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魔王から学ぶ魔王の倒しかた  作者: 唯野bitter
第2章
130/460

第百七話 物を売るってレベルじゃねぇぞ!

今回は悪ふざけ100%です。こんなノリは久しぶりかもしれません。

また、この話は都合により削除する可能性があります。ご了承ください。

 いつも通り夕飯を食って久しぶりに部屋に戻る。ここに来てから約1ヶ月、碌に部屋に戻れてなかったし偶には部屋で休むか。

 そう思って部屋に入ると、スターダストの4人が全員揃っていた。

 俺が部屋に入って来たのを見たフランが軽く手を挙げる。



「おお、来たかホウリ」

「どうした?何かあったのか?」

「私たちもフランにいきなり呼ばれてな。説明は一切聞いていない」

「今から説明しよう。適当に座ってくれぬか?」



 フランに言われるがままベッドに腰かける。

 フランは全員が揃った事を確認して話し始める。



「この度、城の財政がヤバくなってきてのう。何かグッズでも作って売ろうと思っての」

「そうなのか?」

「ああ、フランの言う通り城の財政がかなりひっ迫している。グッズの売り上げだけではどうにもならない筈だが?」

「そうなんですか?」

「俺は政府関係は全部把握しているから間違いない。どうなんだ?」

「ホウリの言う通りじゃな。わしもグッズのみでなんとかなるとは思っておらん」

「じゃあ、なんでグッズ作るの?」

「いくつかの財政政策の1つじゃ」

「グッズだけでなんとかする訳じゃないんですね」



 1発逆転みたいな甘い考えじゃなくて安心した。



「で、俺達にグッズの案を提案して貰おうって事か」

「話が早くて助かるのう」

「なんで僕たち何ですか?」

「城の脳筋どもに任せるよりはマシじゃろ。知的な奴は他の仕事に回しておるしの」

「ホウリさん1人でいいのでは?」

「俺一人よりも皆で意見出した方がいい。俺は売れるかどうかを判定しよう」

「いいではないか。皆であーだこーだ言うのも楽しいぞ?」

「それもそうか」



 話がまとまり、全員でグッズ案を出していくことになった。

 最初にロワが手を挙げる。



「戦う方に狙いを絞って、携帯出来る武器を売っては?」

「ロワお兄ちゃんが持ってるみたいな奴?」

「そうそう」



 ロワが懐から携帯弓を取り出す。



「これなら、とっさに戦う事が出来ますし、需要はあると思いますよ」

「発想は悪くない。だが、1つ問題がある」

「なんですか?」

「携帯の武器は量産が難しい」



 携帯の武器は1日に1人1つしか作れない。採算を取ろうとしたら価格を高めに設定する必要があり、売れにくくなる。



「なるほど、思ったより難しいですね」

「逆に言えば、簡単に量産化が出来ればいうこと無しだな。誰かが問題点の解決方法を思いつくかもしれないから、案はどんどん言っていこう」

「案ってなんでもいいの?」

「いいぞ」

「じゃあさ、キャラクターを作るとかは?」

「うむ、良いかもしれぬのう」

「ノエルちゃんらしい、ステキな考えだね」



 キャラクターを作るのは確かに悪くない。良いキャラクターが出来たら、グッズ展開もしやすくなり、長期的な財政源になりやすい。

 消費者にウケるかが判断しにくいというデメリットはあるがやってみる価値はあるだろう。



「そうと決まればキャラクターを作ってみるか」

「どんなキャラクターが良いでしょうか?」

「うーんと、動物みたいに可愛いのがいいな」

「僕、絵書けるよ」

「本当か?」

「はい、僕の数少ない特技です」



 ミエルの言葉にロワは紙にサラサラとペンを走らせる。

 ペンによって作られた線はどんどんとキャラクターを形成していき、とあるキャラクターを形成する。

 そのキャラクターを見たノエルは歓声を上げた。



「わあ!タンパンマンだ!」

「かなり上手いな。これなら任せても大丈夫そうだ」

「やったあ!」



 ミエルが言うようにロワの絵はかなり上手い。これなら任せても大丈夫だろう。

 早速、ロワがペンを構えてノエルに向く。



「どういう動物がいいの?」

「うーんとね、ウサちゃんみたいに耳が長い方が可愛いと思う」

「目はクリクリしている方が良いと思うぞ」

「ウサギみたいに耳が長くて目がクリクリね」



 ノエルとミエルの意見を聞きつつ、ロワが紙にペンを走らせる。



「色はどうするの?」

「茶色とか?」

「もっと可愛い色が良いよ。ピンクとか黄色とか」

「黄色か。親しみやすいんじゃないか?」

「色は黄色っと」



 色ペンを取り出してキャラクターに色を付けていく。

 ここまで、俺とフランは一切口を出していないが楽しそうだし、このままやらせてみよう。



「フラン」

「分かっとる。わしも口を出さん」



 フランも同じ考えみたいだ。このままキャラクターが出来るまで見守ろう。



「体系はどんな感じにする?」

「ちょっとぽっちゃりしてた方が良くないか?」

「えー、痩せてた方が可愛いよ」

「うーん、じゃあどっちも書いてみるね」

「歩き方はどうする?」

「ノエルは2足歩行の方が良いと思う」

「4足歩行の方が動物っぽくないか?」

「だったら、移動は4足で止まる時とかは2足はどうでしょうか?」

「それいい!」

「大きさは、中くらいの猫くらいがいいんじゃないか?」



 どんどんとアイディアが出てきて、議論が白熱していく。3人とも楽しそうだ。



「微笑ましいのう」

「だな」



 フランと3人が付くキャラクターを楽しみにながら見守る。きっと、皆に愛されるようなとっても可愛らしいキャラクターが出来る。そんな気がしてならない。



「頬っぺたは赤い方がいいよ」

「手足は少し短めにした方がいいな」

「尻尾は付けます?」

「うん!」

「真っすぐだとインパクトが無いな。いっそのこと、ジグザグにしてみるか?」

「それいいですね!やってみましょう!」

「この子はどんな子かな?」

「そうだな……人懐っこいが戦うととても強い。悪い人から皆を守るような正義感もある」

「黄色だから雷系の魔法で戦うのかな?」

「ゴールドウルフみたいに?」

「そうそう。動きが早くて悪い人を痺れさせる!」

「いいね。派手で面白そう」

「あ!近い時は尻尾で戦うっていうのはどう?」

「それはいいな。尻尾で戦うなんて可愛らしいじゃないか」

「ユニークで良いね。あとは名前かな?」

「ふっふっふ、もう決めてあるよ」

「本当?」

「電気でピカピカしてて、中くらい猫の大きさの子だから『ピカチ──」

「それ以上はいけない!」



 俺はキャラクターが書いてある紙を奪い取ってビリビリに破り捨てる。

 そのまま部屋の中に紙片をまき散らし、フランが無言で紙片だけを焼き尽くす。



「なにするんですか!」

「そうだよ!とっても可愛い子が出来たのに!」

「あれが世に出れば確実に流行るぞ!」

「あのキャラクターが人気出るのは分かってんだよ!」

「だからこそ許可出来んのじゃ!」



 不満そうな3人は俺たちの言葉に納得いかないのか、更に抗議を続ける。



「もっと設定とか色々とあるんですよ。この子は電気の扱いが上手くて電気を球状にして飛ばせるんですよ」

「電気を纏って突進もできるよ!」

「好物はケチャップだ。この子がケチャップを舐めている所を想像してみてくれ。可愛らしいだろう?」

「余計アウトじゃ。申請されても絶対に許可を出さんからな?」

「他でやろうとしても俺が見つけて潰してやる。諦めろ」

「……お二人がそこまで必死なのは何か理由があるのでしょう。分かりました、さっきのキャラクターはお蔵入りにしましょう」

「えー、可愛かったのに……」

「絶対に人気が出ると思うんだがな……」



 3人は残念そうにしながらも、それ以上は文句を言ってくることは無かった。

 かぶり方が奇跡的すぎるぞ?こいつら分かっててやってんじゃないだろうな?



「じゃあ新しい子を考えようか」

「動物寄りになったのがいけないんじゃない?今度はお人形に寄せようよ」

「丸みを帯びたデザインがいいと思う」

「色は青にして現実感を薄めましょう」

「何かアイテムを付けたいな。なんでも出てくるポケットとかどうだ?」

「あんな夢とかこんな夢とかを素敵なポケットで叶えてくれるとかいいよね!」

「どことなく猫っぽいから名前は『ドラ───」

「なんでお前らは危険な橋ばかり渡るんだ!」



 俺は再び紙を奪い去ってビリビリに破く。

 燃えカスになっていく紙片を見ながら、3人が再び抗議の視線を向けてくる。



「今度はなんでダメなんですか!」

「うるせえ!こんなの許可出来るか!」

「わしはまだ消えたくないんじゃよ!絶対許可せんぞ!」

「ぶーぶー」

「横暴だ!」

「やかましい!とにかく、このキャラクターもダメだ!」



───30分後───



「はぁはぁ。こ、このキャラもダメなんですか」



 俺が何枚目か分からない紙を破り捨て、ロワが疲れ切ったように言う。



「夢の国に住んでいるネズミの次が姫を救う配管工。カッコいい路線を攻めるとか言って、バッタがモチーフのヒーローを書いたかと思えば、萌え路線で9人グループの学校アイドル。どれも直球ド真ん中のアウトじゃねえか」

「ですが!全部人気が出る事間違いなしですよ!」

「どれも10年以上は人気が続くのは間違いないだろう」

「だからこそ許可出来んのじゃ。多方向からアウトを集めおって」

「この調子だとキャラクター路線はボツだな。危険が大きすぎる」

「えー、もっとやりたーい」

「ダメだ。次行くぞ。思いついた奴から発言するように」



 3人の意見を無理やり押さえつけて次の意見を募集する。

 すると、今度はミエルが手を挙げた。



「ミエル」

「何か料理を作って売ればいいんじゃないか?」

「ミエルの口から料理と出てくると身構えてしまうのう」

「それが普通だ。で、料理って携帯食とかか?」

「スイーツとかが良いと思う。ホウリならばよいのが作れるのではないか?」

「それは良いですね」

「今まで出た案の中で1番の妙案じゃな。どうじゃホウリ?」

「うーん……」



 乗り気じゃない俺を見て、フランが不思議そうに首を傾げる。



「どうした?いつものお主であれば即座に飛びつく話じゃろ?」

「何か問題があるんですか?」

「俺はやるからには徹底的にやる。それは知ってるな?」

「うん」

「俺がスイーツ事業をやるからには10年単位でみっちりとやる。しかも、それ以外の仕事は一切しない」

「そんな時間ある訳ないじゃろ。それに、お主は今どれだけ重要な事をしていると思っているんじゃ」

「その通りだ。だから、俺はスイーツ事業はやらない。今ある物に手を貸す事はするけどな」

「それならば仕方ない。ならば、ホウリから直接指導を受けている私が中心になって────」

「この話は無しじゃ。次に行くぞ」

「……なぜだ」



 ミエルの言葉を無視して、次の案を募集する。



「フランは何か無いのか?」

「わしはあまり世間には詳しくないから、さっぱり思いつかぬのじゃ。なにせ、執務室に軟禁状態じゃしな」

「……すまない」

「ホウリさんは無いんですか?」

「あまりこういうのに口出しはしたくないんだがな」

「ほう?お主がアイディア出せぬとは珍しいのう?」

「絶対に売れる商品はある。だが、大きな問題があってな」

「言ってみるだけ言ってみてはどうだ?案は数が大事なんだろう?」

「分かったよ。これだ」



 俺はアイテムボックスからある写真を取り出す。4人は顔を突き合わせて写真を覗き込んできた。



「これは……ロワか?」

「ああ。ロワ、布無しバージョンだ」

「久しぶりに見たけど、やっぱりロワお兄ちゃんってカッコいいね」

「これを売れば、むこう10年の資金が確保できる。だが、売る訳にもいかないだろ?」

「ハイリスク、ハイリターンのお手本のような商品じゃな。いっそのこと、ロワをアイドルとして売り出すか」

「それはダメだ!」



 ロワではなく、ミエルがヒートアップする。当のロワはそんなミエルを不思議そうに眺めていた。



「そんな訳だ。こんなの売ったらロワが大変な事になる」

「そうじゃな。何かほかにいい案は無いかのう?」



 ここで全員から案が出なくなる。流石に夜も遅いし、皆も疲れてきたんだろう。



「もう遅いし、解散するか」

「そうですね、ノエルちゃんも限界みたいですし」



 ロワの言う通りノエルはコックリと船を漕ぎながら、ギリギリ起きている状況だった。もう限界なんだろう。



「じゃ、かいさーん。この続きは明日以降で」

「「「「はーい」」」」



 こうして、第一回スターダスト商品会議は終わったのだった。

このシリーズは定期的にやりたいですね。今回ほど危ない橋を渡った回もないですね。次点で十五話ですね。


次回はifストーリーの予定です。連休だから連続投稿になるかと思いますので、魔国編はそろそろ終わりですかね?


リバイス始まりました。第一話はかなりの好感触です。

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