♯9 能力《スキル》発現
生護「なにが目的かは知らないが理不尽に人を傷付けるなんて…俺はお前を許さない…!」
カイル「別にてめぇに許してもらおうなんて思ってねぇよ!暴れてぇから暴れるそれだけだ!」
生護「暴れたいだけ…?そんな事の為に村を襲ったのか…?」
カイル「他に理由があるか!?この世の中は弱者は虐げられる運命だ!つぇぇ奴がよえぇ奴を虐げる!単純な事だろうが!」
生護「違う!強い人間は弱い人間を守るべきだ!それが人間だろ!」
カイル「…あー…お前アレだ。俺が一番きらいなタイプだわ。そういう綺麗事言う奴、殺したくなるんだよなぁ…ちょっと本気だすわ。」
そう言うとカイルは人型を喚び出した。そして…
ボゥ… ボゥゥ… カイルは人型をその身に取り込んだ。
生護「!なんだよ…それ…!?」
カイル「俺の能力、闇の傀儡の力の1つだ。こいつらを取り込む事で俺自身がその人形の特性を得ることができる…てめぇはもう終わりだ!」
カイルが襲いかかる。ガキィン!
生護「くっ…」
カイル「オラオラァ!さっきまでの勢いはどうしたぁ!」
ガガガガガガ! キンキンキンキィン!
休む間もなく反撃の隙が無いほどの猛攻を仕掛けるカイル。
生護(捌き…きれない!)
ズバババババッ!
生護「うわぁぁぁぁ!」
カイルの猛攻に生護は致命傷を受ける。
カイル「チッなんだもう終わりかよ。はぁ~…じゃ次はさっきの女殺るか。」
生護「ま…待て…」
カイルは無視してコンの介抱をしていたミコトに近づいていく。
ミコト「いや…来ないで…来ないでぇ!」
生護「やめろ…やめろぉ…!」
生護は声を振り絞り止めようとするがカイルは意に介さない。
カイル「よぉく見とけよ…しょせんてめぇは、目の前で殺されようとしてる人間1人助けられねぇ、よえぇ偽善者なんだよ!」
カイルはその鋭利な爪をミコト目掛けて降り下ろした。
ミコト(………!)
生護「やめろぉぉぉぉぉ!!!」
生護が叫んだ次の瞬間、生護の身体が光に包まれる。
生護(なんでもいい!俺に力があるなら出ろ!出ろぉ!)
生護はカイルに向かって手をかざして強く念じた。すると…
ドクン… ガハッ!?
カイルの動きが止まり、いきなり血を吐いた。
なにか力の気配を感じたカイルは後ろを振り向く。
カイル「てめぇ…なにしやがった…!?」
するとカイルは自分とコンが光に包まれていることに気付く。
カイル「なんだ!?この光は!?」
ミコト「え…!?この光…まさか…」
ミコトが周りを見渡すと他の傷だらけの村人達も光に包まれていることに気付いた。
そして… キュイィィ…ン
カイル「ぐわあぁぁぁ!!」ブシャァァァッ
いったいなにが起こっているのか。カイルの全身から血が吹き出す。
カイル「な、なにが起きてやがる…痛ぇ…痛ぇよぉ!」
生護「お前のようなやつを…許すわけにはいかない…!」
生護がかざす手から眩い光が発せられている。
ミコト「間違いない…これは…私の分配の能力。でも、ダメージの分配なんて、私でもまだできないのに…生護さん、やっぱりあなたは…」
ミコトは突きつけられた現実を信じられずにいた。
ブゥン…ブゥン…
続けざまに生護は人型を喚び出した。
カイル「な、ま、まさか…嘘だろ!?」
生護「はぁ…はぁ…行け…。」
シュシュシュン… 人型がカイルに襲いかかる。
ガガガガガ!
カイル「ぐわぁぁぁぁっ!!!」ガクッ
カイルは膝から崩れ落ちた。
カイル「はは…ははははは!そうか!てめぇ…模倣者か!はははは!」
カイル「はぁ~…てめぇが"そう"なら、これ以上は遊んでられねぇな。帰るか。」
そう言うとカイルは指輪に触れる。そして、カイルの姿がうっすらと消えていく。
生護「待て!逃げるのか…!?」
カイル「あぁ?逃げる?舐めんなよ。優先順位が変わっただけだ。てめぇとはまた遊んでやる。もっとも、それまで生き残ってればの話だがな!」
そう言い残しカイルの姿が消えた。
生護「はぁ…はぁ…うぐ!?」
それと同時に、生護の全身に激痛が走る。心臓も締め付けられるような感覚に見舞われた。そして生護は気を失った。