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蛇は色欲の権化みたいなところがある

サンドワーム戦です。

エレン君とくんずほぐれつ。

キラービー以来、2度目の魔物討伐に赴こうとしている俺とエレン。

前回と違い今回は偵察が主な為、慎重に行軍する。

目視で確認できるほどの距離まで詰める。

地面から頭だけを出しているように見えるそれは優に5メートルはあるだろうか。

本体はどれだけの大きさなのか想像も出来ない。

そんな大蛇を前に作戦会議を始める。



「とりあえず様子見がてら一発当ててみるか。

アルフは魔法得意なんだろ?」


魔法が得意など話して無いはずだが自信ありげに聞くエレン。

まぁ、丸腰なんだから普通は魔法メインだって思うか。


「ああ。

周りに障害物もないし派手にいける。」


俺はエレンの提案に即答する。

先生には周囲の被害も考えて威力は最大限抑えろと散々言われてきた。

キラービーの時も、前衛で戦っているエルザやカミラ、それに依頼主の家を気にして本気が出せなかった。

フラストレーションが溜まりに溜まっているのだ。


「オレが注意を引き付ける。

その隙にでかいの頼むぞ。」


「その必要は無い。

この距離で充分だ。」


俺はエレンの提案を断り一歩前へ踏み出す。

大気中の魔素を集め、あの蛇を一撃のもとに屠るイメージを形成する。


異様な魔素の流れにエレンは違和感を覚える。


「おいおい、何する気だ…?」


エレンの不安そうな声を無視し、練り上げた魔素を地面に流し込む。

準備は出来た。後は気持ちよく放つだけ。

今までの抑圧を全て解放するように俺は叫んだ。


「フレイムポール!!!」


瞬間、大蛇を飲み込むように地面から巨大な火柱が上がる。

大蛇は断末魔の叫びを上げる暇も無く蒸発していた。


「マジかよ…」


エレンは信じられない物を見たような表情を浮かべる。


「これで問題解決だな。」


久しぶりの全力全開ですっきりした俺は気分良くそうつぶやく。

直後、とてつもない地鳴りが響き渡る。


「な、なんだ!?」


俺とエレンは動揺を隠せず互いを見やる。


「アルフ、お前何した!?」


明らかに俺のせいの様な現象に思わず問い詰めるエレン。

地殻変動でも誘発させてしまったか!?

焦る俺たちをあざ笑うかの様に大蛇の頭が居た辺りの地面が隆起する。

そこから信じられない物が這い出てきた。


3本首の大蛇。1本は根元から無くなっている。

恐らく、先ほど蒸発した首があれなのだろ。


「あれは何!?」


俺はエレンに詰め寄る。

不測の事態にあわてる俺たちを他所に、頭を吹き飛ばされて怒り心頭な2つ首の大蛇はこちら目掛け走り出す。


「わからない!!!

首が2本ある以外は見た目はサンドワームだが!!!」


突然変異種ではないかと応えるエレン。

迫り来る大蛇に臨戦態勢を取る。


「さっきのあれ、もう一度出せないか!?」


エレンはもう一度、一撃のもと屠れないか問う。

しかしあれには時間がいる。


「無理だ!!

蛇が着くまでに用意できない!

このまま戦うぞ!」


俺は目と鼻の先に迫っている大蛇に向かい魔法を放つ。


「フレイムアロー!!!」


魔素で形成された複数の火の矢が大蛇を襲う。

今放てる最大の威力だが、大蛇の足を少し留めるだけに終わった。


焦りすぎてイメージが曖昧になっているのだ。

自分の不測の事態への対応力の低さが嫌になる。


「グロウラピッド!」


エレンは瞬発力強化の魔法を唱え大蛇に飛び掛る。

体の大きい大蛇は小回りが利かないのかエレンの動きについていけない。

しかし、硬い外皮に阻まれエレンの槍も致命傷を与えるまでに至っていない。


「ファイヤーボール!!!」


エレンに当たらないように慎重に魔法を放つが、気にしすぎて狙いが定まらず中々当たらない。

当たっても威力が足らず少しのけぞる程度。


決定打がない状況にイライラが募る。

何より強力な力を持っていながら役に立っていない状況にどうしようもなく腹が立つ。


負の感情は連鎖を起こし、それはその場の状況にも影響する。


「エレン!!!避けろ!!!」


エレンの隙を突き大蛇の頭の片割れがその毒牙をエレンに突き立てる。

なんとか致命傷を避けるエレンだが、完全には避けきれずに牙の一撃を食らう。

神経毒にやられ膝をつくエレン。

すぐさま駆け寄り、エレンを担ぎ岩陰に隠れる。


「撤退だ、エレン…

俺たちでは勝てない…」


勝ち目など無かった。

エレンがやられた。

もう無理だ。

俺だけでは勝てない。


負の感情が増大するのを感じる。

勝てない。絶対に。そんな考えばかりが頭から離れない。


そんな俺を一瞥し、解毒薬を服用したエレンは再度立ち上がり槍を構える。

即効性があるわけではない。立つのもやっとのはずだ。


「情けねぇ声出してんじゃねーぞ…!

オレたちが下がれば次に狙われるのは依頼主たちだ!」


力の無い声でアルフに言った。


「入試の時に見たお前はもっと自信満々だった。

だから声を掛けたんだ。

根拠の無い、どこから沸いてんのかもわからない自信を持つこいつとなら絶対楽しいって。」


息絶え絶えで語るエレン。

目的は話題のカミラでなく俺だったのだ。


「腰抜け野郎となんて組みく無い。

さっさとどこへ也とも消えろ。」


そういい残し大蛇へ向かうエレン。


キラービーの時も今も。結局、中途半端にしか戦えていない。

チートだなんだと浮かれて、皆の足引っ張ってるだけじゃねーか…


エレンの言葉は俺の心に重くのしかかる。

根拠の無い自信。

ちょっとした事で無くしてしまうそれを今一度持ってみよう。

この戦いだけでも無くさないように。


俺は深呼吸をし立ち上がる。

岩陰から出るとエレンが大蛇の猛攻に何とか耐えていた。


俺は大蛇を見据え得意の魔法を唱える。

いけ好かない試験官を倒したオリジナルの魔法を。


「金縛り!!!」


不可視の魔素の塊は一直線に大蛇へと向かう。

発動に集中が必要な為、実戦での命中率の低い魔法はぶれることなく大蛇へ直撃する。

瞬間全ての動きを止める大蛇。

それを確認するよりも早く俺はエレンに向かって叫ぶ。


「いまだエレン!!!その槍ぶっ刺せ!!!」


それを聞きエレンは動かないからだを無理やり動かし双頭の大蛇の頭を貫く。

3つの頭の機能が停止したサンドワームは力なく倒れた。


2人の始めての共同作業。

今回はあっさり倒せましたね。

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