14話 まだ何もやっていません
どうしてこうなったんだろう?
俺は今、村の訓練場に立って天を仰いでいた。
「ストール!!あんな奴殺っちまえ!!!」
「人族ごときが俺達のサラにちょっかいだしてんじゃねー!!」
「身の程を弁えろガキがー!!」
「殺れー!!ぶっ殺せー!!!」
訓練場の周りから男達の罵声が響いていた。俺達が決闘すると聞いて駆けつけたんだろう。
すげー言われようだな。てかサラさんどんだけ人気あるんだよ。
「すいません!!シンさん。こんなことになって」
サラさんが頭を深く下げながら言った。
「気にしないで下さい。悪いのは結婚を迫ったあいつの方ですから」
そう、サラさんは別に悪くない。相手がいるといったのはびっくりしたが、あの場合だとそういうしかないと思う。
「ですが、またシンさんに迷惑をかけてしまって....」
「別に迷惑だなんて思ってないですよ。それにここまできたらもう後には退けません」
ここまできたら男としてもう引き下がれないからな。
「おい、そろそろ始めるぞ」
ストールが偉そうな言い方で言ってきた。
一応ステータスは見てみるか。
名前 ストール 19歳 エルフ族 Lv.35
HP 2680/2680
MP 4500/4500
攻撃 2690
防御 2400
俊敏 2480
幸運 100
ユニークスキル
精霊魔法
スキル
剣術 火魔法 風魔法
称号
なし
言うだけあって中々高いな。今まで見た人の中でも一番高いぞ。
俺のステータスはというと
名前 シン ??歳 神族 Lv.139
HP 624000/642000
MP 960000/960000
攻撃 118000
防御 100800
俊敏 105000
幸運 200
ユニークスキル
人化 神力 スキル創造 魔法創造 オールマイティー ナビゲーター 武器創造 解呪魔法
スキル
火魔法(極) 水魔法(極) 土魔法(極) 風魔法(極) 闇魔法(極) 光魔法(極) 雷魔法(極) 氷魔法(極) 爆裂魔法(極) 回復魔法(極)................魔法威力倍増(極) 武の天才(豪) HP自動回復(特大) MP自動回復(特大) 獲得経験値倍増(特大) 完全鑑定 超隠蔽...............剣術(豪) 槍術(豪) 投術(豪) 刀術(豪) 短剣術(豪).................. 弓術(豪) 二刀流(豪)
称号
転生者 神の子 ホムンクルス 超ドラゴンキラー
負ける要素が一切ないな。ステータスがとうとう十万代になったていた。何をしたら負けるのか想像がつかあないな。
「ルールは相手が降参するか気絶するかで殺しは無しだ。武器は互いに好きな武器を使う。勝った方がサラをてに入れる事ができるこれでいいな?」
「あー、それでいいぞ」
「ふん、精々楽しませてくれよ」
ストールはそういいながら腰に提げていた剣を抜いて構えた。
そして俺は手を前にだし何の変哲もない鉄の剣をだした。
「ほう、無限収納持ちか少しは楽しめそうだな」
ストールはそういったが実際は武器創造で作った只の鉄の剣だ。
「それでは....いくぞ!!」
そう言った瞬間、ストールは地面を蹴り俺に接近してきた。周りからしたら速いだろうが、俺にとっては止まってみえるな。
ストールはそのまま縦、横、斜めへと流れるように剣を捌いているが、俺はそれを軽々と避けている。
「ハッ!!避けているだけか貴様」
ストールはニヤリと口の角を吊り上げた。しばらく様子を見ようかと思っただけだが、どうやらストールは避ける事しか出来ないと思っているみたいだ。
それからもストールは休む事なく連続で剣を振っているが当たるは愚か掠りもしない。
「クソ!!クソ!!何故当たらない!!」
剣が当たらない事にストールは段々イライラしていた。
「ちっ!!だったらこれでどうだ!!」
剣術では無理と判断したのかストールはそう言って立ち止まり詠唱をした。
「我が手に集まれ、灼熱の槍!!ファイアーランス!!」
詠唱を唱えた瞬間ストールの頭上に長さ1.5メートルほどの炎の槍が出現し、俺に向かってきた。
それを俺は少し驚く様子を見せたが持っていた鉄の剣で叩き落とした。
俺が驚いたのはストールの魔法が凄いからではなく、ストールの魔法が余りも弱かったからだ。
正直何もしなくても無傷ですむ。俺が強いだけなのだろうがな。
「な、魔法を剣で防いだだと.....」
ストールは信じられないという顔をしている。
もうめんどうなので早く蹴り付けよう。
俺がそんなことを考えていると
「仕方ない、こうなったら...」
ストールは手を天に掲げた。
「我が問いに応え顕現せよ、火の精霊フェニックス!!」
その瞬間、ストールの上に赤い魔法陣が現れ赤い炎を身に纏った鳥がでてきた。
「クキャァァァァ!!!」
「ハハハ!!これで貴様も終わりだやれフェニックス!!」
ストールは声を高々にあげて言ったが、少し間が空いたもフェニックスは一向に来る気配がない。
「どうした!!何をしている!!やれフェニックス!!」
不思議に思ったストールが再度フェニックスに命令したがフェニックスは動かなかった。
それに俺を見て何か怯えているようだ。
どういうことだ?
“精霊は相手の強さの本質や性質を見抜く力を持っているので、ご主人様の本質を見て怯えているんではないでしょうか”
ナビーが答えてくれた。
精霊にはそんな能力があるのか。つまりあのフェニックスは俺の本質を見て俺が神だという事と、俺の実力を見て怯えているというわけか。
「何をしている!!早く行け!!」
ストールがそう怒鳴ると、フェニックスは恐怖に堪えかねたのか何も言わずスッと魔法陣の中に帰っていった。
「まて!!何処へ行くきだ!!待て、待って、待ってください!!!お願いします!!!!!」
「クキャァァ!!クキャキャァァ!!」
帰ろうとしているフェニックスを見てストールはキャラを忘れて必死に叫んでフェニックスにしがみついたが、フェニックスは離せと言わんばかりに必死にストールを振り払い帰っていった。
その場に残ったのは膝を地面に付いたまま固まったストールとどうしたらいいかわからず立ち止まっている俺と何が起きているかわからず静まり返っている観客達だけだった。
しばらく、静寂が走り、俺は
「あのー、まだやりますか?」
恐る恐る聞くと
「こ、降参、します」
ストールは膝を地面に付いたまま土下座して言った。
変な形で決着が着いた。
ちょっと待て!!俺まだ何もしてないぞ!!