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星空の下で

作者: 神崎 漓莉

こんばんは、神崎です!

七夕をテーマにした短編を投稿させていただきました♪ 数年ぶりの再会が、ふたりの時間に与えたものは……?


よろしくお願いします!

 子どもの頃の記憶にあったちょっと寂しい商店街に、色とりどりの七夕飾りが吊り下げられている。

 少しだけ、その活気が遠く感じた。


 * * * * * *


「わー! 七夕祭とか、久しぶりじゃない?」

「そだね~、こっちにいた頃って、何かあんまりこういうの行こうとか思ってなかったもんね。すっごい久しぶりだと思う」

「ほんとだよ~! ずっと待ってたんだからね? こっち帰ってくるの」


 少し離れた地域の大学に進んでから、2回目の夏。

 祖母の喜寿のお祝いということで呼ばれたのがこの時期だったということと、たまたま今年の7月7日が土曜日だったからそう急いで進学先で借りた部屋に戻る必要もなかったというのが重なったりして、2年ぶりくらいになる地元の空気を味わうことになった。

 そのついでに、もう数年ぶりの、地元を離れる前からあまり足が向かなくなっていた七夕祭に来ることにした。


 それで一緒にいるのが、隣にいる幼馴染みの紗菜(さな)


 小さい頃から、それこそ高校卒業くらいまでずっと一緒にいた、数少ない友達。学校帰りの電車を途中で降りてアクセショップに行ったりしたのも、体育祭の打ち上げとか言ってふたりで焼き肉屋に行ったりとか、休みの日にどこか映画とかカラオケとかに出かけたりしたのも、1番多かったのは紗菜とだ。

 卒業して地元を離れる話をしたのも、紗菜が最初で。


『そうなんだ、気を付けてね。たぶん、星音せいねなら友達とかいっぱいできるよね!』


 そうやって見送られたのにどうしてか引っ掛かったことも、ちょっとだけ頭をよぎってて。

 何でだろう――とか疑問に思うことも何だか煩わしくて、触れないようにしているうちに紗菜とのやり取りも終わってきちゃって。

 そんな経緯があっても、祖母の誕生日会が終わってちょっと暇になってウロウロしていた外で偶然再会したら、2年弱の空白なんてあってなかったようなものになり替わってしまっていて。


 それで、そのまま、気が付いたらこの七夕祭に足を運んでいた。

 わたしたちが生まれる前から毎年七夕の夕方から催される地域振興会のお祭りで、最初に何やら説明みたいのがあって、それからは色々遊んだりもした。

 紗菜が射的の景品をほぼ全部取ってしまったり、買ったりんご飴が大き過ぎてうまく食べられなかったり、いろんなことがあった。

 それで、最後。

 

 商店街の中央辺りにある大きな笹の木に、それぞれ短冊をつけられるみたいで、紗菜がキラキラした笑顔で「せっかくだから行ってみようよ!」とわたしの手を引いた。

 案の定、短冊は近所の子たちに全部取られてたけど、でもその代わり見覚えのある字は見つけた。


「…………」

「ん? 星音、どうかした?」

「あ、……」


 一瞬、こちらに微笑んでいる紗菜の顔が遠くに見えて。

 ふと思った。

 あの日(・・・)、本当に紗菜は笑ってわたしを見送ってたのかな?

 もしかしたら……?


 七夕の日、また会えるのを待っていたのは織姫と彦星だけじゃないんだ、って。目の前で首を(かしげている紗菜を見ながら、少しだけ頬が熱くなった。 

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