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私が居る世界は、いわゆる魔法と剣の世界と科学が程よく融合している。世界のには、ダンジョンなどが存在する。森には魔獣と言われる生物が居て時には人を襲う事がある。大抵は人とちょうど良い距離を保ち生活しているので、それほど脅威はないが。
魔法と科学が融合しているので、風の魔法を使って風力発電を各家庭で行っていたりスキルを使って生活用品を作っていたりする。ガスや石油を使うことなく魔力を原料にした科学製品を作っているので、車は電動ではなく魔動だったりするが、大変魔力を使うため一般市民は馬車を愛用している
そんな世界で、魔法・スキルを取得できるのは原則として高校2年生になる17歳から。16歳になると倫理の授業を受けて魔法・スキルの危険性と利便性を学び扱うことを推進している。
「今日から、スキル・魔法について勉強することになる。将来の仕事を考えたうえで、魔法やスキルをとるように」教壇で説明しているのは中年太りした担当の先生である。
「一覧を配るのでどれをとるか考えるように。迷ったら先生に声を掛けるように」そう言いつつ最前列に座っている生徒にプリントを人数分配っている。前から回ってきたプリントを一枚受け取り後ろに回した後プリントを見ると一覧と言っていた割には数が少ない。
「一覧には君らの適性が記している。少ない者もいると思うがその中からベストを選んで欲しい」説明がなされた。成程、適正ね。数少ない魔法・スキルを見て何をとろうかと考える。
・全属性魔法(魔法陣生成)・細工・薬作成・布生成・詠唱・ナイフ使い(非武装)・貴金属精製・付加魔法・採取。の9個しかない。このラインナップを見て出来ることは生産系統か?人と争うことは好きじゃないから生産系はウエルカムだけどさ。ナイフ使いってあれでしょ?採取するときに薬草の刈り取りに使うからでしょう?だって、かっこで非武装って書いてあるから。人に向かって使うことはできないと予想出来るし。詠唱って聖書とかを唱えることだし。これは付加魔法を使って作ったものに詠唱をして加護とか属性を付けることも出来るしなー。細工・金属精製・布作成があるってことはそういう事なんだろう。
そういえは、全属性魔法(魔法陣生成)てなんでしょね。手を上げて先生を呼ぶことにする
「なんだ」近づいてきた先生に全属性(魔法陣生成)とは?と聞いてみると
「ああ。全属性の魔法を使うときに詠唱魔法と魔方陣をどちらかを使うことが出来る。魔方陣生成は魔方陣と詠唱どちらも使うことが出来るっという事だ。仕込んでおいた魔方陣で攻撃しつつ詠唱で追加とか出来るぞ」そう説明された。成程ね。そうなると付加魔法で魔石も作れることになりますね。
「ありがとうございます」感謝の言葉を先生に送る。
さて、ちょうどスキル枠が10個だから1つ空きが出来るからちょうどいいかも。配られたプリントに取りたいスキルを記入するスペースがあるので全部記入する。
「さて、記入した人から寮に移動してください」そう言った後記入した順に移動する生徒たち。
実は、私の通っている学校では姉妹校の方がスキル取得の設備がしっかりしているので2年生になると姉妹校に1年留学することになる。そのため2年生のために寮がある。もともと遠方からの生徒もいるため寮設備はあったが姉妹校の生徒を受け入れるために拡張したらしい。そのため2年生寮だけ2人部屋になっている。普通の人ならいいなー。そう思いながら寮に向かう。
「初めまして」寮に付いたので挨拶しつつ寮に入ると中から黒髪の和風美女が出てきた。
「初めまして。ここの寮長の日比野と言います。説明しながら部屋に案内しますので」そう言い一歩先を歩く。
「寮の設備として部屋にトイレとお風呂がついてますが、大浴場もありますので好きな方を使ってくださいね。食堂は一階に」そう言いながら手で示す先には看板がついていて食堂と書いてある。
「大浴場は2階だから」そう説明しながら階段を登り切ると看板に大浴場と書いてある看板がある。防犯上2階なんだろうが・・・
「あと、あなたの部屋は4階だから。同室者はちょっと変わりものだけど悪い子じゃないから。緊張しないで接してあげてね」そう言いながら406号室と書いた部屋の前に付いた。
「霧島さん。同室者がついたから開けるわよ」声を掛けてから返事がないままドアを開ける寮長。
部屋は整理整頓されている。ただし半分のみ。使用していると思われる部分は足の踏み場もないくらい乱雑にものが置いてある。虫が湧いてこないといいなーと遠い目をしながら部屋を見ていると
「あー。着いたんですね。ほどほどによろしくお願いします」とボサボサの頭を下げてくれる。
「こちらこそ。ほどほどにお願いします。わからない事があると思うんで。気になることがあったら教えてください」頭を下げて挨拶する。それを見て唖然している寮長が退室したのを機に部屋の備品について聞いてみる
「どのベットと机・チェストを使えばいいのでしょうか?」そう聞くと少し顔をしかめてから
「使ってない所を使ってください」そう言われた。ならばと思い綺麗になっている机に近寄ろうとすると大きな声で「だめ」と言われる
「どこを使えば?使ってないのだから使用していいのでは?それともここはあなただけの部屋だと言いたいのですか?」少し頭にきて聞き返す。
「そうじゃないけど・・・・」
「そうじゃないならどうしたらいいのか言ってください」荷物を入口に置き聞き返すと困った顔をしている。困った顔をされても私も困るわー。そう思って言葉を待っていると
「霧島は悪くない」そう言って乱入してきた人が居る。女子寮なのに入ってきたのは男子・・・・
「夫婦寮に入ることをお勧めします」ギュッと霧島さんを抱いて守るように睨みつけてくる男子を見てそういうとブワッと霧島さんの顔が赤くなる。
「ごちそう様です。さて、私はどうすればいいのか寮長に聞いてきますか。ああ。それとも寮全体でこんな感じなんでしょうか?」一応聞いてみると目が泳いでいる。
「そうですか。ありがとうございます」頭を下げて荷物を持ったまま一階に移動する。寮長が居るであろうロビーでは寮長さんといちゃラブしている男性。あれは朝に説明していた教諭ですよね。はい。お疲れ様でした。
「すいません。いちゃラブしているそこの御仁。ちょっと聞きたいことがあるので中断して耳を貸してほしいのですが。出来ないならそこに居る教諭でもいいですよ」声を掛けると顔を真っ赤にして振り向く寮長と睨みかける教諭。知らんよ。仕事してください
「霧島さんも同じような感じでしたので、部屋チェンジしてください」の言葉に少し困った顔をしている
「チェンジする場所もないのですか」ため息を付いてからどうするか考える。最悪野宿だがこの時期はちょっと寒い。夏ならテントなら大ジョブだろうけど・・・
「教会とかあるならそこの予備部屋を借りたいですが」つぶやくと教諭の方が聞こえたのだろう
「無理だな。あそこは、不良の根城となっている」と却下してくれる。不良と言うかいちゃラブに耐えきれなかった人が集まっているだけなんでしょ?統制が出来てないから問題が起こるのであって・・・・
「では、防水加工してあるテントは?そのくらいあるでしょ」呆れつつ聞くとかすかに頷く寮長
「どこに立てればいいのでしょうか?外聞もあるから外には付けれませんよね。中庭でもいいでしょうか?」寮はコの字型の建物で外側からは庭が見えないようになっている。あいている場所は森になっているので、完全に外から見えないような感じになっている
「そうね。そのほうが・・・」赤い顔をしながら言っている。
「どこにテントが?それと中庭にテントがあるからって攻撃しないように言ってくださいね。もし攻撃されたりいたずらにテントを倒したりあさったりした場合は、それ相応の報復攻撃をさせてもらいますから。いいですね?」聞くと出来るはずないだろと言う顔をしている教諭。残念ながら月属性で全属性の私。
安眠や安心して過ごす場所を害する場合は、不眠と言う呪いがかかったりする。それを知っているのは私の幼馴染たちのみ。と言ってもほぼ小学校から持ち上がりのような感じなので小学校が同じ人は皆知っている。
寮長にテントを持ってきてもらい安全かチェックしていると幼馴染たちが寮に付いたようだ。
「あれ?美弥。中庭にテント?」そう聞いてくるのは赤ん坊のころからの付き合いの舞子。
「うん。同室者が彼氏を連れ込んでいたから部屋に居られなくて」眉間にしわを寄せて言うとあちゃーっという顔をしている。
「そうなんだ。私もそうなりそうだからこっちにテント張ろうかな」そう言っている舞子を見て同級生で同じ小学校出身達が私もーっと同意している。そんなこんなで中庭には10個ほどのテントがたちさながらテント村になっている。
「食事は食堂で。お風呂は大浴場に入ればいい。トイレと手洗い場は1階にあるから問題ないね」手を腰に当ててあきれ顔の寮母さん。寮長が困った顔をして泣きついたのがこの人。最初は何してんだい!!と怒っていたが説明すると仕方がないね。と了承してくれた。ちょっと大きめのテントには小さめのチェストと虫が・・・と困っていると少し高めの箱を出してくれる。
箱の上にクッションを置きベットにするもよし。寝袋に寝るもよしとなっている。
「勉強は、図書室でも自習室でも好きなところでするんだよ」その言葉にうなずきご飯を食べに行くことに。行く前に設置できる人除け・虫よけを使ってテントの防犯を設置。変な人入ったらいやだし虫が入ったらなお嫌だし。
食後、風呂に入るためにテントに戻ると戦闘系希望で修業していた友人がテントの前で戦闘中だった。何が有ったのかと思い野次馬になっている1人の優に聞く。
「なんか。怪しい人が居たから声を掛けたら攻撃されたみたいだよ」
「へー。恨まれるようなこと・・・」あるな。私のところに嫌がらせに来たみたいだけど返り討ち?にされているのかしら?
「頑張って!!もう少し頑張ればノックアウト出来るだろうし。終わったらお風呂入りに行かない?」そう言うとバトル中の友人が
「その案のった!!」大声を出して了承してくれた。女子寮に入れる男性って関係者だろうし。こんなに大きな音を出しているのに誰も出てこないということは、寮では当たり前なことなのか誰かが防音の結界でも使っているのだろうと思われる。
「壊してみるか?」
「壊してみるって何を?」つぶやきを聞いていた優が訪ねてきたので考えていたことを伝える。
「そんなことが出来るの?」聞き返された。それは、知らない人の声だったので振り返るとスーツ姿の男性。学校の関係者?っと思って凝視していると
「俺か?俺は此処の警備だ。戦闘している気配があるが微々たるものだったのでな、誰もいかなさそうだから来てみたらこれだ。戦闘している御嬢さんなかなかやるなー。卒業したら俺の下に欲しいと思うが先ずはこの結界をどうにかしないと出れない」困った顔をしている人を見て戦闘バカと言う言葉が浮かんでくる。
「普通は、後方部隊に結界破りの人が居ると思うのですが?」連絡は?と聞いてみると
「何も言わずに来ちまってなー」頬をぼりぼり掻いている。この人本当に大丈夫か?後方支援の人と部下の人がかわいそうになる。
「まーまず面倒なこの結界をどうにかしますか。私は結界を壊すことは完璧にできないので」断ってから歌を歌う。詠唱と言う技術を取得してなくても詠唱をすることは出来る。歌うのはすべてを司る女神様。頼むのはこの結界を壊してもらう事。壊せなくても私の方に有益になるように助力をお願いする。キラキラしたなーっと思うと結界がすべて壊れていた。ちょっと力を入れすぎたか?そう思いながらさらに私に敵意を向けている人を倒してくれるようにお願いする歌を歌うと明らかに攻撃力が落ちている様に思える。
「積んだな」そう言ったのは警護の小父さん。連携していたのが乱れて友人の攻撃がきれいに入ったようだ。それを見た友人たちが自分たちのテントに移動して荷物を取って来ている。お風呂の準備だろう。戦闘していた友達の分も親しい子が用意してくれているようだ。
「じゃ。行くか」声を掛けて居る友達について荷物を持ってお風呂におじさんはちょっと困った顔をしているので
「変な人入ってこないようにお願いします」みんなで一礼してからお風呂に行くと解った。と腕を上げてくれる。これで安心して長湯が出来る。