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第12話 イレギュラーな授業

生徒達がユビツメの暴走に付き合わされているなど知らないデイジーと院長。

2人は温泉に浸かっていた。

「マジかよ…… 」


息を呑む生徒達。

そこには、大勢の騎士やハンターが集まっていたのだ。


「お前ら何しとんじゃ! さっさと行かんと獲物(ブツ)が無くなるぞ!!」

「くっ、殺るしかねぇか! 行くぞっ!!」


エリアスの声が響き、CROSS ROADのメンバーは一斉に走り出した。

果たして、これは戦いと呼べるのだろうか……

まだ、入学して数日の生徒達は一般人と何が違うのか……


そう、違い等有るはずが無いのだ。

だが、その”あまりにも未熟” な彼等に手心を加える者は居ない。


屈強な騎士やハンターに揉みくちゃにされながらも、彼等は戦い続けた。


「正面は任せろ! メアリとエレノアは左だ!

クルミとスカーレットは右を任せたぞ!!

セシル! 背後に回り込め!!」


しかし、その激しい戦闘に耐えられずメンバーは次々と脱落していく。


「エリアス……。

私は、自分がどう戦えば良いのか分からない! もう嫌だ! もう訳わかんないよっ!!」


座り込み、頭を抱えながら発狂するスカーレット。

その横では、横たわりピクリとも動かないクルミを抱きながら涙を流しているエレノアとメアリ。

2人ともボロ雑巾だ。


「っ!! セシル!! まだイケるか!!?」


見ると、同じくボロ雑巾になったセシルが地に伏せていた。

相当なダメージを負ったのだろう。

小刻みに震えながらも上体を起こしたセシルは、地面を殴り付けた。


「ユビツメは教師じゃないのかっ!!?

何故だっ!何故 教師が生徒を潰そうとするんだっっ!!!クソがっっっ!!」


機能不全どころの話では無い。

パーティーは壊滅したのだ。しかし、エリアスは最後まで戦い続けた。

仲間の為に、その命を無駄にしない様に力の限り戦い続けたのだ。


………………………………………



その頃、デイジーとソフィーは温泉に入っていた。


「デイジー先生、良いのかね?

授業をほっぽり出して温泉なんて」

「院長が誘ってきたんじゃないですか……」

「そうだったかね? まぁ、今日は無礼講だ!// ゆっくり浸かりたまえ//」


2人が何をしているのかと言うと……

温泉に入りたくなったソフィーが、生徒達の防具を仕入れに行くという用事をでっち上げたのだ。

そして、万が一、事が発覚した時に心細いので、共犯として罰を受けさせる為だけにデイジーを連れて来たのだ。


「ユビツメ先生と生徒達は、今頃何をしているだろうね?」

「今日は体力テストをする様、お願いして来ましたが」

「うんうん。指示しとかないと余計な事をするからね、ユビツメ先生は」


指示していても余計な事をしているユビツメ先生であった。

そんな事など知らず、2人は温泉を楽しむ。


「エリアス君の件だが、実は私も監視しているんだ」

「院長も?」

「出頭命令を出した時に、彼にデコピンをお見舞いしたんだが、その時、ある術式を叩き込んでおいた」

「まさか、魔族追跡用の”纏死霊術式(ケイル)” では無いですよね?」

「そのまさかさ// この術式の特徴は知ってるよね?」

「はい。精度は低いですが大体の居場所を把握出来る術式です。特筆すべきは、相手の”状態” を監視出来る事……」


纏死霊術式(ケイル)は、対象の居場所を特定する為の発信機としての役割を果たす。

そして、デイジーの言うように対象の状態……つまり、魔力と体力の変化を記録する術式である。

魔力の最低値と最大値を把握し、どの程度の戦力が必要なのかを判断する為に使っていたが、近年は魔族も術式の存在に気付き対策している。

魔族に対しては微妙な一世代前の魔法だが、それを知らない者に対しては、まだまだ有効な魔法なのだ。


「興味深いデータが採れたよ//」

「拝見しても宜しいですか?」


まだ2日程しか経っていないが、嬉しそうなソフィーの表情にデイジーも興味を唆られる。


「…… これは一体」

「ね? どう考えても壊れてるよね//」


新入生の魔力量を数値化すると、平均が1200前後。

高い者でも1500程だ。

ソフィーが採取したエリアスのデータは、体力は右肩上がりに僅かに上昇している事を示していた。

魔力量に関しては、平均値の1200を指している。

だが、問題は魔力量ではなく、その推移だ。

記録を始めてから2日の間に起こった事と言えば、起床・ 貴族との決闘・ パーティー編成・ 睡眠な訳だが、魔力量の変化が全く無い。

常に一定の魔力量を記録していたのだ。


決闘の最中は勿論、睡眠中等の無意識な状況下では魔力のコントロールは難しい。


「バカな…… 彼は、戦いの最中も睡眠中も魔力を一定に制御していると?」

「そうなる。術式には気付いてない様だが、彼は何か隠しているよ// デイジー先生は同じ事が出来るかい?」

「私も、常に魔力を一定に”抑えた” 状態を維持しています。しかし、それを常時行うには訓練が必要です」

「相手が弱かったとは言え、戦闘中でさえもここまで緻密に制御するなんて異常だよね// 彼は何者なんだろうね〜」

「……冗談抜きに院長に養って頂いて、監視下に置いておくべきかも知れません」

「やっぱりそうだよね!? 私が養うべきだよね!!//」


仮染めの魂と肉体とはいえ、創造神を養いたいとは無礼な勇者(小娘)である。


「これは余談だが、デイジー先生は相変わらず立派なオッパイだね」

「はぁ……恐縮です」

「半分分けて欲しいよ…… ねぇ? デイジー先生?//」

「…………」

(怖っ……)


「半分はダメかい? じゃあ4分の1でもいいよ?」

「4分の1もダメです。大きくしたいのでしたら、揉んであげましょうか?」

「!!?…… き、君は上司の胸を揉みしだきたいのかね!!? 不埒だ! 厳罰に処すぞ!?」

「…………」

(悪巫山戯で懲戒かよ……)


温泉から出た2人は二束三文の防具を大量購入し、ついでにお揃のブラを経費で購入し帰路に着いた。

(可愛いブラ買って何する……)


買ったブラを装備し、ソフィーはエリアスを誘惑するのではないかと心配するデイジーであった。


…………………………………………………



その頃。

戦闘を終えた生徒達は、てんこ盛り怒られていた。


「どいつもこいつも!! 何しとんじゃぁっ!!!」

「「…………」」

「特に”CROSS ROAD” !! お前等やっ!!!」

「「…………」」

「名門 聖フィアラル魔法学院の生徒が雁首揃えて…… 穴の空いた鎖帷子1枚?…… ゴミみたいな手甲1セット?…… 脛当に至ってはセットにもなってへんやんけっ!! あほんだらぁ!!!!」

「「…………」」

(顔近けぇ……)


「……えぇか? 中古武具()フリマ()は戦場や。

舐めとったらあかんぞ」

「「…………」」


それがイレギュラーな授業だったと、彼等が知る事は永遠に無かった。

翌日、デイジーが教壇に立つと、見渡す限り疲れ切った顔が並んでいた。

だが、気にしないデイジーは、問答無用で体力テストと座学を始めるのであった。

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