44話 接戦って難しいな
準備が整ったと言われ、俺は闘技場のフィールドの方に向かった。
にしてもいきなり亜神がでてくるとは思わなかったな。
しかも八百長をお願いしてくるとはな。
まあ接戦の末勝つって感じで手を打ってくれたんだけど、よくよく考えたらさ
接戦ってどうやるんだろ?
こいつ何言ってんだ?と思うかもしれないがよく思い返して見てくれ。
俺が一度でも接戦な戦いをしたことがあるか?
戦神の時は最初は防戦一方だったし、後半はすぐに勝負が付いたから接戦になっていない。
だから俺に良い感じの手加減って出来るんだろうか。
少し心配になってきたな。
そんなことを思っていると闘技場のフィールドについた。
観客は超満員で既に盛り上がっていた。
「おい、出てきたぞ!!あいつが人族の代表か」
「なんだ弱そうだな!」
「シルフ!あんな奴ボコボコにしてやれ!!」
「亜人の底力を見せてやれ!!」
言いたい放題だな。
こんなんで平和条約なんて結べるのか?
完全にアウェイだな。
俺の味方は王様やミリー達だけだな。
ミリー達の方をみると俺が非難されている声を聞いてリンが殺気を放っていた。
周りの亜人達はリンの殺気に当てられ静まり返っていた。
耐えてくれ、リン。
フィールドの中央にはシルフは腕を組みながら仁王立ちしていた。
「逃げなかったことだけは褒めてあげるわ」
「あんなん言った手前逃げる訳ないだろ」
そう言いつつ俺はシルフのステータスを見た。
名前 シルフ・ウーレン 17歳 亜人族 Lv.70
HP 14800/14800
MP 17580/17580
攻撃 6280 (+2000)
防御 5880 (+2000)
俊敏 8800 (+2000)
幸運 100
ユニークスキル
神獣化 亜神の加護 神聖剣術
スキル
身体強化 成長速度倍増(中) 雷魔法
称号
亜神に愛されし者 剣聖
レベルは一般に比べればかなり高いな。
スキルも見たことないのがあるな。
神獣化
己の体を神獣へと変化させ、ステータスを2倍にあげる。レベルが80以上になると使えるようになる。
これが亜神の言っていた奴なのだろうか。
亜神の加護
亜神がヒトに与えし力、幸運以外の基本ステータスが2000上がる。少しだけ神力を使えるようになる。
神聖剣術
神力を使った剣術。魔法を無効化する力がある。
亜神の加護ってステータスを上げる以外に神力も使えるようになるのか。
しかも魔法を無効化する剣術か。
これは少し厄介かな。
「残念だけどあんたは私には勝てないわ」
すると唐突にシルフに喋り始めた。
「へー、何でだ?」
俺は若干棒読みで言った。
「ふふ、何故だと思う」
シルフはニヤニヤしながら言った。加護の事だろ早く話せよ。
「なんと私には亜神様の加護があるのよ!!」
どう、凄いでしょ!と言った感じにシルフはどや顔で言った。
「へー、そりゃあ凄い」
俺はわざとらしく棒読みで言った。
「そうでしょ!だからあんたは勝てないわ降参するなら今よ」
何だろう、何かこいつが物凄く馬鹿っぽく見えてきた。
いや、馬鹿か。
「いいから早く始めようぜ」
これじゃあ何時になっても始まらない。
「それではルールを説明します」
審判の人が前に出てきて説明をしだした。
「ルールは武器や魔法は有りで相手を気絶させるか降参させれば勝利となります。尚、殺しは厳禁ですのでご注意下さい。よろしいですね?」
「はい」
「わかったわ」
「それでは両者、始め!!」
決闘が開始しシルフは即座に動いた。
「一撃で決めてあげるわ!斬撃波!!」
シルフは持っていた剣に光を纏い、横に一閃すると、光が俺に向かって飛んできた。
そんな技があるんだな。
驚いたがステータスの差だろう、俺は横に移動し避わした。
「甘いわよ!」
そう言ってシルフは連続で剣を振って斬撃を飛ばしてきた。
速さはそれなりにあるだろうが俺余裕で避わし続けた。
「へー、少しはやるじゃないの。だったらこれでどう!」
これでは俺は倒せないと判断したのかシルフは斬撃を止めて、俺に斬りかかってきた。
「ボルテッカー!」
体を一部雷に変え、一気に俺に接近してきた。元々俊敏が高かったので速さはかなりのものだった。
俺は即座に武器創造で剣を造り、シルフの剣を受け止めた。
「まだまだよ!!」
そこからシルフは連続で剣を振り続けた。俺は受け止めるだけで精一杯という感じを演じていた。
「ほらどうしたの!反撃してみなさいよ!」
調子ずいたのかシルフは顔をニヤつかせながら言った。
ここいらで反撃しておこうか。
そう思い俺はシルフの剣を弾き両手をばんざいさせた。
「なっ!」
シルフは一瞬体を硬直させた。俺はその隙を見逃さずすかさずシルフの腹に蹴りをいれた。
「ぐぅぅ!!」
シルフは少し吹っ飛びお腹を抑えながら立ち上がった。
「はぁ、はぁ、やってくれるじゃない」
結構効いたのだろうか、シルフは既に満身創痍だった。
あれ、少し強すぎたかな?
「しょうがないわ。まだレベル80以上になっていないからどうなるか分からないけど、やるしかないようね」
え、ちょっと待って、まさかこいつ。
「ちょ、ちょっと待て!」
「今更命乞いしたって無駄よ!行くわよ、神獣化!!」
シルフの体が急に光だした。するとシルフから悲鳴が聞こえた。
「何これ!....嫌!やだ、助けて......」
段々彼女の声が聞こえなくなり光が消えていった。
そこには彼女の代わりに体長5メートルはあるだろう銀色の狼がいた。
「ワオォォォォォン!!」
狼の遠吠えは会場中に響き渡った。
辺りには彼女の防具が散乱している。あの狼がシルフで間違いないだろう。
これは、急いで止めなくちゃな。
接戦って難しいな。
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