21話 アスラ
よくわからない茶番が始まったが、俺は等々優勝できた。
いやー、ここまで来るのに苦労し....てないな。
全試合一撃で終わったからな。
達成感何てない。
「それでは!!!これより表彰式を行います!!!優勝者は前に出てきて下さい!!!」
司会に呼ばれ、俺は前の表彰台に立った。
そこには王様とミリーがいた。
「それではこれより!!!優勝賞金をミリー様から直々にお贈りいたします!!!」
司会がそう言うと一人の兵士がミリーに賞金を渡そうと近づいてきた。
それにしても金貨100枚か、また大金を手に入れたもんだな。しばらくはなにもしなくても生きていけそうだな。
俺がそんなことを考えていると兵士がミリーに賞金を渡そうとしていた。
その瞬間、ミリーの足下に魔方陣が表れた。
「え?」
シュンッッ
ミリーが驚いた声を出してすぐに、ミリーの姿が消えた。
転移魔法か。
“ナビー、ミリーの居場所を突き止めてくれ”
“畏まりました。少々お待ち下さい”
突然の事で状況が掴めてない人が多い中、
「ミリー?ミリー!?ミリーは何処だ!!」
ミリーの父であるエリックが物凄く動揺していた。
「落ち着いて下さい、国王様」
近くにいた兵士が国王を宥めようしたが
「これが落ち着いていられるか!!!ミリーが拐われたのだぞ!!やっぱりあの手紙は本当だったのだ!!」
国王が声を荒げながら言った。
それにしても、あの手紙とはなんだ?
「国王様」
俺は国王に話しかけた。
「君は確かミリーを助けてくれたシンだったか」
「はい、国王様はあの手紙とは何ですか?国王様は何かご存じじゃないんですか?」
俺がそう聞くと国王は押し黙った。
「今さら隠しても後々知られるであろうな」
そう言うと国王は静かに語りだした。
「実は城にある手紙が届いたのだ。その内容は近々ミリーを魔神復活の生け贄にするから覚悟しておくようにというものだった」
「魔神復活?」
「そうだ、そこで我々で犯人を調べあげたらある教団の名前が出てきた」
国王は少し間を開けて
「その教団の名は“アスラ”魔神アスラを信仰としている教団だ。その教団がミリーを生け贄として魔神アスラを復活させようとしていると我々は睨んでいる」
「何故ミリー、いや、ミリー様を生け贄にしなくてはいけないんですか?」
「それは魔神を復活させるには我ら王族の血が必要だからだ。だから奴等はミリーが一番人目につきやすいこの時を狙っていたのだろう」
国王はそんなことを言っているが、ミリー結構城の外にでてるよな。
国王は気付いていないんだな。
「そこでだシン」
落ち着きを取り戻した国王が真剣な顔付きをしながら言った。
「今回の大会で優勝したものにミリーの婚約者になれる権利を与えたのはミリーを守れる程の強者に出会えると思ったからだ。正直我兵士達では数々の修羅場を潜り抜けてきた冒険者と比べるといささか力不足なのだ」
そう言うと国王は姿勢を但し俺に頭を下げながら
「頼む、どうかミリーを助けるために力をかしてく『いいですよ』いいのか!?」
国王の頼みに俺は即座に了承した。
「たとえ国王様に頼まれなくても俺はミリー様を助けるつもりでした。それに」
「それに?」
「ミリーは俺の大切な友人です。友人を助けるのは当たり前でしょ?」
俺が国王にそう言うと
「友人....か。成る程そうか、ミリーとシンはそのような関係であったか。ミリーもいい友人を持ったな。ではシン、ミリーをよろしく頼む」
「お任せ下さい」
俺が国王にそう言うとすかさずナビーに
“ナビー、ミリーの居場所はわかったか?”
“はい、ミリー様はここから数十km離れた地点にいます”
“そうか、わかった。ここから転移はできるな?”
“はい、可能です”
よし、だったらさっさと助けに行くか。
「国王様、それではいって参ります」
俺は国王にそう言って、転移魔法でミリーの所まで転移した。




