36話 親子の時間
ドアの先の部屋は白を基調とした生活感のある感じだった。
「それじゃあ!!先ずは一緒にご飯を食べましょう。ちょっと待っててね」
そう言ってライヤはキッチンに入った。顔がとても嬉しそうにしていた。
その顔を見て俺は思わず笑みが溢れた。
自分の子供が出来て嬉しいんだな。
一日ライヤと過ごす身としては少し嬉しい気持ちになる。
「さあ、どうぞ!」
テーブルの上には見るからに美味そうな料理が並んでいた。
俺は早速その料理を口にした。
「どう?」
「凄く美味いな、ライヤ」
「うふふ、よかったわ~。でもねシンちゃん、ここでは私の事はお母さんと呼んで」
「分かったよ、母さん」
俺がそう呼ぶとライヤはとても幸せそうな顔をしていた。
「はいシンちゃん、あ~ん」
母さんと呼ばれて調子に乗ったのかライヤは突然俺にあ~んをしてきた。
「それ親子でやることか?」
「いいの、私がしたいんだから。さあシンちゃんあ~ん」
仕方ないのでライヤに出されたスプーンを口にしようとしたとき
「シン君!!!」
リンが勢いよく入ってきた。
「リンさん!流石に早いです!!まだ耐えてください!!」
「そうですよ!!あ~んはまだ我慢してください!!」
そしてリンを止めるためミリーとサラさんも入ってきた。
リンのステータスからして二人が止められる筈もなくそのまま真っ直ぐライヤの下に向かっていった。
このままじゃ不味いので俺は間に入った。
「どいてシン君!そいつ殺せない!!」
「嫌殺しちゃ駄目だから!少し冷静になってくれリン。後でリンにもしてあげるから!!」
「そうですよ!!後でわたくし達にもして貰いましょうだから今は耐えてください!!」
「.....分かった。でも後でちゃんとしてよねシン君」
そう言ってリンは部屋から出ていった。
ミリーとサラさんもリンが出ていくの見て安堵しながら部屋を出た。
「それじゃあ続きと行きましょうか」
この先大丈夫だろうか。
不安になってきた。
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何とか食事が終わり今度はライヤに膝枕されていた。
「うふふ、シンちゃーん」
ライヤは俺の頭を撫でながら言った。
ドア越しにリンとミリーの声が聞こえる。頑張ってくれミリー。後で何かご褒美でもあげよう。
「それじゃあこのまま耳掻きするわね」
そう言って何処から出したのか耳掻き棒を出してライヤは俺に耳掻きを始めた。
「結構耳垢が溜まってるわね。ちゃんと掃除しなきゃだめよ」
「は、はい」
ライヤの言葉に何故か敬語になってしまった。
しかしあれだな、普段耳掻きとかしないから分からなかったが耳掻きって案外気持ちいいんだな。
俺は少し顔が緩んだ。
その瞬間ドア越しのリンの声が大きくなった。いかんいかんこれはリン達も見ていたんだった。下手なことをしてまたリンが来たら面倒だ。ここは多少我慢しよう。
「さあ、反対を向いて」
ライヤに言われ俺は体を反対向きにした。顔がライヤの方に向いた。
何か少しドキドキするな。
リンがまた騒いでいる声が聞こえる。頼むミリー、頑張ってくれ。
「はい、これで耳掻きはおしまい」
そう言ったので俺は起き上がった。もう少しあのままでも良かった気もするがこれ以上リンを刺激しては不味い。
「それじゃあ次は」
ライヤは少し間を開けた。
「一緒にお昼寝しましょう」
「い、一緒に!?」
「そう、一緒に」
いやまてまてここで一緒に寝てみろ、リンが暴走しかねない。
「い、いや急に言われても別に眠くないんだけど」
「そう?じゃあ別の機会にしましょう」
ふう、何とか回避出来た。
「だったら一緒にお風呂に入りましょう」
もっとやばいのが来た!!!
「い、いや流石に一緒に風呂はちょっと.....」
「恥ずかしがる事ないわよ~。今は親子なんだから~」
いやそういう問題じゃないから!!
「それじゃあ行きましょう」
そう言ってライヤは俺の手を引っ張った。
「い、いやちょっと待って!!」
そんなことしとら
「ちょっと待って下さい!!」
ですよねー。
俺が風呂場に入れられようとした時、ミリー達が止めに入った。
「流石にそれは駄目です!!」
「そうですよ!!私達だってまだ一緒に入ったことないのに!!」
ミリーとサラさんが猛烈に抗議してきた。
リンはというと下を向いたままぶつぶつと何かを言っていた。
「許さない許さない許さない許さない許さない許さない。でもここで耐えなきゃシン君に....」
耐えすぎておかしな事になってるな。ここはそっとしておこう。
「え~駄目なの~?いいじゃない減るもんじゃないし~」
そう言ってライヤは俺に抱きつきながら言った。
「...殺す!!!!」
遂に我慢の限界か、リンはライヤに襲い掛かった。
「あら、もう時間ね。名残惜しいけどもう行かなくちゃ。それじゃあね、また会いに来るわ~」
するとライヤは逃げるようにして去っていった。
嵐のように去っていったな。
「リン、大丈夫か?」
まだ興奮状態のリンに言った。
「.....シン君」
リンは俺に抱きつき
「今から私をあの女とした事以上の事をしてくれなきゃ、嫌」
甘えた声で言った。
「そうですよ、私達にもしてください」
「ずっと見てて私だって嫉妬してたんですからね」
二人も俺とライヤを見て嫉妬していたようだ。
「あー、任せろ」
この後、添い寝や膝枕、耳掻きなど飽きるまでやり続けた。
ーーーーーーーーシンが膝枕をしていた時
「シン君にあんなことして....許さない」
「リンさん落ち着いて下さい。今出ていってもどうしようもないですよ」
「許さない....殺す」
「今出ていったらシン様に迷惑が掛かりますよ」
「ぐっ!!」
「そしてそこでシン様の機嫌を損ねれば」
「そ、損ねれば?」
「あ~んもしてくれなくなるかもしれません」
「えぇ!!!」
「そんなの嫌ですよね?」
「う、うん」
「だったらここは我慢しましょう。そしてその後にシン様に我慢したご褒美でも貰いましょう」
「ぐっ!!わ、分かった」
「.....ミリーさん、凄い」
言葉巧みにリンを抑えてるミリーをサラさんは呆然と見ていた。
この後もミリーは言葉巧みにリンを抑えていた。
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