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魔王から学ぶ魔王の倒しかた  作者: 唯野bitter
第1章
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第二十四話 今明かされる衝撃の真実ゥ

遅くなりました(いつも通り)

思ったんですが、私は時間をかければかけるほど話が散らかる気がします。もう少しプロットをまとめて見たほうが良いですかね?

───グランガンの領家『クミンバ家』───

クミンバ家とはグランガンを治めている領家である。弓が重要視されているグランガンの領家らしく弓の腕が高くユミリンピックでの優勝者を輩出している。その為、領主を決める際には弓の腕が高いことも重要になってくる。





☆   ☆   ☆   ☆





「痛ててて」

「少し我慢してくださいねー」



 色々なポーションの匂いが強いここは治療室。僕はさっきの試合で受けた傷を癒して貰っています。

 治療士(ヒーラー)であるお兄さんに肩と足の傷を癒してもらっているとお兄さんから話しかけられました。



「いやー、さっきの試合は良かったよ。近年稀に見る名勝負だったね」

「あ、ありがとうございます!」



 これまで弓の事で褒められた事が無かったのでお兄さんの言葉が胸に染みます。お兄さんの言葉とヒールに10分程癒やされていると、誰かが走ってくるような音の後に扉がバタンと開きました。



「ロワはいるか!?」

「ホウリさん?」



 扉からは息を切らせながら僕を呼ぶホウリさんの姿がありました。



「ロワ君の知り合い?」

「はい、僕の友達です」



 僕は不思議に思いながら、額に大粒の汗を浮かべながら肩で息をしているホウリさんに僕は尋ねます。



「どうかしたんですか?」

「た、大変な事が起こった。今すぐ来てほしい」

「大変な事?何があったんですか?」

「説明する時間も惜しい!早く行くぞ!」

「で、でも……」

 


 さっきの試合で受けた傷は完璧には治っていません。それなのに行っていいのでしょうか?

 僕はお兄さんの方をチラリと見てみます。お兄さんは『しょうがないな』という顔をした後に薬品棚の方へむかいます。そして、薬品棚から赤い薬の入った硝子ビンを取り出すと僕に渡してきました。



「本来なら完全回復させるのが私の義務なんだがね。急いでいるようだから変わりに『ヒールポーション』を渡しておこう。試合前の10分前には必ず飲むように」

「あ、ありがとうございます!」



 ヒールポーションをアイテムボックスに仕舞って、ホウリさんの方へと向き直ります。



「では、行きましょう!」

「おう、付いてこい!」



 僕とホウリさんは治療室を飛び出して廊下を走り抜けます。

 走りながら僕はホウリさんへと質問を投げかけてました。



「一体、何があったんですか?」

 


 ホウリさんは少し俯くと重々しく口を開きました。



「……フランが襲われた」

「フランさんが!?」

「相手が多すぎて俺じゃどうしようも……」



 フランさんは確かに戦えそうにはありません。集団で襲われたら一溜まりも無いでしょう。



「急ぎましょ次はどこですか!」

「そこの角を右だ!」



 ホウリさんに言われた通りに右に曲がって走り続けると、やがて薄暗く人通りの少ない通路に出ました。



「……ここだ」

「フランさん!無事ですか!」



 僕は急いでフランさんの姿を探しますが姿は何処にもありません。不思議に思った僕はホウリさんに尋ねてみます。



「ホウリさん、フランさんは何処───」



 その瞬間、左腕に鋭い痛みが走りました。



「グッ!?」

「………………」



 左腕を見てみると、ホウリさんが無表情のまま僕の腕にナイフを突き立てていました。

 何が起こったの分からずに僕はそのまま固まってしまいます。



「ホウリ、さん?」

「………………」


 

 ホウリさんは僕の声に眉一つ動かさずにナイフを抜いた後、再びナイフで斬りかかろうとしてきます。



「………!?、クッ!」



 ホウリさんに敵意がある事を理解した僕は咄嗟に後ろに飛んで斬撃を回避します。

 そして、迎撃しようと弓を取り出そうとアイテムボックスを開きます。が、



「腕が動かない…………」



 さっきの試合のダメージが残っていたのか、それとも今の攻撃で腕の神経が切れたのか分かりませんが腕に力が入りません。

 斬撃をかわしながらホウリさんを見るとホウリさんは無表情のまま口を開きました。



「ジル様の為に消えてもらう」

「ジル?なんでジルが──」



 そこまで言って僕の頭にある考えが浮かんできました。

 確認をしたいけど、確認したら今までの事が全て壊れていまいそうな気がします。



「…………ホウリさんは」



 でも、壊れると分かっていても口が勝手に言葉を紡いでいきます。



「ホウリさんは僕を騙していたんですね」

「………………」



 返事の変わりに斬撃が飛んできました。僕は再び後ろに飛び退こうとします。ですが、何かが後ろに当たり飛び退く事が出来ません。後ろを振り向くと壁があり、袋小路に追い詰められたと悟ります。

 ああ、僕はここまでなんですね。ダランと両腕から力を抜き、死を覚悟します。

 ナイフが僕の喉元に突き刺さると思った瞬間、



「何してんだお前」



 突然、キンッという音と共にホウリさんのナイフが吹っ飛びました。

 そこには武器を振り切った人が僕とホウリさんの間に入りこんでいました。その人物は紛れもなくこの二週間で、いや人生で一番お世話になった人物、



「ホウリさん?」



 『キムラ・ホウリ』その人でした。僕を襲っていたホウリさんと僕を助けてくれたホウリさんの二人を交互に見ます。助けてくれたホウリさんはナイフでは無く木刀を構えています。



「え?あ、え?ホウリさんが二人?」

「話は後だ。まずはこいつを取り押さえるぞ」



 ホウリさんがホウリさんに向かって木刀をを振るいます。ホウリさんは袖から別のナイフを取り出してホウリさんの木刀を受けます。ホウリさんはホウリさんのお腹を蹴るとホウリさんはナイフで……



「ホウリさんがホウリさんをホウリさんで……」

「あーもう!ナイフの方は『モドキ』とでも呼んどけ!」



 ホウリさんの怒号でハッと頭が冴えます。とりあえず、ナイフを持っている方は『モドキ』と呼びます。

 モドキは両手にナイフを持ってホウリさんに連撃を加えます。よく見るとモドキはホウリさんの首や心臓などを的確に狙っているのが分かります。ですが、ホウリさんはモドキの攻撃を柄や切先を使って軽々と捌いています。



「本気で来いよ。じゃないと俺もロワも殺せないぜ?」

「ガァアアアア!」



 今まで無表情だったモドキはホウリさんの言葉を聞くと目を血走らせて両腕を振るいました。両腕を振ると青い光がモドキの腕とナイフを包み込みました。



「ギャアアアアア」



 モドキは突きの体制をとると、ホウリさんに向かって突進しました。さっきよりも数段早く、そして力強い斬撃がホウリさんに襲いかかります。



「…………甘ぇ」



 ホウリさんは呟くと木刀を腰に挿してダラリと腕をおろします。そして、モドキの体に潜り込むようにナイフをかわします。そのまま突き出しているモドキの腕を取り一本背負の容量で投げ飛ばします。勢いが付いていたモドキは、そのまま床に叩きつけられ潰れたカエルの様な声を上げます。



「グェッ!」



 ホウリさんは懐から紐のようなものを取り出して悶絶しているモドキの胴体と足を手際よく縛ります。



「これでオーケーだな」



 手際の良さに呆気に取られているとホウリさんは木刀を腰に挿して僕の元へと歩いてきます。そして、目の前で立ち止まると深々と頭を下げました。



「駆けつけるのが遅かったせいでロワが襲われてしまった。本当にすまない」

「い、いえいえ、ホウリさんがいなかったら僕は今頃死んでいました。こっちからお礼を言いたい位ですよ。それよりも早く憲兵を呼ばないと…………」

「いや、その前にやることがある。もういいぞ!」


 

 ホウリさんが通路の奥へ叫ぶと、何処からともなくフランさんが誰かと一緒に現れました。その人の顔をよく見てみると───



「ジル!?」

「…………これはどういうことだ?」



 フランさんと一緒に現れたジルが訝しながらモドキとホウリさんを交互に見ます。



「お前はホウリだったか?これはどういう事か説明してくれんだろうな?」

「実はですね、ジルさんに1つ確認してほしい事が───」

「ジル様!この紐を解いてください!すぐにこいつ等を皆殺しにして見せます!」



 モドキがホウリさんの説明を遮って目を血走らせながら叫びます。ホウリさんとそっくりな顔で叫んでいるので妙な気持ちになりますね。

 ホウリさんは少しため息を吐きました。



「フラン、こいつを眠らせてくれ」

「うむ、気絶するまで殴ればよいか?」

「普通にスキルで眠らせればいいだろ。何でそんな血の気が多いんだよ」

「…………了解じゃ」

「残念そうにするな」



 フランさんは先端に真っ赤な魔石の付いた杖を取り出しました。フランさんが杖を振るうとモドキは糸が切れたように眠りにつきました。



「ついでに変装も剥いでおいてくれ」

「うむ、少し待っておれ」



 フランさんが再び杖を振るうとモドキの顔が光に包まれ、徐々に本来の顔が現れてきました。



「ジルさんにはこの人の顔を確認して欲しいんですよ」

「……お前、俺を疑っているのか?」

「いえ、むしろ逆ですね。とりあえず確認してくれませんか?」

「……ああ」



 モドキの変装が全て剥がれモドキの顔が現れました。

 僕はモドキの顔をマジマジと見てみます。うーん?なんというか、思っていたより…………



「なんか記憶に残らん顔じゃな。5秒後には忘れそうじゃ」

「何というか、特徴が皆無というか……、存在感が無いというか……」

「お前らボロクソに言い過ぎだ。とりあえず、ジルさんはこの顔に見覚えありますか?」

「うーん?」



 ジルは少し首を捻った後、思い出したようにパンッと手を叩きました。



「そうだ!こいつは『タイム・セージ』の弟の『フェンネル・セージ』じゃねぇーか!最後に会ったのは3年前だったか?」

「3年前に会った手下の弟なんて、よく覚えていたね?」

「手下の事を親分が覚えているのは当たり前だろ?」

「ジルはちゃんと親分してるねー」

「楽しそうなところ悪いが話を進めるぞ」


 

 僕とジルの会話をホウリさんが制します。そして、懐から髪の束を取り出すと話を続けました。



「今回の事件の概要を説明する。見ての通りこいつが今回の『ユミリンピック連続殺傷事件』の犯人だ」

「じゃが、複数の人間の犯行ではなかったのか?」

「それは憲兵の見解だ。そして事件を早期解決出来なかった要因でもある」



 ホウリさんが頭を掻きながら話します。



「憲兵には『有力な証拠』があった。それは被害者の『証言』だ」

「そういえば、死者はいませんでしたね。被害者からの証言があればすぐに解決したのでは…………あ」

「そうだ。こいつは顔を変えるスキルを持っている。だから捕まらなかった訳だな」

「『有力な証拠』が仇となったんじゃな」



 確かにそれでは捕まりませんね。ん?となると………



「憲兵がジルを疑ったという事はモドキ───フェンネル君がジルの手下に成りすましていたという事ですよね?なんでそんな事したんですか?」

「さあな。ジルの側にいる奴が邪魔だったのかもしれないし、そいつ等に個人的な恨みがあったのかもしれない。そこら辺は憲兵が調べるだろ」



 フェンネル君が寝ている今、詳しい理由はわかりませんね。



「だから、犯行の理由とかも分からない。ジルさんは何か心当たりはありますか?」

「んー?そうだな…………」



 ジルは腕を組んで首をひねって秒ほど考えた後に残念そうに首を降る。



「悪いがさっぱり分からん。フェンネルは3年前に会ったきりだからな」

「そうですか。残念です」



 言葉とは裏腹に残念と思ってなさそうにホウリさんは言います。

 


「もういいか?そろそろ出番だから準備したいんだが」

「出場者が襲われたんですから今日は中止ですよ。明日には再開出来ると思いますが、今日中に再開はむりですね。それに良いんですか?」

「何がだ?」



 苛立たしげにジルがホウリさんを睨みます。きっとホウリさんの回りくどい言い方にイライラしているのでしょう。

 ホウリさんはいつもと同じような爽やかな笑顔でホウリさんは言い放ちます。



「こいつ、憲兵に『ジル様の為にやった』って言いますよ?」

「な!?」



 ホウリさんの言葉にジルの顔色が一気に青くなりました。僕とフランさんは話についていけずにポカーンとしています。



「ホウリ、わしには何が不味いのかさっぱりわからんのじゃが」

「簡単に言うとジルさんは『領主候補』だからスキャンダルは致命的って事だ」

「じゃが、ジルは関与しておらんのじゃろ?」

「それがどうした?」

「は?」



 ホウリさんとフランさんの会話をジルは青い顔で俯きながら聞いています。そんなジルの横で更に会話は続きます。



「重要なのはジルの手下がジルの知らないところで事件を起こしたって事だ。自分の手下の管理も出来ない奴に領主なんて任せられるか?」

「…………フェンネルは俺の手下じゃねぇ」

「皆はそうは思いませんよ?仮にそう主張しても『ヤバくなったから切り捨てた』としか思われないでしょうね」



 ジルの弱々しい反論をホウリさんは笑顔で容赦なく切り捨てます。ジルは歯を強く食いしばり、悔しそうに俯きます。



「………………」

「どうしたんじゃロワ?」

「い、いえ。何でもありません」



 笑顔のままで淡々とジルに現実を見せるホウリさんを見て、僕は少し息が苦しくなりました。今までのホウリさんは優しくて少し厳しいけど頼りがいがある人という印象でした。けど、今のホウリさんは────



「怖いか?」

「うわ!?」



 いつの間にかホウリさんが僕の目の前に立っていました。僕は少しギョッとしながらホウリさんを見ます。



「いや、えっとその……」

「大丈夫だ、そう言われるのは慣れてる。俺も自分がやっていることが普通じゃないのは分かっているしな」



 何も言えずにホウリさんを見つめているといつもの優しそうな表情でホウリさんは唐突に言います。



「明日、ジルはユミリンピックに出られないかもしれない」

「な!?ジルは関係ないんですよね!?」

「さっきも言ったがそれは関係ない。ユミリンピックの委員会が判断したらジルは出場資格を失う。ジルはこれから申し開きをするが、それには事件の概要と自分の置かれている立場を理解する必要があるんだ」

「色々と考えていますね」

「まあな。なるべく良い方向へと持っていく様にしてはいるな。いやー、でもなー、中々難しいこともあるよなー」



 大袈裟に芝居がかった様に言います。



「ジルはなー、あの調子だとなー、試合に出られても本調子出ないかもなー。ライバルが元気付けてくれないかなー」



 チラチラと僕を見ながらわざとらしく喋ります。正直、ストレートに言ってくれたほうがいいと思います。



「僕はライバルじゃないですよ?」

「ここだけの話、ジルはな本気のお前と戦いたいんだよ。そのためにお前に嫌がらせしていた程だ」

「……嘘ですよね?」

「嘘じゃねぇって。これが証拠だ」



 そう言ってホウリさんはボイスレコーダーを手渡して来ました。



「これは?」

「ジルのインタビューだ。あとで聞いてみてくれ」



 渡されたボイスレコーダーをジッと見つめていると、通路の奥から複数の人の足音が聞こえてきました。



「どうやら憲兵が来たな。犯人を引き渡す準備でもするか」



 ホウリさんはフェンネルくんを担ぐとフランさんとジルに声をかけます。



「フランはノエルと一緒に待機しておいてくれ。ジルさんは私と一緒に証人として来てください」

「了解じゃ」

「……ああ」



 ホウリさんはそのまま通路の奥へ進もうとしますが、ふと思い出した様に僕の方へと向きます。



「最後に一つだけ。俺は色々とやってきたが、出来ない事もある。それはロワにしか出来ないことだ。頼んだぞ」



 それだけ言うとホウリさんはフランさんとジルと一緒に通路の奥へと消えていきました。

 


「僕にしか出来ないこと…………」



 ボイスレコーダーを握りしめながら僕は呟いてみした。

いつもより、散らかってましたね。

次は第二回戦です。その前にロワとジルの関係とは何なのかが明らかになります。



○ルパ始めました。これで音ゲー3つ目です。手が回らないのでス○フェス以外は適当にやってます。

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