29話 ヤンデレになってる
「シン君?」
「凛?」
目の前にいる少女の声に俺は思わず凛の名前を呼んでしまった。
「シン君!!」
すると凛と思わしき少女は俺に飛び込んで抱きついてきた。
「シン君!シン君!!シン君!!!」
その少女は俺に抱きついたまま、何度も俺の名前を呼んだ。次第にどんどん声が大きくなってる。
「本当に凛なのか?」
俺は抱きついた少女を呆然と見ながら言った。正直まだ頭が追い付いていない。
「そうだよ、シン君。やっと会えた」
凛は俺に抱きついてきたまま言った。声が少し涙声だった。
「凛?」
俺は涙声になった凛をみて言った。すると凛は顔を上げた。凛の目から涙がでていた。
「ごめんなさい、シン君。私のせいでシン君が死んじゃって...私!!」
段々凛の体が震えていた。
俺は凛をそっと抱き締めた。
「気にするな。別に凛が悪い訳じゃないし、俺も恨んでいる訳じゃないんだ。だから気にするな」
俺の言葉に凛は更に涙を流しながら俺をぎゅっと抱き締めた。
「シン君....うぅ...シン君」
しばらくの間俺達は抱き締めあった。
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「落ち着いたか」
「うん、ありがとうシン君」
「気にするな、それよりどうして凛がここにいるんだ?」
俺は落ち着いた凛にこれまでの経緯を聞いた。
「成る程、異世界召喚されるのは本当だったのか」
「うん、それで私が勇者になったの」
勇者か、確かにリンのステータスに勇者の称号があるし強さもそうとうあるな。
スキルもやたら闇系が多いが勇者と言われるだけある。内容が何か変だったがまぁいいや。
「にしても、何で兵士達が倒れているんだ?」
リンとの再会で忘れていたが、今俺の周りには沢山の兵士や執事が倒れている。
「それは、私に気安く触ろうとしたから」
「......へ?」
予想外の返答に俺は一瞬固まった。
「だってそうでしょ、私はシン君の物なのにシン君以外の人が私に触れようなんてそんなことさせるわけないでしょ」
え、誰の物だって?
え、ちょ、ちょっと待て、リンってこんな感じだったっけ?
何かリンの周りに黒い煙がでてきた。
「ちょ、ちょっと落ち着けリン」
「私が好きなのはシン君なの。他の誰でもない」
何だろう、今嬉しいこと言われたのにこの素直に喜べない感じ。
今何故リンのスキルがああなったのか何となくわかった。
リンが知らないうちにヤンデレになってる。
「リン!!落ち着け!!」
俺はリンの肩を揺らしながら叫んだ。
「え、あ、ごめん。つい感情的になっちゃった」
ついってレベルだろうか。しかしあれだな、これからリンと喋る時は注意が必要だな。
「それよりもこれからどうするか」
流石にこのまま放置する訳にはいかない。
「なあ、ここに魔王とかいなかったか?」
「いたよそこで、気絶してる」
どうやらヤンデレ化したリンを見ていちはやく気絶したらしい。運がいいな。
「おい、起きろ」
俺は早速魔王を起こした。
「....ん、ここは?」
「起きたか。魔王、あんたに話がある」
「お、お前は誰だ?...そうだ!!あいつは!!」
魔王は目覚めるとリンがいないか辺りを見回していた。
「さっきはよくも馴れ馴れしく触ってくれたね」
「ひぃ!!」
リンに睨まれ魔王は小さな悲鳴をあげた。
「いいか、よく聞け。このままじゃお前は殺される.......リンの手によって」
正直リンは今にも魔王を殺しそうな勢いで睨んでいる。
「あんたに与えられた選択肢は二つだ。一つはこのままリンに殺させるか、二つ目は俺とある契約を結ぶか」
「契約?」
俺の言葉に魔王が反応した。
「そうだ、契約の内容は今後一切人族や亜人族に攻撃を仕掛けないことだ。勿論相手から攻撃してきたら対抗する位は許してやる。さあどうする?」
「する!!約束する!!」
俺の話しに魔王は即座に了承した。
そんなにリンが恐いのか。
「では契約を結ぶ。契約魔法」
その瞬間俺と魔王の間に光が現れ二枚の紙とペンがでてきた。
「これより契約を結ぶ。内容は魔人族は今後一切人族または亜人族すに攻撃を仕掛けないこと。ただし相手から攻撃をうけたら対抗はしていいものとする。もし契約を破ればお前の命をないものとする。わかったらこの紙にサインを」
そういって俺は魔王に紙とペンを渡した。
魔王は紙にサインを書き始めたので俺も紙にサインを書いた。
「これで契約は完了だ。お前の命は保証してやる。それじゃあな」
そういって俺はリンと共に城をでる。
「まて」
突然魔王に呼び止められた。
「お前魔人族じゃないな。お前何者だ」
腐っても魔王なんだろう。俺の変化魔法をみやぶるとはな。しょうがないので俺は変化魔法を解き魔王に向き直した。
「俺はシン。ただの人族の冒険者だよ」
そういって俺達は城をでた。
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