ifストーリー これはひどい
今回はもしもの世界になります。「もしも、ホウリの呪いが無かったら?」です。もしかしたら、違うもしもの世界を書くかもしれないです。
ちなみに、マイブームである特撮の影響が色濃く出てたりしますけど、気にしないでください。
────ホウリ君の呪いを何とかしてほしい?
「そうじゃ。なんだかんだ、ホウリが他の武器を使えんとわしらも困る事が多くてのう」
────うーん、前にホウリ君に言ったんだけど呪いを完全に消し去る事は難しいんだよね。私が下界に行ければいいんだけど、それも難しいし。
「短時間でもいいんだが、それでも厳しいか?」
────まあ、呪いが弱くなる日があるから、その日であれば何とかならない事もないよ。
「いつですか?」
────明日
「早くないか?」
────私がコントロールしてる訳じゃないし。
「それ以外の日は無理なのか?」
────次は100年後になるね
「明日以外の日は現実的ではないな」
「明日は何か戦闘をする予定はあったか?」
「特にないな」
「であれば、明日呪いが無くなっても意味が無いな。何か有効活用する方法はないか?」
「あ、僕は本気のホウリさんと戦いたいです!」
「俺はいつも本気だぜ?」
「そうでは無くて、ホウリさんには前の世界で使っていた手段を用いて戦って欲しいんです」
「呪いがどうにかなったとしても装備は元の世界にあるしな。どうにか持ってこられればいいんだが難しいな」
────持ってくるものを指定してくれれば私が届けてもいいよ?
「本当かみっちゃん?」
────別に手間じゃないし良いよ。
「助かる。それじゃ、『カプロボのケース』と『exバトン』と『チップ』と『ハンドベルト』を頼む」
────了解
「待ってくれ、何一つ分かるものがなかったのだが?」
「全部この世界にはない物だからな」
「ということはホウリさんの世界では当たり前の物なんですか?」
「いや、知り合いの発明家が作ったやつだから、一般的じゃないな」
「どんな装備なんじゃ?」
「それは……」
「それは?」
「明日のお楽しみだな」
☆ ☆ ☆ ☆
という事をみっちゃんと話した日の翌日、わしらはとある戦場を貸し切っていた。
戦場の横のベンチで座っているわしらの前でホウリが手を組んでいる。
「ルールは戦闘不能になるか降参した方が負けにしよう。まずは誰がやる?」
「はいはーい、ノエルからやる!」
「了解、準備が出来たら言ってくれ」
そう言うと、ホウリは警棒のように細長い棒のようなものを取り出した。所々に青く光る筋が通っており、一目でこの世界のものではないことが分かる。
「なんじゃそれ?」
「これはexバトン。色んな武器に変形できる武器だ」
ホウリが掲げているexバトンを見てみるがボタンなどは付いておらずどう変形させるかはさっぱりわからん。
「どうやって使うんじゃ?」
「実戦で説明しよう。いくぞノエル」
「うん」
そう言うと、ホウリとノエルは戦場へと入っていき離れた位置につく。
「色んな武器になるなんてホウリさんらしい武器ですね」
「そうだな。どういう風に悪用するのか楽しみだ」
色んな武器が使えるホウリには相性がよ武器かもしれない。じゃが、具体的な使い方は分からぬし、ホウリが言っていない機能もあるかもしれぬ。ホウリの事じゃし、何か企んでおる可能性も考えられる。
ノエル相手にそこまで無茶はせんじゃろうが、中々に心配じゃ。
「ノエル、準備は良いか?」
「うん!」
ホウリがexバトンを右手にもって構える。その様子を見たノエルはリボルバーを取り出してホウリに向ける。
「行くぞ!」
ホウリがノエルに向かって走りだす。
向かってくるホウリにノエルは数発発砲したがホウリは飛んできた弾丸をexバトンで弾いて更にノエルに接近する。
「くっ!」
ノエルは足のホルスターに入れていたナイフを取り出して、ホウリが振るっているexバトンを受け止める。だが、体格差からか徐々にノエルが押され始めた。
「うっ……はあ!」
力負けしそうになったノエルだったが、瞬時に魔装を発動して、力づくでホウリを弾き飛ばした。
再びホウリと距離を取ることが出来たノエルはすかさずホウリに向かってリボルバーを向ける。それを見たホウリは劣勢な筈の状況でニヤリと笑った。
「確かに近距離の相手と距離を取るのは正しい。だが今回は不正解だ!」
ホウリはそう言うとexバトンを一撫でした。すると、exバトンが「くの字」に折れて銃の形へと変形した。
「バトンの形が変わった!?」
「なるほど、ああいう形で変形するのか。便利な武器だな」
ホウリは変形させたexバトンでノエルに狙いを付け引き金を引く。すると、exバトンからエネルギー弾が発射され、ノエルに向かって飛んでいく。
ノエルはエネルギー弾を紙一重で横に回避して、ホウリに向かって発砲する。しかし、ホウリは弾丸をexバトンで叩き落して、立て続けにエネルギー弾を発射する。
何度も弾を叩き落とせるとは、思った以上にexバトンは固いんじゃのう。
わしが呑気にそんな事を思っている間にも、ノエルはエネルギー弾を回避している。
「くっ……」
だが、エネルギー弾の発射速度はかなり早い。さっきの発砲で弾が切れたのか、リボルバーはホルスターに仕舞っており、エネルギー弾はナイフで弾いている。この状況では弾を込めるスキは無さそうじゃし、よい判断じゃな。
「はああああ!」
「やあ!」
ホウリがエネルギー弾を打ち続け、ノエルはナイフでそれを捌く。もちろん捌ききれないエネルギー弾がノエルに命中することもあるが、セイントヒールでダメージは即座に回復している。つまり、状況は硬直しておるということじゃ。この状況はどちらかが動くまで続くのじゃが、わしの予想が正しければ先に動くのは────
「お兄ちゃん覚悟!」
やはりノエルじゃったか。
ノエルがナイフを構えてホウリに向かって突進していく。ホウリはエネルギー弾をノエルに打ちながらもその場を動く様子はない。ノエルを迎え撃つつもりなんじゃろう。
ノエルがホウリに向かって走って距離を詰める。2人の距離が数メートルまで迫った時、先に仕掛けたのはノエルだった。
ノエルは振りかぶり持っていたナイフをホウリの顔に向かって思いっきり投げる。ホウリは投げられたナイフを指で挟んで受け止める。
「貰った!」
ホウリの視線がナイフで隠れている間に、ノエルは魔装を使って殴りかかる。ホウリは予想していたのか避けようと左に動くが、ノエルの方が速くホウリに拳が迫る。ノエルの勝ちじゃ!わしがそう思った瞬間、ホウリの視線がわしへと向けられニヤリと口角を上げた。
「フラン!お前今勝ったと思っただろ!」
ホウリがそう言った瞬間、ノエルの背中にエネルギー弾が直撃する。あのエネルギー弾は追尾性能があるのか!
不意の一撃を受けてしまったノエルは何が起こったのか分からないのか、目を丸くしたまま対戦を崩してしまった。それと同時に魔装も解けてしまった。
「がはっ!」
「隙あり!」
ノエルの体勢が崩れた事を確認したホウリはexバトンを撫でる。すると、exバトンはカチャカチャという音を立てて、巨大な大剣へと変化する。
「オラァ!」
ホウリは大剣をノエルに向かって薙ぎ払う。
「うわぁ!」
大剣をモロに受けたノエルは大きく吹っ飛ばされて、そのまま動かなくなった。
「ノエル!」
「安心しろ、死んでは無い」
わしらは思わず駆けだし、ノエルの状況を確認する。ホウリの言葉通り命に別状はないみたいじゃ。
無事だと分かったミエルは安心したのか息を吐く。
「ふー、毎度の事ではあるが焦ったぞ」
「やり過ぎではないか?」
「一撃で仕留めないと回復されるだろうが。勝負するからにはそれくらいは覚悟してもらわないとな」
「むー、必要なことなのは分かるが、ノエルがボロボロになる姿は今だに慣れぬのう」
「気持ちは分かるがな」
気絶させた本人が言うセリフではないと思うがのう。
「それにしても、その武器は中々よいのう。お主にぴったりの武器じゃ」
「変形は何種類あるんですか?」
「ざっと100くらいだな」
「かなり多いな。誰がこんな発明しとるんじゃ」
「俺の同級生」
ホウリの同級生というと16歳くらいか。天才すぎるのではないか?
「まあ、そいつも色々あったし、苦労もしてる。学校でも好き勝手しているが多少は目をつぶっている」
「多少ではない好き勝手とは?」
「学校の破壊からは目をつぶれないな」
「それ以外は目をつぶってるのか」
「隠ぺいするこっちの身にもなってほしいものだ」
「お主はどこに居ても苦労しているのう」
そういえば、元の世界では異能共の相手をしていると言っていたか。今の話を聞くに、この世界にいるほうがホウリにとって楽なのかもしれぬのう。
「次はだれがやる?」
「では、次は僕がやりましょう」
そう言うと、ロワは弓と矢筒を取り出して戦闘準備をする。
「なんだ、やけに自信満々だな?」
「さっきの戦いを見て、少しだけ戦術が固められたので。勝てるは分かりませんが、いい勝負は出来そうな気がします」
「何言ってるんだ?」
「ひょ?」
ロワの言葉にホウリが不思議そうな顔をする。その表情を見たロワは間抜けた声を出して首を傾げた?
「え?何かあるんですか?」
「何かも何も、次はexバトンは使わないぞ」
「え?そうなんですか?」
「exバトンを使わないならば何で戦うのだ?」
「これだ」
ホウリは長方形の薄い箱に腕時計くらいのベルトが付いたものと、ニン〇ンドーD〇のソフトみたいなものを複数取り出した。ベルトが付いている箱には、側面に細長い穴が3つ並んでいる。exバトンよりも何に使うか見当がつかないのう。
「名前はハンドベルトとチップという」
「これはどう使うんですか?戦えそうには見えませんが?」
「戦ってからのお楽しみだ」
「分かりました。では、位置に着きますね」
そう言うと、ロワは素直に自分の定位置へと向かう。恐らく、さっきの戦いの様子からぶっ飛んだ武器ではないと判断したのじゃろう。だが、わしはさっきから嫌な予感がしているんじゃよなー。
心配がぬぐい切れないわしはホウリに直接訪ねることにした。
「ひとつよいか?」
「なんだ?」
「その武器は危険な代物ではないな?」
わしの質問にホウリがため息を吐く。
「俺が危険なものを戦いに使うとでも?使うとしても、扱いを間違えるとでも?」
「それもそうじゃな。悪かった、愚問じゃったな」
ホウリの言葉にわしはやっと安心する事が出来た。考えても見たら、たかが手合わせで危険なものを使う筈がない。多少の搦手は使うかもしれんが、いつもの事じゃし気にする事でもなかろう。
気絶しているノエルを背負いながら安心して戦場の外のベンチに向かうと、ホウリがポツリとある言葉をつぶやいた。
「扱いはばっちりだ。何せ俺の切り札の一つだからな」
まて、今何と言った?切り札?前の世界の?
ホウリの言葉にさっき以上の不安感が湧いて出たが、2人が戦闘準備をしているのを見ておとなしくベンチに戻る事にした。少しでも危険を感じたらすぐにでも止めよう。わしはそう心に誓ってベンチに座る。
装置を腕に着けたホウリがロワへと大声で話しかけた。
「俺は準備出来た!そっちはどうだ!」
「僕も出来ました!」
「了解!いつでもかかってこい!」
「はい!」
ロワは矢筒から矢を引き抜き弓に番える。そして、ホウリに狙いを付けると弓を引き絞った。
「……行きます!」
ロワは立て続けに3本の矢を連続で放った。その内の1本は5本に分裂し、計7本の矢がホウリに向かって殺到する。今までであれば矢を1本放って様子を見る所から始めていたが、今回はホウリが体勢を整えるまでに勝負を付けるつもりみたいだ。
それを見たホウリは顔色一つ変えずにハンドベルトの側面にチップを3つ差し込む。そして、腕を上に掲げると高らか叫んだ。
「変身!」
叫んだ瞬間、腕の装置から赤、黄、緑の光の板が出現して飛んできた矢を全て弾く。そして、それぞれの板が上半身、腕、下半身に張り付いてホウリを光で包み込む。
「うわあ!」
皆が強烈な光に模わず目を瞑る。光が収まり戦場の中が確認できるようになると、そこにはホウリの姿は無かった。いや、正確にはホウリはいたのだが先ほどとは全く違う姿になっていて認識が出来なかったのだ。
真っ赤な上半身に緑色の下半身のスーツを身に着けており、腕には黄色のかぎ爪が付いている。
そんなホウリをみたロワは文字通り目を丸くしている。驚きすぎて矢での追撃も忘れてしまっているようだ。
その隙を見たホウリはチャンスとばかりにロワに向かって駆けだす。迫ってくるホウリに気が付いたロワは気を取り直して矢を放つ。しかし、矢はかぎ爪で全て切り裂かれてしまいホウリには届かない。
「はぁ!」
間合いに入ったホウリがかぎ爪でロワに切りかかる。しかし、かぎ爪がロワに当たる瞬間、ロワの姿が消えて戦場の端にへとワープした。事前にワープアローを放っておいていたのだろう。ロワにしては中々良い手だ。これで距離が取れたし使う矢さえ間違えなければ一方的に攻撃できるだろう。
ロワもわしと同じことを考えていたのか、戦場内に矢を放ちまくって有利な状況を作っている。これは勝ちもあるかもしれぬのう。
状況が不利になっているにもかかわらず、ホウリはロワと距離と詰めようとしない。勝負を捨てたか?いや、ホウリに限ってそんなことはない。確実に何かを企んでおるな。
わしの考え通り、ホウリは装置から黄色のチップを抜くと代わりに青色のチップを差し込んだ。すると、かぎ爪が消えて代わりにライフルのような青い銃が現れた。そして、銃の下に開いている穴に赤色のチップを差し込んでロワに向けて狙いを付ける。
ホウリが引き金に手を掛けると同時に銃の先に光が集まり始める。ロワは何が起こるか分かったのか、焦った様子で矢をばら撒き始めた。そして、ロワが放った最後の矢が刺さると同時に複数の結界が現れる。これだけの結界が有れば大抵の攻撃は防ぎきる事が出来るじゃろう。
それを見たホウリは全く意に介さず狙いを付け続ける。
「……クリティカルショット」
ホウリが引き金を引くと銃の先から極太のビームが発射された。ビームは結界を突き破りながら進み、ロワに接近する。その様子を見ていたロワは慌てた様子で矢を上に放った。それと同時にビームがロワの姿を飲み込んだ。
「ロワ!」
その様子を見ていたミエルが悲痛の声を上げる。
土煙が晴れていくとそこにはロワの姿は無かった。
「まさか木っ端みじんに吹き飛んだのでは……」
「落ち着くんじゃ、あそこを見てみい」
わしが指さした方向にある人影があった。よく見てみると、そこにはボロボロになったロワの姿があった。直撃した瞬間にワープアローで回避したのじゃろう。
「ロワ、無事だったか……」
「あれを無事と呼べるのかのう?」
死んでおらぬのならスキルで治せるから無事という考えなのかのう?まあ、まだ戦闘は出来そうじゃから無事な部類に入っておるのじゃろう。
ロワはボロボロの立ち上がり弓を構えなおす。そんなロワに向かってホウリは容赦なく距離を詰めていく。
「まだ、負けてません!」
ロワは弓を構えなおすと青色の矢を取り出した。トリシューラを出すとは、ロワの奴本気じゃな。
ロワがトリシューラを取り出したのを見てホウリはハンドベルトに手を伸ばす。そして、挿入されている3つのチップを更に押し込んだ。チップを押し込んだ瞬間、ハンドベルトから3色の光の板がホウリの体に吸い込まれていった。
「パワージャンプキック!」
そして、ホウリの体が輝き始めると垂直に10m跳躍し、最高地点に到達するとロワに向かって急降下しながら赤く光る右足でキックを繰り出した。
ロワは面を喰らった表情をしたが、落ち着いてトリシューラにMPを込めてホウリに向かって放った。放たれたトリシューラは青色の光の筋となり、ホウリのキックと衝突する。
「はあああ!」
火花を散らしながら衝突したホウリとトリシューラだったが、ホウリのキックがトリシューラを打ち砕く。
「はあああああ!」
トリシューラを打ち砕いたホウリはそのままロワの胸にキックを叩きこむ。キックをまともに受けたロワはうめき声も上げずに吹き飛ばされて、そのまま白目をむいて倒れた。それと同時に、ホウリの変身も解除された。
「ロワ!」
「安心しろ、死んでは無い」
思わず駆け寄ったミエルにホウリが言い放つ。さっきも同じことを言っていた気がするのう。
「フラン!早く治療を!」
ミエルに急かされるままにセイントヒールを掛ける。
「して、今の装備について説明せい」
「見た通りだ。ハンドベルトにチップをセットすると変身できる。変身した後の能力はセットしたチップの種類によって変わる。赤は力、緑はジャンプ力みたいにな」
「武器にチップをセットすれば強力な攻撃が行える訳じゃな」
「最後のキックはなんだ?MPがあまり込められてなかったとは言え、トリシューラを打ち砕くとはとんでもない威力だぞ?」
「あれはセットされているチップの力を全部使っての必殺技だ。代償としてセットされているチップが使えなくなるがな」
ホウリが切り札と言うだけあって強力な装備じゃな。というか、どこかで見たことあるような装備じゃが気のせいかのう?……気にする碌な事にならなさそうじゃな。
「で、最後はミエルか?」
「私は遠慮しておこう」
「どうしてだ?」
ホウリの言葉にミエルは周りの戦場の様子を見る。そこには壁や天井が崩壊した戦場があった。
「こんな状態になるのが分かっていて戦いたいと思うか?」
全くじゃ。
という訳で、ホウリが好き勝手したらこうなります。使わなかったカプロボのケースは次回が有ったら使います。
ちなみに、今回の発明品はホウリの同級生が作っています。次回作の主人公の一人だったりします。今も少しずつ書いていますよ。
次回から闘技大会にはいります。具体的な内容は決まってませんが、オープニングセレモニーの予定ではあります。
先週は体調がすぐれなかったのですが、今週はかなり体調がよいです。今年一の不調と好調が交互に来てるので、高低差でまた体調を崩しそうです。




