♯5 つかの間の休息
ガツガツガツガツ
テーブルに並んだ料理を口一杯に頬張る生護。
「んー…」ドンドンッ
喉に詰まったのか苦しそうな表情を見せる。
「ゆっくり食べて下さい生護さん!」
ミコトは水を差し出す。
ゴクッゴクッ
「あー苦しかった。ありがとうミコト。」
「もーう、誰も取り返しませんからゆっくり食べて下さいよ!」
「ハハッごめんごめん。お腹空いてたしどの料理も美味しいからつい…」
「いいねぇその食いっぷり!これぞ若者だ!さぁドンドン食え!」ドンッ
そう言うとコンは生護の前に巨大な肉の丸焼きを置いた。
「うわぁ!なんですかこれ!?」
「こいつは今朝獲れたばかりのボアだ。ここまでの大物は滅多にない。さぁ食え食え。」
コンは豪快に肉を切り分け生護に渡す。
はむっモグモグ…
「これ…すっごい美味しい!」
生護は無我夢中でボアの肉にかじりついた。
「ふふふ。よく食べる男の人っていいですね!ね、お父さん。」
「あぁまったくだ。」
こうして楽しい時間はあっという間にすぎた。
「あー美味しかった。ごちそうさまでした。」
満足した生護の様子に二人も嬉しそうだ。
「さて、生護くん、食事もすんだ事だし、少し運動しないか?」
と、コンが提案する。
「運動って、なにするんですか?」
「なに、大した事じゃない。初心者でも扱える剣の使い方を教えようと思ってな。能力が発現していない以上、少しでも戦える手段を身に付けておいた方がいい。」
「剣?剣ですって!?はい!ぜひお願いします!」
生護は逸る気持ちを抑えきれずに外へ飛び出した。
「やれやれ、元気だな。」
「ちゃんと手加減してよお父さん。私とやる時いっつも力入れすぎちゃうんだからさ。」
「大丈夫大丈夫。剣を扱った事のない人には易しく手ほどきするさ。」
「ホントかなぁ…」
少し不安な顔をしながらミコトは二人の様子を見守る事にした。