第百一話 キノコ狩りの男
そういえば、この連休は毎日投稿する予定です。明日も頑張って投稿します。
この話は今日組み立てた話です。なので、私にもよく分からない展開になってます。
≪……ここまでですか≫
ダメージを受けた僕が座り込みます。そんな僕にノエルちゃんが拳銃を向けます。
≪きさまのいのちはここまでだー≫
≪くっ…………≫
僕は諦めて目を閉じます。その時、ノエルちゃんの背後から声がしました。
≪そこまでだ!≫
≪だれだおまえは!≫
ノエルちゃんが慌てた様に振り向く。すると、鉄仮面と白いマントを身に着けた不審者……ホウリさんがいました。
≪地獄からの使者、鉄仮面マン!≫
どこからともなくBGMが鳴ってホウリさんがポーズを決める。ヒーローみたいな言動ですが、恰好が完全に不審者なんですよね。
しかし、観客からは好評みたいで周りから歓声が飛んでくる。
ノエルちゃんがホウリさんに銃を向ける。
≪現れたな!金仮面マン!≫
≪鉄仮面マンだ!無駄に価値を上げるな!≫
≪私の邪魔をするつもりか!石仮面マン!≫
≪ものすごい価値が落ちてるじゃないか!数秒の間に何があった!≫
ホウリさんとノエルちゃんがコントをしながら向かいあう。
なんでこんな事になっているんでしょうか?
この状況を説明するには、時間を3時間くらい戻さないといけません。
───3時間前───
「この後時間ある奴いるか?」
いつものように皆で朝食を食べていると、ホウリさんからそう切り出されました。
「僕は大丈夫です」
「ノエルもあるよー」
僕らが時間がある事と告げる中、ミエルさんは申し訳なさそうに口を開きます。
「すまない、今日はラッカと出かける予定があるのだ」
「そうでしたか、だったら仕方ないですね。ちなみにフランさんは……」
「なんじゃ?」
目の下にクマを作ったフランさんが虚ろな目で僕を見てきます。
「ごめんなさい」
「なぜ謝る?」
「僕の発言が迂闊でした」
「……まあよい」
フランさんが再びスープを啜り始めます。ホウリさんにも発言には気を付けるように言われている事を思い出しました。気を付けましょう。
「付いてくるのはロワとノエルか」
「それで、何があるんですか?」
「兵士団に戦闘指南を頼まれてな。神級スキル持ちとか神の使いがいれば何かと便利でな」
「僕で良いんでしょうか?」
「ノエル、人に何か教えたこと無いよ?」
「ロワは弓の扱いに長けているし、ミエルはMPの扱いが上手いからな。何かあれば俺がフォローするから安心してくれ」
「分かりました」
「分かった!」
こうして、僕らは朝食の後に戦闘指南をすることになったのでした。
☆ ☆ ☆ ☆
朝食後、お城の中にある戦場で兵士の皆さんの前に立っていました。
魔族の兵士だけあって、色々な見た目の人が規則正しく並んでいます。ラッカさんみたいに動物の耳を生やした人や。体を石で覆われた人など様々な人がいますね。
ホウリさんは時間になったのを見計らい魔語で話し始めます。
≪えー、これより戦闘指南を開始する。今回は弓と回復スキルのエキスパートを連れてきた。聞きたい事があったら遠慮なく聞くように≫
ノエルちゃんに通訳してもらいながら、僕もホウリさんの言葉を聞きます。エキスパートと言われるとむず痒いですね。
ホウリさんの言葉に体が鱗で覆われた女の人が手を挙げました。
≪なんだ?≫
≪なんで、そこのイケメンは顔に布を付けてるんですか?≫
≪顔のやけどを隠すためだ。本人がかなり気にしているから触れないように≫
ホウリさんが適当な事を言ってごまかします。布にはフランさんに頼んで透視無効のエンチャントを付けてますし、よっぽどの事が無い限りは大丈夫でしょう。
ホウリさんが答えた後、続けざまに蝙蝠の羽を生やした男の人が手を挙げる。
≪なんだ?≫
≪こんな小さな子が我々に教えるのですか?≫
≪確かに疑問に思うのは無理もない。やってみせるのが一番手っ取り早いだろう。ノエル≫
≪はーい≫
ホウリさんがノエルちゃんを呼びます。そして、腰から新月を抜くと……
≪えい≫
なんのためらいも無く、自分の手へと突き立てた。え?何やってるんですか?
全員が目の前の光景を呆然と見ていると、鮮血が滴る手をノエルちゃんに差し出す。
≪頼んだ≫
≪了解!≫
ノエルちゃんが星の杖を取り出して、ホウリさんにセイントヒールを掛ける。
すると、手の傷がみるみる内に塞がり、完全に回復した。
一連の光景を目を丸くしながら見ていた兵士に、ホウリが向き直る。
≪これで良いか?≫
≪は、はい≫
≪他に質問がある奴は?≫
ホウリさんの言葉に手を挙げる人はいませんでした。
何も質問が無い事を確認したホウリさんはパチンと手を打って話します。
≪弓使いはこっちに、ヒーラーはあっちに移動してくれ≫
ホウリさんの言葉で兵士の皆さんがそれぞれの場所へ移動します。
僕もホウリさんに言われた場所へと移動します。すると、ホウリさんも僕の元へと付いてきました。
「ホウリさん?何か御用ですか?」
「お前な、言葉がカタコトでどうやって教えるっていうんだ?」
「そういえばそうですね」
ホウリさんかノエルちゃんがいなかったらまともに話せないんでした。失敗、失敗。
「ホウリさん、通訳お願いします」
「ああ任せろ」
ホウリさんがいるなら安心ですね。とはいえ、何を離したら良いんでしょうか?まずは……自己紹介ですかね?
僕は兵士の皆さん向いて笑顔で話し始めます。
「初めまして、僕の名前はロワ・タタンです。弓を教えた事は無いんですが、頑張って教えますので分からない事があったら何でも聞いてくださいね」
自己紹介を終えると、皆さんからパラパラと拍手が起こります。そんな中で、目つきが鋭い女の人が手を挙げる。
「なんでしょうか?」
≪あなたは本当に私たちに教えるに値するのでしょうか?≫
≪ロワは神級スキルの使い手だ。それじゃ不満か?≫
≪それはスキルが強いだけではないですか?教えるにはあなた自身が強い必要がありますよね?≫
ホウリさんの言葉には女の人が反論します。言っている事は間違っていない気がします。
「だそうだが、どうする?」
「どうしましょう?」
「俺に聞くな」
僕自身が強い事を証明しないといけない。問題はそれを証明する方法ですね。あ!だったら手っとり早い方法がありました!我ながらナイスアイディアですね。
「ふっふっふ、ホウリさん良いアイディアが浮かびました」
「一応聞かせてもらおうか?」
「あの方と実際に戦います」
「アイディアは悪くはないな」
「ですよね?」
ホウリさんのお墨付きがあると安心しますね。
ホウリさんは僕のアイディアを質問した女の人に通訳します。女の人は答える代わりに戦場の真ん中へと移動します。合意をいただけたみたいですね。
僕も戦いの位置に移動しようとすると、ホウリさんに肩を叩かれました。
「なんでしょか?」
「この戦いはお前の力を見せるのが目的だ」
「そうですね」
「ぴったりの戦い方があるんだが、やってみないか?」
「なんでしょう?」
「耳貸せ」
ホウリさんが僕の耳に内緒話をします。多分、人語を分かる人はいないから普通に喋っても良いと思いますが、気分の問題でしょう。
「……という戦い方だ。出来るか?」
「出来ますよ。難易度も高くないですし」
「普通は出来ないけどな」
「ホウリさんは出来ないんですか?」
「俺は出来る」
「じゃあ簡単ですね」
「いや、そのりくつはおかしい。スキルなしで出来る奴は世界でも片手で数えられる程度だと思え」
ホウリさんからの視線は冷たいですが、ホウリさんが考えた作戦なら安心ですね。
僕は安心して弓と矢筒を取り出して戦闘準備をします。
弓の張りを確認していると対戦相手の女の人がこちらを睨んでいる事に気が付きました。
≪あんたみたいな顔だけの男を見ているとイライラするのよ。さっさと人国に帰りなさい≫
言葉は分かりませんが、多分頑張りましょうみたいな言葉でしょう。
「お互い悔いのないように戦いましょう」
≪何ニヤついてんのよ!≫
「僕も負けませんからね?」
≪フンッ!≫
女の人はそっぽを向いて行ってしまいました。血気盛んって感じです。僕も負けないように頑張らないと。
≪いつでも良いですよー≫
ホウリさんに言われた通り、カタコトの魔語で女の人に先手を譲る。そういえば、あの人の名前はなんて言うんでしょうか?後で聞いてみましょう
女の人は僕が手を振ったのを見て弓に矢を番えました。そして、僕に狙いを付けるとそのまま矢を放ちます。
それを見た僕も矢を放ち、
「えい」(カアン!)
飛んできた矢と相殺させました。そして、回転しながら上へ弾かれた矢に向かって矢を放ち、真ん中からへし折ります。
≪な!?≫
≪なんだあの精度!?≫
≪矢を放つ速度も半端じゃねえぞ!≫
観戦している皆さんからざわめきが聞こえますが、気にせずお相手の次の攻撃を待ちます。
≪な、なめるな!≫
引きの強弱を変えて軌道を少しずつ変えながら、立て続けに矢が放たれます。これは凄い機転ですね。同じ軌道だと相殺されやすくなりますから、弓の引きで軌道を変えるのはいい考えです。
僕は関心しながらすべての矢を相殺し、同じように矢で真っ二つにへし折ります。
「いい手です!しかし、止まりながら放つだけでは足りません!動きながら放ってみた方が効果は高いですよ!」
僕の言葉が通じたのか分かりませんが、お相手は僕の周りを移動しつつ僕に矢を放ってきます。やっぱりこっちの方が高さと横の変化が出ますから効果的ですね。
僕がそう思っていると、飛んでくる矢の前に黒い丸が表れました。矢は黒い穴に吸い込まれると、背後から現れた穴から出てきました。
これは、『ディメンション』ですね。簡単に言えば、黒い穴に入れたものを別の穴から発射するスキルです。矢との相性が非常に良く、気を付けていても対処が難しいスキルです。その分、扱いも難しいですが、この方は完璧に使いこなしてますね。
スキルの効果的な使用法に関心しながら、さっきと同じように矢を弾いてへし折ります。
≪なんでこれが通じないのよ!≫
「凄いですね!さっき使ってなかったので、こんなスキルがあると思いませんでしたよ!」
普段からフランさんの特訓を受けてなかったら捌き切れてなかったかもしれません。上下左右前後すべての方向から30本以上の矢が飛んでくるとかいう無茶苦茶な特訓でしたが、役に立ちましたね。
そんな事よりも、この人の創意工夫とスキルは凄いです。見た目はかなりお若いですが、ここまでの戦闘技術があるなんて並々ならぬ努力があったのでしょう。
次はどんな攻撃をしてくるのかワクワクしながら待っていると、お相手は弓を落として両手を挙げました。
≪降参よ、私の負けだわ≫
ホウリさんから翻訳を聞いて、戦闘が終わったことを知ります。
僕はお相手に近付いて手を差し伸べます。
「とても強かったです!お名前を教えて下さませんか?」
≪……ペイトよ≫
不機嫌そうな表情をしながら、ペイトさんは僕の手を取ります。
「ペイトさんかなり強いですけど、僕の指導いります?」
「そりゃ強いに決まってるだろ。兵士の弓使いでリーダーやってる奴だぜ?」
「そうなんですか?どうりで強いわけです」
「そんな奴をロワはスキルなしで完封したけどな」
強かったとはいえ、ペイトさんの狙いとか力の調整とかはまだ改善の余地はありそうですね。そこを重点的に指導しましょう。
ペイトさんは不機嫌そうな表情のまま僕の手を離して、ボソリとつぶやきます。
≪あんたの事、認めてあげてもいいわ。次は本気のあんたを負かしてやるんだから≫
「僕だって負けませんよ」
良かった、認めて貰えたみたいですね。僕がホッとしていると、他の方々が僕の元へと殺到してきました。
≪お前凄いな!≫
≪リーダー倒しちまうなんて思わなかったぜ!≫
≪私にも弓を教えて!≫
一気に話されて何が起こっているか全くわかりません。
≪お前ら、ロワは魔語が分からないんだから一気に話さないであげてくれ≫
ホウリさんにたしなめられた皆さんが一旦離れてくれました。これは、ホウリさんがいないと大変な事になっていましたね。
「そ、それじゃ、特訓しましょうか」
≪≪≪≪はい!≫≫≫≫
ホウリさんに色々と聞きながら僕は弓の戦闘指導をするのでした。
☆ ☆ ☆ ☆
「今日はここまでです」
≪ありがとうございました!≫
その後はハプニングも無く、無事に戦闘指導が終了しました。
「はー、ちゃんと出来てよかったです」
「お疲れさん。この調子で最後まで頼むぜ?」
「はい……はい?」
ホウリさんの言い方だとまだ何かあるみたいな言い方ですね?
「今日って戦闘指導だけじゃないんですか?」
「この後、俺とロワとノエルで俺の今までの経験の劇をするって言わなかったか?」
「聞いてませんよ!?なんの為に劇なんてやるんですか!?」
「俺が今までどんな経験をしたのかが気になるみたいでな」
「ホウリさんが普通に話せばいいのでは!?」
「劇の方が分かりやすいだろ?」
「なんで初めに言わなかったんですか!?」
「悪い、言い忘れてた」
「ホウリさんに限って忘れるなんて事ないですよね!?」
絶対にわざと隠してましたよね?
「ノエルちゃんには言ったんですか?」
「これからだ。おーい、ノエル!」
「なーにー!」
ホウリさんに呼ばれたノエルちゃんが走って向かってきました。
「ノエル、この後に俺とロワと3人で劇をやりたいんだがいいか?」
「面白そう!」
ホウリさんの言葉にノエルちゃんが目を輝かせます。その様子を見たホウリさんは僕を無言で見つめてきました。
「分かりましたよ。やればいいんでしょう?」
「決まりだな。これがシナリオだから覚えてくれ」
「はーい」
「はあぁ」
シナリオを受け取った僕はホウリさんに流される形で劇をすることになったのでした。
ロワが順調に人間やめていってますね。嬉しい限りです。というか、最初の劇って何のシーンですかね?
次回も未定です。明日の私はなんとかしてくれるでしょう。
最近はポケカが流行っているみたいですね。環境デッキはエグゾデッキって聞きました。




