18話 何このデジャブ
俺はミリーに優勝すると約束し数日が経ち、武闘大会当日となった。
まず予選に参加するため俺は闘技場の方にに向かった。
「あ、シンさん!!」
闘技場に向かう途中サラさんに出会った。
「こんにちはサラさん。何してるんですか?」
「実は今日は武闘大会のお手伝いをすることになったんです」
「そんなんですか」
「シンさんやっぱりでることにしたんですか?」
「はい、面白そうなんで」
俺がそう言うとサラさんの顔が少し曇った。
「シンさん、実は今回の大会は優勝賞金の他にこの国の第一王女様と婚約する権利があるらしいんです」
サラさんが唐突に言った。もうその話しは出回っていたのか。
「それで、その、もしシンさんが優勝して王女叫んだと結婚することになったら私....」
自分で言ってて悲しくなったのかサラさんは段々目が涙目になっていた。
「安心してください。優勝しても結婚は断るつもりですから」
泣きそうなサラさんをみて、俺はすかさず言った。
「そうなんですか」
「はい、だから応援してください」
「シンさん....はい!!頑張ってください!!」
俺の言葉でサラさんの顔付きがどんどん明るくなり元気よく見送ってくれた。
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闘技場に付きいよいよ開会式が行われた。
「これより!!第91回ゲルマニア王国武闘大会を開始いたします!!司会はわたくし歩く騒音といわれるハウス・ウィッパーでお送りいたしましす!!」
開会式開始直後、マイクを持ったパーマの頭をした男性が丁寧な口調とは裏腹にばかでかい声で挨拶をした。歩く騒音ってそれただの悪口じゃないのか?
てかこれならマイクいらないんじゃね?
「今回の参加人数は過去最大の180人です!!!この中から各自予選を行い、本選に出場できるのは何たったの6人しかでられません!!!!」
たったそれだけしかいないのか。この人数で俺は驚いたが、やはりその声ならマイクいらないだろ。さっきから耳がキンキンする。
「予選の方法は各自A~Fブロックに30人ずつに別れてもらいバトルロワイヤル形式で行います!!!本選にでられるのは各ブロック一人だけとなります!!!!」
「ブロックの選出方法は先程選手達に引いてもらったくじにより既に決められています!!!!」
さっきやったあのくじか。俺はAを引いたからいきなり最初か。
「優勝者には賞金として金貨100枚が送られます!!!!」
金貨100枚か、すごい額だな、そりゃあ参加者も多いわけだ。
「何と!!!今回の大会は賞金だけでなく!!!この国の第一王女であるミリー・ゲルマニア様の婚約者になれる権利が与えられます!!!!!」
その言葉に参加者からは、お~という声が響いた。中には目がマジになっている奴までいた。
「説明は以上とします!!!これよりAブロックの予選を行いますので選手の方々は集合してください!!!」
司会の言葉にそれぞれ各々の場所に散っていった。
俺は予選が始まるまで待っていると
「シンさーーーん!!!」
観客席で俺に手を振っているサラさんがいた。
手伝いを終えたのか観客席にいた。
「頑張ってくださーーーい!!!」
俺はその言葉に答えるかのように手を振りかえした。
「おい、何だあいつ」
「あのサラさんと仲良くしやがって」
「気に入らねーな。予選が始まったら全員でまずあいつを先に殺ろうぜ」
すると、俺と同じAブロックの参加者達が一斉に俺に向けて殺気や嫉妬の眼差しが突き刺さった。
まぁいくら束になった所で大丈夫だろう。見たところ周りの奴等のステータスは平均レベル20くらいだからだ。
ただ視線が痛いな。
「これより!!!ゲルマニア王国武闘大会予選!!!Aブロックを開始いたします!!!」
周りからの視線に耐えていたら、そろそろ予選が始まるようだ。
「ルールは相手を気絶もしくは降参すれば失格となります!!!ただし殺しは反則とし失格となりますのでご注意ください!!!」
「なお予選開始前にこの国の第一王女であるミリー・ゲルマニア様から一言頂きます」
司会のハウスさんがそう言うと、闘技場の王がいる観客席からミリーが出てきた。
「皆さん、どうか怪我のないよう頑張ってください。」
ミリーが無難に挨拶をして、終わりだと思ったらチラッとこちらの方を向いて
「シン様!!応援してますので頑張ってください!!」
俺の名前を大声で言って、こちらに手を振ってきた。
あれ、ちょっと!?この場でそんなこといったら....
「またあいつかよ」
「サラさんといい王女様といい何なんだよ」
「羨ましいぶち殺してやる」
周りからまた嫉妬や殺気の視線が突き刺さる。
やっぱりこうなったかー!
いやまぁサラさんの自転で真っ先に狙われるのは確定してたんだがな。
「選手達からものすごい気迫を感じるので予選を開始いたしましょう!!!」
周りの異常性に気付き、司会はさっさと始めようしていた。
「それでは!!!予選Aブロック!!!開始!!!」
司会の合図と共に選手達は俺めがけて突っ込んできた。
「まずはテメーからだー!!!」
「死にさらせー!!」
「死ね!!このリア充がー!!」
みんな各々言いたい事をいいながら俺に斬りかかろうとしていた。
ここは一旦体勢を立て直そうと思い、全力で俺は威圧を発動した。
「ごちゃごちゃうるせー!!」
俺がそう言った瞬間、俺以外の予選の参加者全員が目を白目にしながら倒れていった。
あれ?どうなってんだ?レベル差があると相手を気絶させることも出来るのか?
“そういうことです”
ナビーが答えてくれた。どうやらそういうことらしい。
俺が一瞬にして選手達を気絶させたから観客達は何が起きたかわからず静まり返っていた。
何このデジャブ
俺がどうしようかと頭を悩ませていたら
「え、えーっと、いったい何が起きたのでしょうか?」
いち早く我に帰った司会のハウスさんが声が小さくなりながらいった
「見たところ一人を除いて他の選手達は全員気絶、本選に勝ち進んだのはCランク冒険者のシン選手となります」
司会が今だ呆けた感じで俺の勝利宣言をしたので俺はそそくさと退場した。
やり過ぎたな。