♯6 初めての剣
「さて、これから剣の稽古を始めるが…生護くんは剣を触った事、ないよな…」
「もちろん本物の剣はありませんが、運動も兼ねて筋トレや木刀での素振りは日課にしてましたよ。」
「ほう、ならこのぐらいの片手剣なら振れるかな。」
そう言うとコンは紺碧の片手剣を渡した。
「そいつはミコトが昔使ってた物だ。そんじょそこらの安物の剣より軽いうえに頑丈だし、ちゃんと手入れもしてある。それを生護くんにあげよう。」
「え!?でもミコト、いいの?」
「私は今この剣を使ってますから!遠慮せずどうそ!」
「やったー!」
「ハハハ!喜んでもらえてなによりだ、さぁ、始めようか。とりあえず、上から×の字を描くように振ってみてくれ。」
「はい…」スゥーッ
深く息を吸い集中する そして…
ブン。ブォン! 生護は軽々と剣を振ってみせた。
「ほぅ、意外と簡単に振るな。だが、剣先がブレブレだ。これじゃ駄目だな。ちょっとこっちに来てくれ。」
コンについていく生護。その先に何かがある。
「これは?」
「これは枯草人形。この人形をさっき振ったように斬ってみてくれ。」
「はい…?」
生護は集中する。
スゥーッ「はあぁぁ!」
生護は勢いよく剣を振り降ろす が…
ガッ! 人形の半分も斬れずに剣が止まってしまった。
「あれ?どうして?」
生護は不思議がる。
「人形の斬り口を見てみろ。ガタガタだろう?これは剣筋が安定せずにブレている証拠だ。…ちょっとその剣を貸してくれ。」
「いいか…よぉく見るんだ。」フッ!
コンが剣を振り降ろすと人形はまっぷたつになった。
「すっ…すごい…」
「コツとしては、腕だけで振るのではなく力を抜いて肩と腰を使って引くように、そして対象に剣が当たる瞬間にグッと手に力を入れるんだ。そうすると剣筋が安定しやすい。」
アドバイスを聞いた生護は早速試す。
スウゥーッ 「ハアァッ!!」 ズバァッ!
人形はまっぷたつに綺麗に斬れた。
「やった!できた!」
生護は喜ぶ。
「すごい…私なんてこんなに綺麗に斬れるようになるまで何日もかかったのに…それをすぐできるようになるなんて…」
ミコトは驚きの表情を見せる。
「まさか1回コツを聞いただけでできるとは、大したものだ。よし!この調子で基本的な事は全部教えようか!」
コンはハリキリ、稽古は数時間続いた。