武器の特徴は、長期間持ち主の魔力に晒される事により、威力、強度、見た目が変化する点だ。

所謂”育つ武器”なのである。


高価なのは言うまでもないが、基本的に中古市場には出回らない。

家宝として、大切に受け継がれるのが一般的なのだ。


「内緒にしといて驚かせてやろうと思ってたんだけどな。ハハハ」


照れ臭そうに笑う父、その顔を見てエリアスは、武器を強請った事を恥ずかしく思い、思わず視線を落とした。

(骨の髄までなんて……なんて馬鹿な事を考えたんだ……。

木の枝でも何でも良いじゃないか!!)


申し訳なさで死にそうな顔をするエリアスに、父と母は優しく声を掛けた。


「エリアス、たまには我儘もオネダリもいいんじゃないのか?パパは嬉しかったぞ?」

「そうそう♡エリアスちゃんは、普段大人っぽい事が多いから、ママはキュンとしちゃったぞ?//」

「父さん、母さん……」

「ちゃんとした武器は、もう少し待ってくれ。

練習用なら、パパが昔使ってたお古を使うといい」


中刀……木刀の様な見た目だが、短く結構重たい。

鉄が入っているのだろうか、素振りには持ってこいだ。


「張り切って振り回し過ぎると筋肉痛になるぞ?程々にな//」

「うん!ありがとう!//」


こうして、エリアスは武器1号”重たい木刀”を手に入れたのであった。


木刀を手に入れ、森で無双するエリアス。

森での修行に飽きてきた頃、エリアスに弟子入りしたいという人物が現れる。

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