第百六十九話 学校へ行こう
次回は外伝だと言ったな?あれは嘘だ。
という訳で今回から本編始まります。今回はノエルの入学式です。
朝、小鳥のさえずりが寝ているノエルの耳に飛び込んでくる。その瞬間、ノエルは反射的にベッドから飛び起きた。
「ノエル、起床!」
思わず指を天井に突きだしてポーズを取る。だけど、すぐに思い直して壁に駆けられた制服を見る。そう、今日からワクワクの学校生活が始まるのだ。思えば、この制服が届いて試しに着た後で、ホウリお兄ちゃんに着ちゃダメだって言われたっけ。絶対に汚すからって言われて、不満に思ったっけ。
ノエルは念願の制服に袖を通し荷物を持って、部屋から出てリビングまで降りる。
「おはよー!」
リビングに飛び込むと皆がいつものように朝食を食べていた。でも、いつもと違う所もある。それは皆の格好がスーツだという所だ。
入学式には保護者の人も出席できるみたい。流石に、終わったら帰らないといけないみたいだけどね。
「おはよう。早く朝飯食え」
「そうじゃぞ。入学式早々に遅刻する訳にもいかんじゃろう」
「はーい」
ノエルは言われた通りに席について用意されてたパンを頬張る。
「あんまり急ぎ過ぎると喉に詰まるぞ」
「はい、これ飲んで」
「ありがとー」
ロワお兄ちゃんから渡されたミルクを勢いよく飲み干す。
「ぷはー」
「いつもよりもテンションが高いのう?」
「だって今日から学校だよ?そんなのワクワクするに決まってるよ!」
体の内側からワクワクが溢れてくるみたい。こんなの抑えきれるわけがない。
そんな訳でノエルは勢いよく朝食を食べ終える。
「ごちそうさま!」
朝食を全てお腹に納めて、勢いよく席を立つ。
「じゃあ行くか」
「うん!」
勉強道具が入ったカバンを背負って皆と一緒に家を出る。そこからの事はあまり覚えていない。
浮足立っていて色んな人に制服を見せびらかせた結果、ホウリお兄ちゃんから鎧通しをされたのは覚えている。
そういう訳で、気が付いたら学校の門の前に着いていた。門には『第199回入学式』と書かれている。傍にはどこに行けばいいかの簡単な地図がある。
「では、またあとでのう」
「うん!」
皆は保護者席に向かい、ノエルは生徒が集まっている講堂前へと向かう。
講堂前には同じ制服をした子達が列になって並んでいた。皆、お喋りしたり緊張しているのか周りを見渡したりしている。
壁に貼ってある紙にどこに並べばいいか書いてあるし、大人しく並んでおこう。見たところ、クラス毎で並んでるのかな?
指定の場所に行って、大人しく並ぶ。いっぱい友達を作っていっぱい遊んで、いっぱい楽しいも井出を作ろう!
これから起こるだろう出来事にワクワクしていると、後ろから誰かが肩を叩いてきた。
振り向いてみると、見覚えのある丸メガネを掛けた子が笑顔でいた。
「コアコちゃん!」
「ノエルちゃん!」
ノエルは思わずコアコちゃんに抱き着く。
「一緒のクラスなの!?」
「そうみたい!」
「やったー!」
仲良しのコアコちゃんと一緒のクラスになれるなんて最高!
「ノエルちゃん合格出来たんだね!」
「ふふーん、凄いでしょ?コアコちゃんこそ合格するだなんて頭いいんだね」
「そんなこと無いよ。ギリギリ合格って所だよ」
「それでも凄いよ!」
嬉しくてコアコちゃんと一緒にはしゃいでいると、それぞれのクラスの担任の先生がやって来た。
「はいはい!皆さん静かにしてください!」
先生が注意すると、皆がお喋りを止めて先生を見る。
「今から講堂に入場します。くれぐれも列を崩さずに騒がずに入場してください」
そう言うと講堂の扉が開いて、他の子達が先生に先導される形で次々と入っていった。ノエル達も列を崩さないように講堂に入場していく。
講堂の中はかなり広く、劇場みたいに多数の席が並んでいて、その前にステージがある。
ノエル達は順番に席に座るように促される。大人しく座ろうとすると、後ろに保護者の皆が座っているのが見えた。
端の方にはスターダストの皆もいるのが見える。
皆がいることに安心してノエルは席に座る。
「何が始まるのかな?」
「入学式だし、校長先生のお話とか先生の紹介とかかな?」
コアコちゃんとひそひそ話をしていると、担任の先生がこっちを睨みつけて来た。
先生を指さして、口に手を当ててお喋りを止めようと合図する。コアコちゃんも気が付いたのか、恐縮した様子で押し黙った。
『ただいまより、入学式を始めます。まずは校長先生の挨拶です』
その後、入学式が始まった。コアコちゃんが言ったように校長先生が出て来て、長々と話をし始める。
話の内容はよく分からなかったけど、お祝いしてくれているのだけは分かった。というか、お話を聞いていると、とても眠くなってきちゃった。隣のコアコちゃんを見ると、ノエルと同じように眠そうに目を擦っていた。
ノエルはコアコちゃんの手を握りながら何とか耐える。
「皆さんがこの学園でかけがえのない経験が出来るようにしましょう。入学おめでとう」
校長先生が頭を下げると講堂の中から拍手が巻き起こる。拍手を受けながら校長先生はステージの袖へと引き上げていった。
ノエル達も何となく拍手をしておく。
『続きまして、首席であるフロラン・ワーズによる挨拶です』
「あれ?まだあるの?」
終わったと思ったら、フロランと呼ばれた子が出て来た。金髪で赤目の可愛らしい女の子だけど、目つきが鋭くて、寄りにくい雰囲気がある。
フロランちゃんはステージの中央に立つと、紙を広げて読み始めた。今度は難しくないような内容で、眠くなることは無かった。
「ねえねえ、あの子ってとっても可愛らしい子だね」
「ノエルちゃん知らないの?入学試験ほぼ満点の凄い子だよ?」
「そうなんだ」
「家柄もかなり良くてかなりのお金持ちみたいだよ。しかも、私達と同じクラスなんだよ?」
「え?」
そうだっけ?と思ってノエルは紙に書かれていた名前を思い出す。確かにフロラン・ワーズという名前があった。
「そういえばあったね。お友達になれるかな?」
「そ、そんな事して大丈夫?」
「なんで?」
「だって凄い人なんでしょ?そんな人に私達が話しかけても大丈夫なの?」
「そんなの話さないと分からないでしょ?」
「そうかな……?」
コアコちゃんが困ったように笑う。うーん?コアコちゃんは乗り気じゃなみたいだし、ノエルだけで話してみようかな?
その後は何の面白いこともなく、入学式は終わったのだった。
☆ ☆ ☆ ☆
「むう、ノエルは大丈夫かのう?」
「大丈夫じゃないですか?ノエルちゃんって社交的ですし、頭もいいですし」
「私もそう思うぞ」
「しかし、ノエルはかなり特別な状況じゃ。他の者とは違う事でいじめられたりせんか?」
「確かにそうなる可能性はあるな」
「じゃろう!?やはり今からでも入学を取り消した方がいいのではないか?」
「あのノエルの表情を見てみろ。あれだけキラキラしているノエルを見て退学を切り出せるか?」
「それは……」
「そう言う事だ。ノエルが上手く皆と仲良く出来るように祈っておこう。……あれがバレない限りは大丈夫だ」
「待たんかい。なにやら不穏な事を言うでない」
「な、何か漏れたらマズい事があるのですか?」
「あの主席の子がいるだろ?ほぼ入学試験はほぼ満点、今までも勉学とスポーツで負けた事は無い程に勝ち続けの人生だ。まあ、まだ1年生で勝ち続けなんて意味ないけどな。家も金持ちで勝ち組って奴だ」
「そんなに凄い人物なのか。それがどうした?」
「ノエルって入学試験を受けるのが遅かっただろう?」
「そうですね」
「結果はどうだったと思う?」
「ノエルちゃんの事ですから、かなり良い点数だったのでは?」
「満点」
「「「……へ?」」」
「全教科満点だ」
「……ノエルちゃんってそんなに凄いんですか?」
「運もあったと思うけどな。同年代でノエルより勉強が出来る奴はいないだろうよ」
「……待て、その事実が外に漏れると不味いのではないか?」
「そうだな。あの子は勝ち続けの人生がどこの誰かも分からない奴に汚されたとでも思うんじゃないか?」
「……やはり退学した方がよいのでは?」
「俺としてはある種の試練として、そのまま在学させておきたい」
「その辺りは今決める事ではないな」
「そういえば、いつもの事なんですが、なんでホウリさんはそんな事知ってるんですか?」
「そんなの『キムラ・ホウリだから』で説明できるじゃろ」
「違いないな」
という事で、案外ハードモードの学園生活になりそうです。
次回はホームルームです。何年か前に名前だけ出したあの子が出てきます。
最近動画作りが楽しいです。小説がおろそかにならないようにはします。




