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魔王から学ぶ魔王の倒しかた  作者: 唯野bitter
第2章
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第二百十話 準備は一任するわ

ノエル視点です。今回は予告詐欺じゃないです。

 朝の教室、ホームルームもまだの中で、ノエルは机に突っ伏していた。



「むー、上手くいかない」

「おはよう。ノエルちゃん元気ないね?どうしたの?」



 顔を上げると、コアコちゃんがずれた丸眼鏡を直しながら心配そうな顔をしていた。



「コアコちゃん、おはよ。最近、おつかいが上手くいかなくてさ」

「そうなの?」



 工場を破壊したノエルは他のおつかいにも挑戦した。だけど、薬を運んだら瓶が割れちゃったし、探し物をしたら見つけられなかった。初めの2つが上手くいって半分以上稼げたからあっさり行くかと思ったけど、そう甘くはなかった。



「私にも出来る事があったら言ってね。元はと言えば私の我儘なんだし」

「ノエルもパンプ君を助けたいし、ノエルの我儘でもあるし気にしないでよ」



 残りは900万G。おつかいも高いので100万円とかだし、まだまだかかりそうだ。



☆   ☆   ☆   ☆



「ただいまー」

「おかえり。依頼帳更新したぞ」

「はーい」



 珍しくホウリお兄ちゃんがリビングにいた。

 家に帰って荷物を置いて、リビングにある依頼帳を開く。依頼帳はホウリお兄ちゃんが毎日更新しているから、こまめに開くようにしている。依頼帳を開くのもすっかり日課になった。

 さーて、新しい依頼はっと……



「あれ?」



 新しく追加された依頼に目が釘付けになる。



「報酬が800万G!?」



 これさえこなせば、残りは900万G!一気に2000万Gに近づく!内容は……



「要人護衛?ナニコレ?」



 偉い人を守るみたいだけど、詳しいことが一切かかれていない。これじゃどうすればいいか分からない。こういう時はホウリお兄ちゃんに直接聞いてみよう。



「ホウリお兄ちゃ~ん、この依頼どういうこと?」

「要人警護か?」

「うん」

「それは詳細を明かせない依頼だ。やると決めたら全て話そう」

「やる」

「ちょっとは考えろ」



 ノエルの言葉にホウリお兄ちゃんが頭を抱える。何か可笑しい事を言ったかな?



「何も情報が無いのに報酬が高いんだぞ?少しは怪しめ」

「だって、少しでも早くパンプ君を助けたいんだもん」

「短絡的に楽な方に行こうとするな。落とし穴に嵌るぞ?」

「大丈夫じゃない?」

「お前な。いつか痛い目を見るぞ?」

「痛かったらセイントヒールで治すから大丈夫だよ?」

「そういう意味じゃねえよ」



 諦めたように首を振るホウリお兄ちゃん。良く分かんないけど、今までも何とかなったし大丈夫だろう。



「それで、この依頼ってなんなの?」

「その前に改めて注意事項だ。おつかいの詳細を聞いたら必ず受けないといけない。おつかいの内容を少しでも口外する事も禁止する。それでいいなら詳細を伝える」

「了解!」

「……分かった」



 ホウリお兄ちゃんはもう忠告する事も無く説明を始めた。



「要人警護、つまり偉い人を守るって事だ」

「偉い人って誰?」

「キュールの領主だ。情報によると暗殺の計画が進行しているらしい」

「キュールってお酒を沢山作ってる所だよね?」

「そうだ」

「なんで狙われてるの?」

「政治絡みで色々とあってな。その辺りは追々教える」

「警護っていつからなの?」

「1週間後、噴水広場で演説がある。その演説を無事に終わらせるのが今回のおつかいだ」



 演説を無事に終わらせる。つまりは悪い人たちから領主さんを守ればいいんだ。



「ノエルが領主さんの傍に居ればいいって事?」

「いや、今回は聴衆に領主が狙われている事自体を隠す必要がある。ある程度の護衛は付けるつもりだが、ノエルはダメだ」

「むー、じゃあノエルは何をすればいいの?」

「人知れず暗殺を阻止してほしい」

「難しいね?」

「800万Gの依頼だぞ?難しいに決まっているだろ?」



 確かに800万Gは今までで2番目に高い。難しくても仕方ないかな。



「あれ?そういえば、悪の工場の壊滅は1000万Gだったよね?それよりも難しいの?」

「あれは工場を見つける所から初めて貰う予定だったからな。期限も受けてから3日にする予定だったし、かなり難易度は高いと思うぞ?」

「そっか」



 ノエルは偶々見つけたけど、最初から調べたりしてたら依頼を達成していたかは分からない。そう考えると、ノエルは相当に運が良かったんだ。



「話を続けるぞ。このおつかいの失敗条件についてだ」

「失敗条件?」

「その1,俺が動く。その2,暗殺の計画が大勢にバレる」

「どういう事?」

「その1、今回は失敗が許されないから、暗殺されそうと判断した時は俺が動く。その場合はお駄賃は0だ。その2、一般人1人にバレる度にお駄賃が100万G減る。0になればタダ働きって事だな」

「失敗しないようにこっそり対処すればいいんだね?」

「そういう事」



 今までは派手に動いても良かったし、かくれる必要もなかった。今回は今までとは違うおつかいになるかな。



「演説は1週間後なんだよね?」

「そうだな」

「だったら、今のうちに広場の下調べをした方が良いかな?」

「お、よく思いついたな」



 ホウリお兄ちゃんが感心したように頷く。

 暗殺が目的だったら、一番先に思いつく手段は遠くからの狙撃だ。だったら下見してどこから狙撃してくるかを確かめておかないと。



「そうだ。ロワお兄ちゃんに狙撃について聞いておかないと。あれ?スターダストの皆の力は借りちゃダメなんだっけ?」

「直接の協力じゃなければ問題ないぞ」

「なら大丈夫だね。ミエルお姉ちゃんにも守り方とか習っておこうかな?」

「良いんじゃないか?何か必要な物があれば言ってくれ」

「はーい」



☆   ☆   ☆   ☆



 次の日の放課後、ノエルはオカルト研究クラブ(予定)の皆と一緒に噴水広場に来てた。

 校庭よりもおっきな広場の中央に、ひときわ大きな噴水が堂々と立っている。演説ではこの噴水の前で演説するみたい。人の行き来も多いし、ピッタリなのかも。

 噴水は勢いよく水を噴き出していて、見ているだけでも楽しい。そんな噴水の前でノエルは皆に宣言する。



「今日はここで遊ぼう!」

「ここで遊ぶったって、何するのよ?」

「いつもみたいに鬼ごっことかは出来ないよね?人も多いし」

「さあ?」

『考えなしに来たのかよ』

「別にいいじゃん。皆で探せば楽しい事も見つかるでしょ?」



 サルミちゃんとマカダ君が呆れたように首を振り、コアコちゃんが困ったように笑いながら眼鏡を直す。

 下見もしないとだけど、どうせなら皆で楽しく遊びたいよね。



「そういう訳だから、しゅっぱーつ!」

「どういう訳よ」

『まあ、歩けば何かあるんじゃないか?店とか見るのも楽しそうだしな』

「ウィンドウショッピングだね」

「いいね。何か美味しそうな物でもあったら買い食いしよ」

「買い食い。罪悪感を感じる響きね」

『じゃあしないのか?』

「するに決まってるでしょ」



 各々で財布を取り出して頷く。そういえば、今まで買い食いってしたことなかったっけ。楽しみ~。



「そうと決まれば、あそこから行こう!」

『根拠は?』

「なんとなく!」

「適当じゃないの」

「まあ、直感って大切なんだし、ノエルちゃんの言う通りにしてみようよ」

「わーい!突撃ー!」

「走ったら危ないわよ」



 皆を引き連れて人混みの中へと一直線に駆け出す。どうしよ、わくわくが止まらないや!



「あははは!早く早く!」

「ノエルちゃん!ちょっと手加減してよー!」

『俺たちが追いつけないだろうが!』

「なんで人混みでそんなスピードが出せるのよ!」



 皆の声を背にノエルは人混みの隙間を縫って進んでいく。うーん、ノエルの勘だとこの辺りに美味しそうなものがありそうな気が……。

 そう思って人混みを抜けると、目の前にたい焼き屋さんのお店が見えた。外からおじさんがたい焼きを焼いているのが見える。ここなら焼きたてが食べられそう。



「皆、ここでたい焼きを……あれ?」



 皆に相談しようとして振り向くと、誰もいなかった。あれ?皆どこにいったんだろう?



「ノエルが早すぎたみたいだね……って言ってる場合じゃないや」



 掻き上げた髪を直して考える。

 皆どこだろ?探そうにもこの人込みじゃ探しにくいし。



「そうだ、高い所に上って……って勝手に登ったら怒られるよね」



 たい焼き屋さんの屋根を見上げて、ノエルは考えを改める。バレちゃったら怒られて買い食いどころじゃなくなっちゃう。それは避けないと。



「うーん、ジャンプしてアピールしようにも、魔装を使わないと皆には見えないだろうし」



 魔装さえ使えれば建物の4階くらいまでなら軽く飛べるんだけどなぁ。今日の目的は下見もあるんだし、目立つのは避けたい。



「うーーーん、どうしよう?」

「お嬢ちゃん、どうかしたのかい?」



 ノエルが悩んでいると、急に後ろから声を掛けられた。ビックリして振り返るとたい焼き屋さんの前に眼鏡を掛けた癖毛のお兄ちゃんがいた。



「えっと?」

「ビックリさせてごめんね。なんだか困っているみたいだったからさ」



 思わず言葉に詰まると、お兄ちゃんが困ったように笑う。なんだかいい人みたいだし、話しちゃっても良いかも?



「実はお友達とはぐれちゃって……」

「それは大変だね。この広場にはいるのかい?」

「うん。今日はここで遊ぼうって決めてたからいると思う」

「そっか。それで悩んでたんだね。そうだ、僕が肩車しようか?高い所から見たらお友達が見つかるかもよ?」

「いいの?ありがと!」



 ノエルはしゃがんだお兄ちゃんの肩に座る。お兄ちゃんが立ち上がると、ノエルの視線は周りの人よりも一回り高くなった。



「うわー!これなら皆の事を探せるよ!」

「良かった。早く見つかるといいね」



 ノエルは両手を振って少しでも皆に気付かれやすいようにしてみる。

 すると、思ったよりも近くに皆の姿が見えた。



「おーい!」

「あ!ノエル!」



 サルミちゃんがノエルに気付いて2人を連れたやってきた。

 お兄ちゃんに降ろしてもらってやっと、皆と合流する。



「よかったー、もう会えないかと……痛ぁ!」

「バカ!1人で突っ走らないでよ!心配したでしょ!」



 合流したと同時にサルミちゃんから拳骨を貰う。

 ノエルは痛む頭をさすりながら、サルミちゃんに反論する。



「むー、ノエルはバカじゃないもん」

「バカじゃないならもっと周りに気を配りなさい!どれだけ探したと思ってるの!」

「今回ばかりはサルミちゃんが正しいかな?」

「むー、コアコちゃんまで」

『俺もそう思うぞ』

「マカダ君も……」



 思えばノエルが皆を置いて走っちゃったのは事実だ。ノエルは皆に頭を下げる。




「ごめんなさい」

「分かったら一人で突っ走らないでよ?」

「はーい」

「これで解決かな?」



 そう言ってお兄ちゃんが微笑む。ノエルはお兄ちゃんにも頭を下げた。



「ありがとうございました」

「どういたしまして。もうはぐれちゃダメだよ」



 お兄ちゃんは手を振ると人混みの中へと消えていった。



「あの人だれ?」

「親切なお兄ちゃん。肩車してノエルを手伝ってくれたんだ」

「そうなんだ。親切な人で良かったね」

「うん!そうだ!たい焼き屋さん見つけたんだ。ここで買い食いしない?」

『たい焼きか。食った事ないな』

「え?魔国ってたい焼き無いの?」

『あるが食う機会が無くてな』

「そうなんだ。いい機会だね」

「決まり!おじさーん、たい焼き4つ!」



 この日はたい焼きを買い食いして充実の下見となったのだった。

おつかいの内容は前々から考えていた物です。しかし、どういう展開になるかは今回書きながら決めました。あともう少しだけ詰めるだけです。


次回はおつかい本番です。開いてもかなり本気です。


スクフェス2やりました。1年半くらい離れてたんですが、譜面が懐かしくて泣きそうでした。

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