試練の始まり
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8時ちょうど。優輝は岡山県立鬼城高校の校門を潜ろうとしていた。満開のソメイヨシノの花吹雪が校門に集まる俺達、新入生を歓迎しているようだった。そんなことよりもまず目に入ったのは‥‥‥。
ー全国高校駅伝優勝記念碑ー
「すげぇ‥‥‥。やっぱり改めて見ると大きな偉業なんだな‥‥‥。 」
この石碑何時間でも見てられる‥‥‥。それだけ今自分は憧れの場所へのスタートを切ろうとしているのだ。さあ、さっさと入学式済ませて入部届けを出しに行こう。
だが、この石碑の優勝という重みを色々な意味で知ることになるとはまだこの時は思ってもいなかった。
入学式後、入部届けを出しに職員室に向かう途中、多くの部活勧誘をしている生徒を目にした。
「漫画部部員求むー!!」
「バスケしたい奴は今すぐバスケ部へーー!!」
「野球で共に汗と涙で青春しようぜぇぇ!」
どこの部活も部員確保は死活問題なのか、熱心に呼び込みをしている。ただ、そこには陸上部の姿はなかった。
[失礼します!本日、陸上競技部に入部届けを
出しに参りました!大島優輝です!」
いつも以上に張り切った声で顧問らしきスラッとした中年の教師に入部届けを渡す。
「お前‥‥‥、ベストは?」
「え‥‥‥ ?」
「自己ベストだよ。1500でも3000でもいいから。」
明らかに面倒臭そうな話し方をする。
「1500は4分20秒で、3000は8分59秒で
す。走る情熱は誰にも負けません!」
「‥‥‥。」
顧問は優輝の目をじっと見る。ギョロっとした目の上に伊達メガネなので威圧的でちょっと怖い。
「いいだろう‥‥‥。 」
顧問は椅子から立ちあがり入部届けを俺から取る。
「ついて来い。お前のその言葉の覚悟を見せてみろ。」