47話 歓迎会
シルフを嫁に迎えて、俺達は城に数日間滞在さした。
その時にシルフの婚約が公表され市民からの嘆きという名の歓声が巻き起こった。
やっぱりシルフも人気あったんだな。
そこから俺達はシルフを連れてヒュージ大陸の方に帰った。
そこから王都に着き直ぐにこちらでも亜人との平和条約を発表した。
この発表に市民達は亜人達と同じく目を点にしていた。
平和条約を結んだ為、これからビーン大陸とヒュージ大陸を行き来する船が定期的に出ることになった。
まだぎこちない所はあるだろうが、そこは時間が解決するだろう。
一方俺達はというと帰宅してすぐシルフの身の回りの物を集めに買い物に出掛けた。
当然シルフも連れていった為俺達はとにかく目立っていた。
ミリー達も居たため声を掛けてくる輩がいたが直ぐに返り討ちにあった。シルフの手によって。
王族の護衛もしたことがあるらしくその時の癖で不審な奴には直ぐに手が出るようになってしまったらしい。
これから大丈夫だろうか。
これから先不安である。
家に帰ると一台の馬車が停まっていた。
「失礼ですが、シン様でございましょうか?」
馬車から執事らしき老人が声を掛けてきた。よく見ると頭には羊の角らしき物が生えていた。
「そうですけど、貴方は?」
「失礼致しました。わたくしは亜人族の貴族様達より使いで参りました。この度は婚約おめでとうございます。つきましては、こちらはその婚約祝いです。どうぞお受け取り下さい」
そう言うと馬車から大きな樽が何個も出てきた。
「これは?」
「はい、こちらはお酒でございます。我ら亜人族には婚約の祝いにはお酒の入った樽を送る習わしがあるのです」
「そうなのか?シルフ」
「そうよ、私達亜人族は王家や貴族の娘が婚約するとその家にお酒の入った樽を送る習慣があるのよ」
そんな習慣があるのか。
「分かりました。そういうことでしたら喜んでお受け取りします」
「そうですか。では此方の樽を御自宅の方まで運ばせていただきます」
老執事の人がそう言うとどこから現れたのか若い執事が出てきて、沢山あった樽をすぐさま運び出した。
樽は次々と運ばれ、直ぐに家の中に入れられた。
「それではシン様。わたくし達はこれで」
老執事達は一礼して馬車に乗り去っていった。
にしても酒か。
「皆ってお酒飲んだことある?」
「わたくしはワインなら少し」
「私はあんまりありません」
「私もない」
「毎日修行ばっかでお酒なんて飲んでる暇なんてなかったわ」
となると経験があるのはミリーだけか。
といっても中身を見たがこの樽の中にある酒はワインではなく日本酒みたいな感じだったから初めてに等しいだろうな。
この世界では一応15才から成人となっているから飲むことには飲める。
「折角の機会だ。この酒を使ってシルフの歓迎会をしよう」
「あら、いいですね」
「やりましょうか」
「楽しみだね~」
「い、いいのかしら」
ミリー達は賛成していたが、シルフは自分の歓迎会と聞いて恐縮していた。
「いいんだよ。折角の機会だ。楽しもうぜ」
「そ、それもそうね」
かくしてシルフの歓迎会が始まった。
だが俺はまだ知らない。これから始まるあのカオスと化した出来事を。
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