26話 デーモ大陸
死んだ、シン君が死んだ。
私、滝島凛は放課後彼と下校をしていた。
『何で学校ではいつも一人でいるの?』
『凛といた方が楽しいからな』
『そ、そうなんだ』
いつもと何らかわりない日常だった。
『じ、じゃあまたねシン君』
私はシン君にあんなことを言われて少し恥ずかしくなり顔を隠しながら歩いていると
『凛!!』
後ろからシン君が私の名前を叫びながら走ってきた。そして私を突き飛ばしトラックから身を守ってくれた。
そこでシン君が死んだ。目の前で死んだ。
受け入れたくない。
こんなの嫌。
嘘だと言ってよ。
私は少しの間精神が不安定になり学校を休んだ。
友達のゆえちゃんの支えもあって少しずつ精神が落ち着き私は学校に行くようになった。
学校の廊下である話し声が聞こえた。
「なぁ知ってるか二年の高木が事故で死んだって」
「あー、知ってる知ってる。何でも滝島さんを庇って死んだって」
「らしいけど、実は滝島さんを突き飛ばそうとしたのかもしれないぜ。あいつファンクラブの連中にイジメ受けてたし」
イジメ?どういうこと?
私はしばらく二人の話を聞いていた。
シン君がイジメを受けていたこと、そしてその原因が私だということ。
嘘よ。だってシン君はあの時
『凛といた方が楽しいからな』
そう言ってくれたし....。
「にしてもあいつよく滝島さんとずっと一緒にいたよな」
「確かに、あいつ滝島さんの前だといつも見栄を張るからな。一緒にいればイジメも増すだけなのにな」
私の前だと見栄を張っている....。
違う、そんなわけない!!シン君はそんな人じゃない!!違う、違う、違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う!!
そんなわけない!!私のシン君がそんなこと言うはずがない!!
「そうだよね....シン君」
その瞬間私の足下が急に光だした。
目の前が真っ白になった。
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ザックに呼ばれ、俺はギルドに来ていた。
「来たか、シン。まぁ座れ」
「で、今日は何の用だ?」
俺はそう言いながらソファーに座った。
「実はお前に依頼がある」
「依頼?」
「そうだ、お前には来週にデーモ大陸に行ってもらいたい」
「デーモ大陸ってあの魔人がいるところか?なんでまたそこに」
俺の疑問にザックは神妙な顔付きで言った。
「実は魔人が近々戦争を仕掛けてくる」
俺はザックの言葉に驚いた。
「戦争?何でまた」
「理由としては、魔人達の戦力が整いつつあるからだ。ぶっちゃけ戦争に関してはいつ起きても不思議ではなかったんだ。それほど国同志仲が悪いということだ」
知らなかった。国同志そんなに仲が悪かったのか。
「因みにどうやって戦力を整えるんだ?」
「俺も聞いた話だが」
ザックが微妙な顔付きをしながら
「魔人はどうも異世界召喚をするらしい」
「異世界召喚?」
俺はその言葉に動揺した。
「あー、俺も俄には信じられないがどうやらそういうことらしい」
この世界にも異世界召喚を行う事ができるんだな。
「で、結局俺の依頼内容は何なんだ?」
「お前には直接デーモ大陸にいってこの話が本当か調査をしてもらいたい。場合によっては魔人達を殲滅しても構わない」
「ようするに偵察か」
「そういうことだ」
ザックの話を聞いて俺はある疑問が生まれた。
「てか何で俺なんだ?別に他にも幾らでもいるだろ」
今回の依頼が調査だけなら別に俺でなくてもいいはずだ。
「いやな、このクエストを誰に託すか国王様と話したときにミリー様がお前にすべきといわれたからな」
どうやらミリーの仕業らしい。
「聞くところによるとお前自分の姿を変える魔法が使えるみたいだな」
あれ?ミリーに俺の変化魔法見せたっけ?
サラさんにでも聞いたんだろうか。
「それにお前さんの実力なら申し分ないからな、引き受けてくれるか?」
そうだなー、まぁ確かに一度はデーモ大陸も見てみたいな。
「わかった。引き受ける」
「そうか!!いや、ありがとな!!」
俺が依頼を受けてホッとしたのかザックは嬉しそうにしながら言った。
少し準備もしたかったので俺はギルドを出た。
魔人か、少し楽しみだな。
ブグマ評価よろしくお願いいたします。




