残念な駄弁り①
次の日の朝、俺はいつもと同じ時間に教室についた。
教室にはいつもどうり登校するのが速いメンバーの他に桐ヶ谷がいた。
桐ヶ谷はこちらを一度見ると、また詰まらなそうに目をそらした。
案外あっけないな、昨日あんなことがあったから今日合ったらどんな挨拶をされるかと思ったら何も言われなかった。
昨日のことは夢だったのだろうか?
確かにそう考えるとあっさりしてる。きっとそうだ、あれは何かの悪い夢だったんだ。そう信じよう。
いつもどうり授業が終わり、帰りのホームルームも終わる。やはり桐ヶ谷に話しかけられることは一度もなかった。
俺は今日も隼斗にデタラメに挨拶をしてから教室を出る。
そして教室から人が居なくなるぐらいまで学校を探検してから教室に戻るとそこには桐ヶ谷がいた。
桐ヶ谷はこっちに気づくなり、すぐに話しかけてくる。
「あっ、やっと帰ってきた。一体どこに行ってたのよ」
やっぱり、あれを夢あつかいにするには無理が合ったらしい
現実は奇なりか.....。
「まぁ、ちょっと野暮用で... 」
俺は曖昧に返した。
実際は廊下をぶらぶら歩いてただけなんだけど...
「ふーん、まぁ、いいわ。じゃあ早速、昨日の続きを話し合いましょ!私が何故、友達ができないのか!あと、ついでにあなたの能力の使い道を... 」
「俺の方の要件はついでかよ... 」
昨日あんなに張り切って言ってたのに、俺の能力の使い道は既におまけらしい... さすがタイタニック号、もう沈んだか?
「冗談よ冗談。ちゃんとそっちも考えるわよ」
「本当か? まぁ、俺の方はともかくお前の方の要件は明確だろ?どう考えてもあの自己紹介とその後の態度のせいだろ...」
「昨日もそんなこと言ってたけど私のどこが悪いって言うのよ?完璧だったじゃない?」
あれをどう見たら普通なのだらろう...
クロ〇ティ高校にでも入学すればあれが普通に見えるのだろうか?
冗談はさておき、こいつは本気で気づいてないのだろうか?気づいてないのだろう... はぁ...だとしたら教えてやなくてはなるまい。
「お前な、普通に考えて息なり自分に構うななんて言う奴に誰が話しかけようなんて思うんだよ!」
「ぐっ!でもでも、そっちの方がかっこいいし... 」
「かっこいいとかの問題じゃなくて、相手がどれだけお前に興味を持てるかどうかだろ!」
「うっ... はい...」
少しは反省してらしい。しょうがない、ちょっとは手伝ってやるとするか。
「まぁ、過ぎたことはしょうがない、これからどうするかが問題だ。と、言うことでこれから自己紹介の練習をする。俺がお前に色々質問するからお前はそれに答えるんだ。いいか?」
「解ったわ!任せといて!」
あれ?立場が逆になってないか?
こいつが俺に友達ができるために能力の使い道を考えてくれるんじゃなかったか?
なぜ俺がこいつの友達作りを手伝わなきゃいけない?
まぁ、いいか。
「じゃあ、あなたの特技と趣味はなんですか?」
「特技は妄想です。趣味も妄想です。」
「お前はどこの乙女〇党だよ!」
「クラス内ヒエラルキー そう誰が決めたわけでもなく いつのまにか作り上げられている 一軍・二軍・三軍」
「歌いだすな!」
「交換日記でも始めてみる?」
「始めねぇし、やらねぇよ!」
駄目だこいつ本当にやる気があるのか?
「あぁ、もう!自己紹介はもういい!次、行くぞ!」
てか、今さら自己紹介を直しても意味がないか、諦めて次に行こう。
「次はクラスの奴等に話しかけられた時の態様だ」
「任せときなさい!」
この自信はどこからくるんだ...
「じゃあ、行くぞ。ねぇねぇ、桐ヶ谷さんてどこから来たの?」
「あなた何か喋り方キモいわよ?」
「うっせぇな!お前のために女子みたいな喋りかで雰囲気を出してやってるんだろうが!」
「だって... 」
「わかったよ!やり直せば良いんだろ!じゃあ、最初っから行くぞ!」
「バッチ来いやぁ!」
「息なり口調が男ぽくなったな... まぁ、いいや。なぁなぁ、桐ヶ谷ってどこから来たんだ?」
「ちょっとあんた初対面なのに息なり呼び捨てって馴れ馴れしくない?」
「お前はやる気があるのかぁ!!」
俺が全力で叫んでしまったそんな時...
ガラガラ...
突然、教室の扉が開いた。
夢中になってたせいか教室に誰かが近づいて来ていることに全然気づかなかった。
そしてそれを聞いたのはよりにもよって、とても面倒な奴だった。
「お前ら二人で何やってるんだ?」
「あ...ぁ...隼斗... 」