残念な親友が仲間に
誰も居なくなった放課後、静粛だけが教室を包んだ。そんな中、先に口を開いたのは隼斗だった。
「教室からお前の声が聞こえるから入ってみれば何やってるんだ?こんな時間まで?」
クソッ、そんなに大きな声を出していたのか、まさか人が近づいていることに気づかないなんて、よりにもよって隼斗だし...
とりあえずここは誤魔化すことにしとこう。
「あ...あぁ、悪い。ちょっと桐ヶ谷に要があってあってな... お前こそ部活はどうしたんだよ?」
「いや、部活の今日はもう終わったんだ。今日は顧問が居なかったから自主練だけだっし」
「そうか俺も丁度帰るところなんだ。一緒に帰ろうぜ」
よし、いい感じだ。このまま帰れば問題ない。
そう考え、鞄を持って席を立とうとした俺に、今まで口を閉ざしていた桐ヶ谷が喋り出した。
「どうしたのよ息なり?まだ話してる途中でしょ?」
空気読めよ!!
いや、まだだ。まだ誤魔化せる。
誰も居ない教室で桐ヶ谷と2人で話してたんてバレたら、変な噂を流されかねん。話の内容が内容なだけに聞かれたくもないし、ここは誤魔化すのが吉だ。
「ん?何か話してたのか?悪かったな邪魔しちゃって、俺に気にしないで話してて良いぞ?」
「い、いや、良いんだ。大した要じゃないし!」
「大した要じゃないって、あんたの能力の使い道を探すために話してるんでしょ!」
「翔の能力の使い道?」
クッ、余計なことを!
それに俺の能力の使い道を探す言ったって全然話してねぇじゃねぇか!
「どう言うことだ?翔の能力の使い道を探すって?」
はぁ... 面倒臭いが隼斗にバレてしまった。
しょうがない... 聞かれちゃったなら別に隠すしつようもないだろう。
俺は諦めて隼斗に昨日のことを話すことにした。
「ふーん、それで翔は桐ヶ谷さんと能力の使い道を探すことにしたのか」
話してる途中も隼斗は一度も口を挟まずに聞いていた。
案外、こんな事なら話して良かったかもしれない、隼斗もバカにすることもなく、真面目に聞いてくれたことだし。
そう隼斗のことを見直していると突然、隼斗は下を向いて、手をぷるぷると震えさせてたと思ったら
こちらを向き大声を出してきた。
「ずるい!羨ましい!お前だけせこいぞ翔!桐ヶ谷さんとイチャイチャするなんて!」
一瞬でも見直した俺がバカだった。
「今の流れからどうしてそうなるんだよ...」
「だってそうだろ!お前は誰も居なくなった教室で桐ヶ谷さんとずっと喋ってことだろ!?お前だけせこいぞ俺も仲間に入れろ!」
「仲間に入れろっとお前には部活があるだろう」
「そんなもの女の子と喋れるためなら辞めてやる」
「お前、どこまで残念なんだ...」
ついでに言うとこいつは今、サッカー部に所属している。今と言うのはこいつは決まった部活にずっといるわけでもなく、色々な部活に入っては数ヶ月で止めている。
本人いわく、運動は楽しいけど部活は嫌いらしい、俺にはよくわからん。
だからと言って、そんなに簡単に辞めてもいいもんじゃねぇだろうし、ここは断っておくことにしよう。
「隼斗、そう言う訳には行かないだろ?それにもうすぐ大会だって言って...... 」
そこで俺は桐ヶ谷に言葉を遮られた。
「いいじゃない、こういうのは数が多い方がいいんだし」
「おい!勝手に決めるんじゃねえ!」
「よし!決定だな!じゃあ、改めて桐ヶ谷さん。俺は小暮 隼斗だ!俺のことはご主人様なりダーリンなり好きに呼んでくれ!」
「えぇ、よろしくね小暮くん」
「スルーされた!?」
こうして俺達は隼斗を入れて三人になった。
何でこうも俺の日常は可笑しな方向に進んで行くんだ... 。