8話 初クエスト
「ここが竜山です」
サラさんに連れられて竜山に来ていた。
そこは遠くからでもワイバーンの姿が確認できる程数が多かった。
「普段はどうやって対処してたんですか?」
「普段ならCランク以上の冒険者を何十人かにお願いしてるんですが、今回は数が異常に多く中々人が集まらなかったんです」
成る程、だから俺に依頼したのか。俺は納得して、再び竜山の方を見た。
“ナビー、数はわかるか?”
“はい、数は約300頭、その中には稀少種もいます”
“稀少種?”
“稀少種とは極稀にでてくる突然変異をしたモンスターで強さは通常より数段強いといわれています”
へー、そんなのもいるのか。
俺はそんなことを思っている内に竜山にいるワイバーン達が一斉にこちらに動きだした。
「それではシンさん頑張って下さい」
そう言ってサラさんは後ろに下がった。
俺は体制を整え右手を上から下へ降り下ろした。
“サンダーレイン5倍”
ザ!!ザァァァァン!!!!!!!!!
その瞬間、落雷が絶え間なく降り注ぎ、ワイバーン1体、1体に直撃していった。ワイバーン達は黒焦げになり次々と落ちていった。
まるで地獄絵図だな。
雷魔法 上級 “サンダーレイン”
上から落雷のように大量の雷を降り注ぐ魔法。
一瞬でワイバーンが全滅しとのでサラさんの方を向いたら、
「...........。」
唖然としながら口をパクパクさせていた。
「あのー、サラさん?」
「.....え...今、何したんですか」
「いや、雷魔法でちょちょいと」
「え!!シンさん雷魔法使えたんですか!!!しかもこんなのちょちょいとというレベルじゃないですよ!!!!」
サラさんは俺に迫りながら言ってきた。顔を近付けられて、少しドキドキする。何だかいい匂いがする。
というか、雷魔法は珍しいのか?
“魔法は基本生まれてくる才能できまりす。火、水、風、土、闇、光の属性があり、雷、氷、爆裂、回復、転移、結界といった物はとてもレアケースです”
すかさず、ナビーが答えてくれた。本当に有能だな。
「あー、いやまー、そ、それよりこれからどうするんですか」
俺は話を反らしながら言った。
「え?あ、あーそうですね。これだけの数は流石に回収は無理なので後でギルドの方に言って回収してもらいましょう。なので今回のクエストはこれで終了となります」
「そうですか。それで審査の方はどうでしたか?」
「充分合格です。正直Sランクでもいいくらいです」
そんなこと言われると少し照れるな。俺がそんなことを考えていると
「もしかしたら、この人なら.....」
サラさんが顔を俯かせて何か呟いていたが気のせいだろう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
俺達はギルドに戻ってザックにこれまでの事を報告した。
「規格外とは思っていたがまさかそこまでとわな。まぁ何にせよ、これでお前は晴れてCランクだ」
「ありがとうございます」
「これが今回の報酬だ受け取りな」
そう言ってザックから金貨20枚入った袋を貰った。ダークドラゴン程ではないが結構大金だ。
報酬を貰って俺はギルドを出ようとしたら
「あ、あのシンさん!!」
サラさんが俺を呼び止めた。
「何ですかサラさん?」
「あの、少しお話があるんですが、この後時間ありますか?」
そう聞かれて俺は少し悩んで
「はい、いいですよ」
特に断る理由は無いので誘いを受けることにした。
「そうですか、じゃあ着替えてくるので少し待っててください」
そう言ってサラさんは嬉しそうに駆け足で走っていった。
にしても、いったいどんな話があるんだろうか。