13話 ですよね~
しばらくして、サラさんとクレアさんは部屋から出てきた。サラさんの目が真っ赤になっている。よっぽど泣いたんだろう。
「あなたがシン君ね。あたしはクレア。助けてくれてありがとね」
「いえ、気にしないで下さい。サラさんに頼まれただけですから」
俺が笑顔でそう言うと
「成る程ね、サラが惚れるのもわかる気がするわ」
「な!!ほ、惚れたって、へ、変な事言わないで!!」
サラさんが顔を真っ赤にしながら言った。
「照れるな照れるな。それにしてもエルフにまだこんな人がいるなんてね、ちょっと驚いたわ」
クレアさんが珍しそうに言う。
そういえば、俺はまだエルフのままだったな。
どうしたものかとサラさんの方に顔を向けたら
「大丈夫ですよ。クレアもクイナおばさんも他種族に嫌な顔をする人ではありませんから」
サラさんが俺の言いたい事を察したかのように言った。
「そうですか。それじゃあ」
サラさんがそう言ったので俺は変化の魔法を解いた。
俺の姿をみた。クレアさんとクイナさんは
「え、あなた人族なの!?」
「こりゃあ、驚いたね~」
予想以上に驚いたクレアさんに対しクイナさんは冷静だった。やっぱり年の功だろうか。
「実はそうなんですよ。黙っていてすいません」
俺がそう言うと
「気にすることはないよ、普通は身を隠すものさ」
「そうよ、気にすることはないわ」
クイナさんとクレアさんは優しく言ってくれた。いい人達だ。
「それはそうとサラ、あんたこれからどうするんだい?」
クイナさんが急にそう言った。
「え?どうするって?」
「あんたクレアの呪いを治すために村を出たんだろ。もう目的は果たしたんだから街にいる理由はないじゃないか」
「それは、確かにそうなんだけど....」
サラさんは悩みながらチラッとこちらに顔を向けてきた。
確かにサラさんが街にいた目的はクレアさんを助かることだ。もう目的は果たしたんだからもう街にいる必要はない。俺としてはサラさんともっと仲良くなりたいとこなんだがな。
「わ、私はーーーーー」
サラさんが何か言おうとした時、背後のドアが勢いよく開いた。
「ここにサラがいるのは本当か!!」
勢いよく飛び出して来たのは、背が俺と同じ位で緑の髪に整った顔付きで上から目線で物を言ってきそうな男だった。
「ス、ストール」
サラさんが少し嫌そうな顔をしながら言った。
「おう!!我が愛しのサラよ。遂に私の想いに応えてくれるのだな!!」
そういいながらストールという男はサラさんに近付いた。
「落ち着きなストール。そもそもどうやってここがわかったんだい?」
クイナさんが呆れながら言った。
「ん?村の奴等がサラを見たと聞いたんでな、駆けつけた来た」
どうやら目撃者がいたらしい。もっと隠れながら行けばよかったな。
「それはそうとサラよ。とうとう私と結婚してくれる気になったのだな」
ストールという男がそういうと
「そんな気ありません。ていうかそっちから一方的に決めた許嫁じゃないですか。私は結婚する気はありません」
サラさんとストールは許嫁だったのか。しかしサラさんにその気はないようだな。
「何を言っている。それにみたところクレアの呪いは治ったみたいだな。もうこれ以上迷う事はないだろう。それとも、他に相手でも出来たのか?」
ストールがそう言うとサラさんは少し戸惑いながら
「い、いますよ相手くらい。ここにいるシンさんです」
そう言ってサラさんは俺の方を指差した。
へ?俺?俺サラさんの婚約者だっけ?
俺が内心パニクっていると
「ん?誰だ貴様は。貴様がサラの婚約者とは本当か?しかも人族じゃないか。人族ごときに私のサラは相応しくない直ちにここから消えろ」
ストールが人を見下すよいな言い方で言ってきた。うわー、何か苛つくなこいつ。
「そんなことありません!!シンさんは貴方よりもよっぽど強くて凄い人です!!」
サラさんが俺の腕に抱きつき強い口調で言った。
ちょ、ちょっと、そんなフラグになるようなことをいったらーーーー。
「な、なにー!!そこまで言うなら貴様!!私と決闘しろ!!」
ーーーーーーーですよね~。