♯1 異界の地
「ハァ…ハァ…町どころかヒト一人見当たらない…どうなってんだ…」
異世界へ来てから1週間、生護はさ迷い続けていた。木の実や川の水を調達してなんとか凌いでいたがさすがに限界だ。
野を越え山を越え、披露困憊の中、樹の幹に座り込み目を瞑り休憩していたその時、誰かに声をかけられる。
「あの…旅人さん?大丈夫ですか?」
「ん…?」ゴシゴシ
目を開けると霞んだ視線の先に可愛らしい女の子がいた。
「君は?」そう尋ねる生護。
「あ、私はミコトといいます。すぐそこにある"ティリア村"に住んでるんですよ。」
(村?村だって…!?)
驚いた生護は飛び上がる。
「よかった~。この世界に来て間もないのに死ぬ所だったよ。あ、俺は生護、よろしく。」
「はい!…ところで、この世界?って言いましたが、もしかして旅人さん、異界からの来訪者なんですか?」
「…?レスシオン?って、何それ?」
「あ、ごめんなさい。この世界、ミザレストっていうんですけど、ここでは異界から来た人をレスシオンって呼んでるんです。」
????混乱する生護
「あ、あのさ、とりあえず村に案内してくれないかな?情報の整理をしたいんだ。」
「あ、すいません気がつかなくて。こっちです。」
俺は彼女に付いていった。