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5.全てが終わったその後に5


進む、進む、進む


ウルフ型の魔獣を引き連れた1小隊程度の敵だ!

エレノア!共に前へ!

2小隊は弓構え!1小隊はその後突っ込め!


借りた軍馬に身体強化を施してもらい仲間と共に脇をガムシャラに通り抜けようとする

慌てて阻止しようと対処に来る獣人はバフを受け取れる状況じゃない

まずは先制で落ちる様に馬から降りてブーツに魔力を流し、凄まじい速度で獣人に体当たりする

その際ナイフを脇腹に刺し、遅れて発動し始める熱のエンチャントで傷を焼くのを忘れない

エレノアは弓でエルフを狙い他の魔人の注意を逸させている

その隙にブーツに魔力を込め直し石を魔獣に向かって蹴り、急いで自分の軍馬に戻る

魔獣が攻撃を受け暴れ出し魔王軍の1個小隊の対応が間に合わなくなる頃合いに次々飛んで来る矢と王国の軍隊にこちらの優位な状況に持っていけたのを確認して更に進む


背後に悲鳴と雄叫びの声を置き去りに進む、進む、進む




あの時置き去りにしたモノが一気にフラッシュバックして汗が吹き出る感覚と目眩を覚える

そう言えばあの時オレに尊敬の眼差しを向けていた兵士はどうしてるんだろう?

あの戦争から姿を見なくなった兵士は、ーーー。


「ーーねぇ!大丈夫ですか!」


は、あ、あれ?

片膝をついたまま朦朧としていた意識がハッキリとして揺すられるまで近くに来ていた山女と目が合う


「あ、え?・・・彼は!?」

「夫は、いえ、あの人は貴方の荷物を持ってあっちに」


山女の指差す方には誰かが去って行った形跡は無くオレが彼をみすみす逃していたのを教えてくれた


「そうか」


その場に座りナイフを見つめる

狐を狩った時の汚れと血は洗い落とした筈だが、そのナイフはまだ血で汚れている様に見える気がする

服で念入りに拭き鞘に収めて改めて周りを見ると

焚き火の近くでボロの毛布に包まり寝ている子供と狐の毛皮を手に心配そうにこちらを見ている山女


「その毛皮を持っているって事は、旦那さんが逃げる可能性を考慮してたってことで良いのかい?」

「・・・ええ」

「オレの荷物が奪われるのも想定済み?」

「・・・そこまで出来るとは思ってなかったわ。どちらかと言うとこれが持っていかれると思った」


そう言って毛皮を差し出す山女に呆れて毒気を抜かれる


「とりあえず寝よう。彼と荷物はもう戻って来ない。今は体力の温存、回復が一番重要だ。君たちの今後も含めた話は明日にしよう」

「わかったわ」


子供のもとに戻る山女に夫に逃げられた絶望は見えない

多分彼女は薄々彼が逃げ出すのをわかっていて引き止める気は無かったんだろう

とんでもない事に巻き込まれたもんだ、まったく


明日以降を考えるとげんなりしそうだが、もう今日は寝てしまおう

目に見える脅威が無くなり今度こそ深い眠りに落ちていく



おそらく悪夢になるだろうけど、明日を生き残る為に寝なければ



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