52話 これからも
決闘が終わってからは淡々と事が進んだ。
先ず条約に関してはしっかりと結ばれた。
俺に瞬殺された魔人族達はこれからの事を考え悲しみに暮れていたが、平和条約を結ぶと言われ何を言っているか分からないという感じでポカンとしていた。
平和条約が結ばれてからは先ずヒュージ大陸からデーモ大陸を、ビーン大陸からデーモ大陸を結ぶ定期便の船が造られた。
そしてそれぞれの特産品を使って貿易が行われるようになった。
これは商人達がご満悦の御様子だった。
魔人族、亜人族、人族の中も少しずつよくなってきた気がする。
元々いがみ合っていた理由が唯の種族差別だ。
それぞれの長所を互いに認め合い、これからもやっていくことは出来るだろう。
そんなこんなで種族問題が解決しこの世界に変化が訪れた所で、俺にも変化が訪れた。
ゲルマニア王国の次の国王が決まりいよいよ俺とミリー達の結婚式が始まった。
人族、亜人族、魔人族、エルフの結婚とあって式には大勢の人と沢山の種族が参加していた。
俺は今、結婚式会場でミリー達がいる部屋を目指して歩いていた。
コンコンッ
「入るよー」
俺はガチャッとドアを開けた。
そこには目を疑うような美しさを持った天使達がいた。
「あ、シン様!」
「どうシン君?このウエディングドレス」
「似合いますか?」
「少し動きづらいわね」
上からミリー、リン、サラさん、シルフがそれぞれ返事をした。
「皆凄い綺麗だ」
俺が素直にそう言うと、
「そ、そうですか」
「えへへ」
「あ、ありがとうございます」
「べ、別にあんたの為じゃないんだから」
皆照れ臭そうにしていた。
てかシルフ、ここでツンデレをだしても意味ないぞ。
「そういうシン君も似合うよ。王子様みたい」
リンが俺を見ながら言った。
「そうか?」
「はい、とってもお似合いですよ」
「格好いいですよシン様」
「わ、悪くないわね」
ミリーとサラさんも俺の服装を見て褒めてくれた。
シルフは俺を見ると顔を少し紅くしてそっぽを向きながら言った。
素直じゃないな。だが、そこがいいんだけどな。
係の人に呼ばれ、俺達は会場に向かった。
会場に着くと、大勢の人が俺達を出迎えてくれた。
「リンに何かあったら許さねぇぞ!!」
「サラさんを幸せにしなかったらぶっ殺すぞ!!」
「王女様を泣かせたらお前を呪う!!」
「シルフさんを大切にしろよ!!でなかったら叩き潰す!!」
出迎え....出迎え....出迎え?
辛辣な出迎えで若干ビックリしたが、皆心では祝ってくれているんだろう。
きっとそうだろう...うん...きっと...。
結婚式は盛大に執り行われた。
沢山の種族が参加しているため多少不安はあったが特に問題もなく無事に終わった。
結婚式が終わった夜、家のベランダで一人立っていると。
「シン君」
後ろからリンの声が聞こえた。
振り返るとそこにはリンだけでなくミリーやサラさん、シルフもいた。
「今日は楽しかったですね」
「そうたな。無事に終わって良かったな」
「そうですね」
会話が途切れしばらく沈黙が続いた。
「皆、これからもよろしく頼むな」
「はい!」
「はい」
「うん」
「当然よ」
「ありがとう皆、愛してる」
そう言って俺は四人を抱き締めた。
いきなり死んで異世界に転生して神の子になったけど、思えばこんな幸運二度とないだろうな。
ーーーこれからも幸せな時間が続きますようにーーー
早いようで長い2ヶ月間。
これで終わりになります。また気が向いたら違う作品を書きますのでその時はよろしくお願いいたします。




