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王子様系の女の子は胸にコンプレックス抱いていることが多い

蜂の大群って怖いですよね。

「思ったより余裕だったな」


「そうだね!」


キラービーを討ち取った俺たちは勢いそのままに依頼主の元へと向かう。

難なく討伐できた事で俺とエルザは幾分か心に余裕が出来、その足取りを軽くしていた。


それとは対照的にカミラの足取りは重くなっていた。

正体不明の不安に駆られるカミラは自然と口数も減っていた。


「もうすぐ依頼主の家だな。

2人とも心の準備は大丈夫か?」


軽い口調で俺は言う。


「大丈夫大丈夫!」


それに対し同じく軽い口調で返すエルザ。


「……。」


カミラは考え事をしているのか一向に返事をしない。


「おい、聞いてるのか?」


ボーっとしているカミラに問いかける。


「え?何?」


やっと気づいたカミラ。


「目的地が目と鼻の先だが覚悟は出来たかって聞いたんだが。」


俺は少し呆れながらそう言った。


「あぁ、なるほど…

大丈夫よ、多分…」


いつもの自信満々な態度からは想像できないほど力なく答えるカミラ。


「ホントに大丈夫、カミラちゃん?」


そんなカミラを心配するエルザ。


「見えてきたぞ。しっかりしろ。」


道の先にポツンと立つ一軒の家を目の端に捉える。

瞬間聞こえる耳障りな羽音。

しかも1つや2つではない。


「嘘…」


「おいおい、冗談だろ…」


キラービーの群が民家を襲っているが見えた。

まだ距離があるため、正確な数までは確認できないが少なくとも10匹は超えている。


状況を確認するために俺たちは足早に近づく。

ギリギリまで近づき再度確認する。


数は20匹。先ほどの個体と同じ見た目だ。

女王ではないということ。

そして先ほどの個体は繁殖用ではなく働き蜂だったという事だ。


「無理よ…成長が早すぎる…

あれが全部女王の子だったら勝ち目なんて無いわよ…」


カミラはそう言いながら小刻みに震える。

仮にあれらが女王蜂の産んだ全ての個体だったとしても、一般的なキラービーの繁殖数と同等。

あの数のキラービーの討伐だけでも無理がある。

たとえ倒せたとしても後ろには成長しきった女王が控えている。


「巣の形成には1か月かかるんじゃないのか!?」


焦る俺は責めるかのようにカミラに問い詰める。


「ワタシだってわからないわよ!

巣が完成していただけならまだしも、あそこまで繁殖が進んでいるの異常よ!?」


俺の理不尽な責めにヒステリック気味に応えるカミラ。


「まって、あの窓のところ!人居ない!?」


エルザが驚きながら伝える。

それを聞き確認すると確かに人影があった。

間違いなく依頼主だろう。


「撤退よ。絶対に勝ち目がない。

それどころか死ぬ可能性だってあるわ!」


無理やりに平静を保とうとするカミラは控えている女王を危惧し撤退を進言する。


「人が襲われているんだよ!?放っておけないよ!?」


声を荒げながら助けるべきだと主張するエルザ。

一触即発の雰囲気の2人。

そんな雰囲気は一瞬にして壊された。


「悠長にしてられないぞ!?」


突如、キラービーの群れは民間への攻撃を止め、一直線でこちらへと向かってくる。

明らかな敵対行為に焦る俺たち。

気づかれないだろうギリギリの位置にいたはずだったのに。


「マジックシールド!」


突っ込んでくる大群を防ぐため、魔素を練りこみ障壁を前面に形成する。

鈍い音を立てながら3匹のキラービーが障壁に追突し力なく地面に落ちる。


「門番蜂…」


カミラは何かに気づいたように呟く。


「なんだって?」


勝手に一人で納得しているカミラに尋ねる。


「あの匂いは外敵の襲来を知らせるマーキングだったってことよ!

完全に群れが形成されているの!」


巣の周辺を飛び回り外敵と判断した場合、、群れに知らせる役が門番蜂らしい。

カミラが感じたという匂いは警報だったということだ。

風に乗ってあの集団の元へ俺たちに染み付いた匂いが流れていったのだろう。


障壁に阻まれ足踏みをするキラービー。

しかし、障壁の展開されていない上空から何匹か襲ってくる。

頭を使うタイプもいるようだ。


「グロウパワー!」


エルザは身体能力強化の魔法を唱えとっさに飛び上がる。

1匹2匹と得意の体技で叩き落すエルザ。

それに続くようにカミラも剣を引き抜き、エルザの猛攻を抜けたキラービーに切りかかる。


「後ろのは任せた!」


そういい俺は障壁を解除し、キラービーの数を確認する。

9匹。さすがにきつい。

俺はキラービーが攻撃態勢に入る前に速攻をしかける。


「フレイムアロー!」


魔法により炎の矢を大量に形成し、それを民家に当たらないように最低限の狙いを定め打ち出す。

着弾と同時に轟音が鳴り渡る。周囲の水分が瞬時に蒸発し水蒸気による煙が発生する。


その煙の中からこちらへ向かってくる影が3つ。

運よく被弾を避けた個体が針を剥き出しにして襲ってくる。


「ヤバッ!?」


反応が間に合わず、障壁の展開を試みるも間に合わない。

万事休す…


直後、強い衝撃が体を襲った。

キラービーの針に刺されたような感じではない。


俺はエルザに抱えられる形で難を逃れたようだ。

標的を失ったキラービー。


「ハァァ!!!」


後方から駆けつけてきたカミラの剣戟がキラービーに襲い掛かる。

直後、最後の3匹は真っ二つに切り裂かれていた。


何とか働き蜂の討伐を終え、とりあえず安心するエルザとカミラ。


「とりあえず降ろしてくれ…」


いまだにエルザに抱きかかえられている俺は羞恥から顔を赤らめエルザに伝える。


幼馴染の女の子に抱きかかえられていることもそうだが、

偉そうに後ろのは任せた!と言ったのに討ち漏らした個体に殺されそうになったあげく、

2人の助けが無ければ死んでいたかもしれないという情けなさによる恥ずかしさ。


エルザは普段俺が見せることのない表情を見て嬉しそうな笑顔を浮かべる。


「アルフくんのそんな顔初めてみたよ!かわいいね!」


そんなことを言いながら優しく降ろしてくれるエルザ。


「気抜いてるんじゃ無いわよ。

本命が出てきたわよ。」


そう静かに話すカミラの目線の先には、

今までの個体より一回りほど大きい蜂が巣から出てきていた。


主人公君、全然活躍できてないですね。

後衛の癖にイキるからそうなるんですよ。

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