第2話 さざ波
2.さざ波
「じゃあ、お父さん仕事行ってくるからな」
有紗の部屋の前で、ドア越しに声がする。ベッドの中から寝ぼけた返事を返すと、父が付け足した。
「今晩 遅くなるから、夕飯要らないよ。お前も、何かちゃんと食べるんだぞ」
「わかってる。心配しないで。いってらっしゃい」
ベッドから這い出て、ドアを開け 顔を覗かせる。その寝起きの顔に 父が振り返り 少々言いにくそうに聞いた。
「・・・今日も・・・職安行くのか?」
「う~ん・・・。今日はバイト探しに行って来ようかな・・・」
「そうか。午後から雨降るみたいだから、傘持って行きなさいよ」
「わかった。・・・じゃ、洗濯物も早く干しとかなきゃだね」
「脱水、もうすぐ終わると思うから、頼むよ」
伸びをして大きなあくびをすると、有紗は『行ってらっしゃい』とその場で父を見送った。
昼ご飯の片付けを済ませ、居間の窓から空を見上げる有紗。西の遠くの空が 薄っすら暗くなっているのを確認すると、朝の父の言葉が思い出される。ベランダに干した生乾きの洗濯物を一旦取り込んで、折り畳み傘を鞄にしのばせ 有紗は玄関を出た。携帯で時間を確認すると、あと15分で午後1時になるところだった。先日の淳哉との会話が頭の中でこだまする。
『起きるのも遅いんでしょう?』
『昼過ぎかな』
『起こして欲しいんですけど・・・』
『本当にかけてくれたんだぁ。助かったぁ。ありがとう』
たった一昨日の出来事なのに、何だかとても昔の事の様に感じる。
駅のホームで電車待ちをしながら、淳哉の番号を表示する。
『都内在住、26歳、バーテン』・・・・・・出来過ぎていて、危険な香りがする。踏み込んではいけない領域の様に、有紗の触角が反応する。しかし、話した時の心地良さ、何か 彼の中にある素直さや人懐っこさも否定できない。すると又、頭の中で彼の先日の声がリプレイされる。
『伊達に客商売やってないからね』
そこで有紗はハッとする。
(バーテンって言ってたけど、ホストかもしれない・・・)
又それを後押しするかの様な先日の台詞が頭に甦る。
『いくつ?』
『・・・いくつに聞こえますか?』
『おぉ、飲み屋のお姉ちゃんみたいな切り返しだねぇ』
眺めていた携帯の画面が いつの間にか待機時間切れとなり、真っ暗になる。その途端、そこに映った自分の冴えない顔を見てボソッと呟いた。
「ないない・・・」
携帯を鞄にしまうと、滑り込んできた電車に乗り込み、有紗は隣町のコミュニティセンターに向かった。
コミュニティセンターの掲示板に貼られた町の求人情報に目を通す有紗。
お惣菜の販売、ファーストフード店のクルー、介護スタッフ、警備員、クリーニングの配達・・・
はぁと溜め息を吐いて 掲示板の前から立ち去ると、出入り口の自動ドアを抜ける。来た時より空が暗くなりかけていたのは、遠くの雨雲のせいだった。近くの公園のベンチに座り 背もたれに寄り掛かって目を瞑ると、青臭い草の香りを湿気の高い生暖かい風が 有紗の鼻に届ける。カレンダーと無縁の生活を数か月続けてきた有紗だったが、9月ももうすぐ終わりに近付いている事を実感する。天気が変わる事を知らせる様な風が一瞬吹き抜けると、足元に空のペットボトルが転がってくる。それは、先日有紗が淳哉に読んだ俳句が書いてあったのと 同じお茶の容器だった。
『有紗ちゃんって良い子だね』
『ありがと。楽しかったよ』
真夜中だという事を忘れてしまった 爽やかな明るい会話が思い出される。有紗の心の中がふっとほぐれた時、また風がサーッと吹き抜けていった。と同時に足元のペットボトルも遠くへとコロコロと転がり始める。それをとっさに立ち上がって拾い上げる有紗。瞬間的に手が伸びたものの、先日の淳哉との電話と重ねてしまっていた有紗を現実に呼び戻したのは、空から幾つか落ちてきた雨粒だった。慌てて左手に持った空き容器を近くのゴミ箱に捨て、折り畳み傘を広げて公園を後にした。
朝の父の忠告通り 午後から雨が降り出して来た事で、雨宿りも兼ねて 有紗は職安に寄っていた。窓口の職員がパソコンの画面を眺めながら言った。
「人前に出る様な職種は苦手とおっしゃいますが、声をお使いになるオペレーター等のお仕事はいかがですか?」
「・・・オペレーター・・・ですか?」
「はい。とても向いてると思うんです。声の質が・・・耳に心地良いというか、滑舌も良くて聞き取りやすいですし」
「声を褒めて頂くなんて・・・初めてです」
「そうですか?オペレーターでしたら 通販会社の受注業務やクレーム対応、また派遣社員という選択肢もあります。特別な資格も必要ありませんし」
「派遣社員か・・・」
「色々な保証はありませんが、その分時給が良い会社が多い事と、派遣会社からの求人も数が多いので、失業保険の支給が切れる前に仕事に就ける可能性は高くなるかと思います」
職安で貰った何枚かの求人案内のコピーを眺めながらインスタントラーメンをすする有紗。そこへ玄関の戸がガチャッと開いて、姿を現したのは 就職した時から横浜駅の近くに一人暮らしをしている二つ年上の兄だった。
「仕事見付かったか?」
「まだ就活中」
そう言ってスープを飲み干している間に、すかさず目の前にある求人のコピーを手に取る兄。
「派遣社員ね・・・。オペレーターか・・・。研修もあるし、マニュアルさえ覚えちゃえば 資格も要らない仕事だから いいかもね」
「職安の人に・・・声がいいって」
「声?」
「声の質が耳に心地良いし、滑舌も良くて聞き取りやすいから向いてるって・・・」
目を瞑って耳を澄ます兄。
「・・・どうしたの?急に」
すると、目を開けて 今度は急に笑い出した。
「物は言い様だな。確かに、見た目と声の印象が違うかも」
「・・・あ、そういう意味か・・・」
肩を落とし 椅子から腰を上げると、ラーメンの器を台所に下げる有紗。洗い物をしながら、少々ふて腐れ気味に兄に言った。
「何しに来たの?」
「親父にちょっと用事があって来たんだけど・・・もしかして今日遅い?」
「遅くなるから夕飯いらないって」
「なんだよ・・・。やっぱ連絡してから来れば良かったな」
眉を少しひそめる兄に、追い打ちを掛ける。
「って事で、夕飯もないよ」
「見りゃ分かるよ」
椅子に置いた鞄を再び持ち上げる。
「お前も就活頑張れよ。その・・・オペレーターとかにチャレンジしてみんのも いいと思うよ。前みたいな工場内での仕分け作業よりも、お前の良さが活かせるかもしんないし」
そして兄は『また来るわ』と言って帰っていった。
前回有紗が 初めて淳哉と電話で話したのは水曜日の夜だった。・・・というより、木曜の明け方という方が正しいかもしれないが。次の週の水曜の同じ様な時間に、有紗は偶然を期待して 再び例の出会い系の番号にかけていた。偶然を期待する反面、もし又彼がかけてきていたら、あの時『初めて掛けた』と言った言葉を信じられなくなりそうな自分もいた。常習的に出会い系に電話してくる男と、この前彼に感じた心地良さとが一致しない自分に戸惑うに決まっている。だから心のどこかで 彼の声が受話器の向こうから聞こえてこない事を祈っていた。その日夜中の3時半近くまで電話をしてみたが、有紗の記憶する淳哉の声と繋がる事はなかった。
その週の金曜の夜、有紗は ここ最近の自分の妄想に決着をつけようと電話を握りしめていた。時間が経てば経つほど、淳哉との出会いは美化されていく様な気がして、淳哉という まだまだ得体の知れない男を良い人の様に作り上げていく自分の空想に危険を感じた有紗が、とうとう白黒つける覚悟を決めた。あの日と同じ様に非通知設定にし、淳哉に電話をかける。
プルルルルルル・・・プルルルルルル・・・
午前2時50分、呼び出し回数が増える程に有紗の頭の中で もう切ろうか、次切ろうか、葛藤が大きくなる。非通知設定等という怪しい電話に出ないのは当然の事かもしれない。まして夜中の3時だ。常識的に考えたら、あの時の会話を覚えていない限り、極まともな選択だ。・・・という事は・・・。彼は常識人と安心するべきか。それとも・・・先週の小さな小さな自分との出会いなんか覚えていないという事か・・・。白黒つけるどころか、さらに疑惑が膨らんでいく。有紗の胸がいっぱいになったところで、風船が弾けた様な衝撃が走る。・・・・・・受話器の向こうから男の声がしている。
「もしもし?」
「・・・・・・」
有紗の頭が 現実について行けない。
「・・・誰?」
淳哉の声にまた有紗の胸がギュッと縮む。
「こんな時間にごめんなさい。・・・覚えてますか・・・?」
大事な事を抜かした会話に、淳哉の当然の返事が返ってくる。
「だから・・・誰?」
有紗は痛む胸を手で押さえながら、慌てて言葉を足した。
「あっ!ごめんなさい!・・・有紗です・・・」
「・・・・・・」
(やっぱり忘れてるよね)という有紗の心の声を飲み込んで、先日の説明をしようか、それとも潔く切ってしまおうか迷っていると、淳哉の声が返ってくる。
「あぁっ!横浜在住のOLさん?」
複雑な気持ちでそれを聞くと、有紗は会話を続けた。
「・・・遅くにごめんなさい。また・・・かけちゃいました・・・」
「また眠れないの?」
「はい・・・。ごめんなさい。もう寝てました?」
受話器の向こうから、淳哉がはっはっはっと笑う声が届く。
「有紗ちゃん さっきから、すっごい謝ってるよ」
「そうですかぁ?ごめ・・・っ」
そして二人は声を揃えて笑った。
「お店って、何時迄ですか?」
「一応2時。でもお客さんがいれば もう少し開けてるし、居なければ早く閉めちゃうし」
「2時に閉めて もうこの時間に家に居るって、お店近いんですか?」
「店は西武線の武蔵関駅前。俺んちはそこから5分位だから」
何を聞いても 包み隠さずすぐに答えてくる様子に、一つ胸をなで下ろす有紗。
「有紗ちゃんはさ、一人暮らし?」
淳哉からの質問に、有紗の脈がズキンと跳ねる。
「いえ・・・」
「実家暮らしか・・・。俺の勝手なイメージだけどさ、有紗ちゃんは横浜の山の手のお嬢様って感じ」
「え・・・?」
「横浜の実家暮らしで、渋谷にある会社の受付嬢をしてて、若いのにギャルっぽい話し方もしないしさ。言葉づかいも綺麗だし・・・育ちが良さそう・・・」
先日の兄の一言が甦る。
『確かに、見た目と声の印象が違うかも』
有紗は小さな声で淳哉の言葉を否定した。
「全然そんなんじゃないです・・・」
「ごめんね。勝手なイメージだから、気にしないで」
絞めつけられる様な胸の痛みを抑えて、有紗は質問をした。
「・・・広瀬さんは・・・実家はどちらですか?」
すると又、淳哉は一呼吸置いてから、更に大きな声ではっはっはっと笑った。
「広瀬さん・・・か・・・。かえって新鮮だな。俺そんな風に呼ばれたの久々だから。皆『あつや』とか『あっちゃん』とか『あつ』って名前で呼ぶからさ」
「でも・・・私はまだ そんなに親しくないし・・・」
「・・・そりゃそうだ。有紗ちゃんからしたら、名前で呼べるわけないよね」
そして淳哉は柔らかく笑った。
「そういうとこ。そういう感じが・・・育ちが良さそうって思う」
「・・・・・・」
「全然悪い意味じゃないよ。有紗ちゃんの、律儀っていうか そういう・・・馴れ馴れしくない感じ、俺 嫌いじゃないよ」
有紗の鼓動が次第に早くなる。
「むしろ・・・好感が持てる」
今日は色々な疑惑や妄想に決着をつける筈だったのにと、有紗は必死に自分に冷静さを押し当てる。相槌のない電話を反対の手に持ち替えて、淳哉は又喋った。
「俺が『有紗ちゃん』って呼ぶの・・・馴れ馴れしく感じる?苗字にしようか?・・・って言っても苗字・・・ごめん、覚えてないや」
「私は大丈夫です」
「有紗ちゃんもさ、俺の事好きな様に呼んでいいからね。新しいの付けてくれてもいいし」
「新しいの?」
「呼びやすいの考えてくれてもいいし、イメージから付けてもいいしさ」
「イメージ・・・」
「俺ってどんなイメージ持たれてる?」
「う~ん・・・楽しい人・・・」
「・・・だけ?・・・あっ、あとは悪いイメージなんだ?いいから全部言ってみてよ」
「・・・まだ分からないから・・・」
「いいよ。俺かなりのプラス思考だから、大概の事じゃ落ち込まないよ。だから教えて」
「・・・・・・」
「言ってくれたら、そのイメージが合ってるか間違ってるか答えてあげるよ」
その一言に背中を押され、有紗の口が動いた。
「都内に一人暮らしの26歳のバーテンなんて・・・出来過ぎてるっていうか・・・カッコ良すぎるなって・・・」
「そうかぁ・・・。でも全部本当だよ。バーテンって言っても、イケメンばっかりじゃないからね」
「それから・・・女の子の扱いに慣れてそう・・・っていうか・・・」
「それってチャラいって事?それとも遊び人って事?」
「そんな具体的には・・・」
「そっか・・・これはちょっと訂正ありかな。女の子苦手でもないし、女友達もいるし、今まで普通に恋愛もしてきたし・・・だけど、別にほんと年相応の恋愛で、女の子取っ換え引っ換えはしてないよ。・・・まだある?」
「それくらい・・・かな」
有紗の耳に当てた受話器の向こうで、淳哉がカチッと煙草に火を点ける音がする。
「今の聞いてるとさ・・・有紗ちゃんは、かなりまだ俺に警戒心を抱いてるって事だよね?」
黙っている有紗を気にせず、淳哉が続ける。
「でもまたこうやって、俺に電話を掛けてきてくれるのは・・・なんで?」
「・・・・・・」
有紗の鼓動が激しくなる。
「・・・楽しいから?それとも・・・」
落ち着けと有紗が自分の胸に言い聞かせる。
「本当の俺がどんな奴か、確認したいから?」
しんみりとしてしまった空気を一層する様に、淳哉がまた笑った。
「眠れないからだよね!」
ちょっとほっとしている有紗の耳に、まだ淳哉の笑い声が残る。
「そうだ。そう言われてたんだった」
淳哉の笑い声に紛れて、小さく『うん』と頷くと、淳哉がまた質問をした。
「眠れなくて電話して来るって事は、有紗ちゃん 今彼氏いないの?」
「はい・・・」
「へえ~。有紗ちゃんみたいな子はさ、どういう男がタイプなんだろうね」
「優しくて・・・誠実な人」
「どれ位いないの?」
「・・・2年位・・・」
「会社にいないの?優しくて・・・誠実な人。会社の花形 受付嬢なら、引く手あまたでしょ?」
「そんな事ないです・・・」
「・・・なんかさ、この前より元気ないよね?何かあった?仕事で嫌な事とか。不眠症の原因、何かあるんでしょ?」
「別に・・・そういう訳じゃないです」
淳哉はテンション高く切り返した。
「そこは『ある』って言ってもらわないと・・・。じゃないと、俺との電話が楽しくないからって事になっちゃうじゃない」
「楽しいです!凄く楽しいです!・・・あっ、でも・・・ちょっとドキドキもしてます」
有紗のその一言で、一瞬静まり返る。しかしその沈黙を救ったのも、やはり淳哉だった。
「だよね~。考えてみたらおかしいよね。顔も知らない男と女がさ、こうやって普通に友達みたいに話してるんだもんね。一種独特っていうか・・・」
自分で言った『顔も知らない』というフレーズに、淳哉が立ち止まった。
「お互い顔がイメージ出来る様に、誰に似てるか言おうよ」
「誰に似てるか・・・」
「何かしら言われた事あるでしょ?一人じゃなくてもいいからさ」
有紗は鏡に映る自分の顔を暫く眺めてから、言った。
「広瀬さんは誰に似てるんですか?」
「お客さんに言われた事あるのが、サッカー日本代表の長友。小柄なとこかな?」
「あ~、あぁいう感じか・・・」
「有紗ちゃんは?」
再び鏡の中の自分を見る。
「別に誰って・・・」
「じゃ、動物でもいいよ。何かあるでしょ」
鏡に手の平を当て顔を隠す。
「・・・ほんと・・・誰にも言われた事なくて・・・」
本来ならしらけてしまいそうな会話だが、淳哉はくすくすと笑っていた。
「有紗ちゃんって、ほんと正直な子だね。普通ならさ、ちょっと良く見せたくて可愛めの芸能人とか言っちゃいそうなもんなのに。・・・じゃあさ、その代わりに 俺からの質問に答えてよ。髪型は?」
「・・・長いです」
「ストレート?それともパーマかかってる?」
有紗は鏡に背を向けた。
「・・・毛先の方だけゆるく・・・」
「あぁ、ゆるふわってやつね。じゃ、身長は?」
「156cm」
「じゃ・・・自分の体の中で一番好きな所は?」
「え・・・」
言葉に詰まる。
「何でもいいから言って」
「・・・・・・指がすごく反るところ・・・」
「有紗ちゃん・・・それって特技でしょ?」
「だって、好きな体のパーツなんて無くて・・・」
「今の質問、心理テストだったんだよ」
「えぇ~っ?そうだったんですか?それで何が分かるんですか?」
「性格」
「・・・今の答えで何かわかりました?」
「分かったよ」
「どんな風に?」
「・・・内緒」
含み笑いをしている淳哉に、有紗がおどおどする。
「へぇ~、そうかぁ、有紗ちゃんって そういう性格なんだぁ」
面白がって、わざと淳哉が大袈裟にけしかける。
「意地悪ですね・・・」
「有紗ちゃんって、なんか可愛くっていじめたくなっちゃうんだよねぇ」
『可愛くって』と言った何気ない台詞に 有紗の心が軽く踊り出しそうになる。
「妹みたいな感じ」
有紗は一瞬にして固まり、笑顔が引き潮の様に消えていった。
その電話をそれとなく切った後、有紗はそのままベッドに突っ伏した。
何を期待していたんだ・・・。
あんな電話で知り合った得体の知れない人と 少し楽しく話せたからって・・・。
第一、彼女がいるのかも知らない。いや、きっといない訳がない。顔が見えないとはいえ一応女の私に、ガツガツアプローチしてこない辺り、彼女がいるに違いない。
・・・・・・そんな心の会話がひとしきり治まるまで、有紗は枕に顔をうずめて泣いた。
第2話 お読み頂き、ありがとうございました。
この後の有紗の心の動き、楽しみにしていて下さい