プロローグ
「あ、あぢい...」
春の心地よい涼しさもなくなり太陽がこの上なくうっとしいこの夏、
俺、黒沢 翔は
いつもどうり学校への道を歩いている。
てか、帰りたい...
「なんで今日は朝からこんなに熱いんだよ... 」
そんな愚痴を心に思いながら俺は諦めて学校へと向かった。
俺の通う杉ノ丘高校は偏差値で言うと下の上ぐらいだ。
俺は今年の春に入学して、少しは高校と言うものに期待していた。
まぁ、期待外れになったんだが...
中学生という肩書きが高校生に代わっただけだった。
自分が愛読してるライトノベルの主人公達はみんな高校生で、自分も高校生になったら
こんな事をしてみたいなどと妄想していた。
で、いざ入学してみたらこれだ、
「はぁ~... 」
俺は長い溜め息をついた。
軽く詐欺にあった気分だ。
そんな事を考えてる間に学校は近づいてきた。
周りには徐々に同じように登校する人が増えてきいて、少し周りが賑やかになってきた。
(憂鬱だ... )
そして隣に大きなトラックが通りすぎてくのを見て
(なんで今、俺を轢いてくれなかったんだろ... )
そんな馬鹿なことを思いながら、俺はまた諦めて歩き始めた... 。
なぜ俺がここまで学校に行きたがらないかと言うと、それにはもう1つ理由がある。
それは誰でもやってしまったことがあるだろう。
そう、自己紹介で失敗したと言うよくある話だ。
ただ俺はだいぶ派手に失敗してしまったんだが... 。
あの時は緊張してしまって、何を言えば良いのか解らなくなり特技のところを「超能力で人の心が読めます!」などと言ってしまったんだ。
笑えるだろ?笑えよ... 死にたい...
別に俺は嘘をついたわけではない
超能力は使える。
凡庸でいて平凡な俺の唯一の非凡なところだ
自慢ができないのはその能力がかなり中途半端のせいなのだが、それがどんなものなのかと言うと...
(あぁ、あのフィギア買ってマジ正解だった!はぁ、ぺろぺろしたい速く帰ってずっと眺めてたいなぁ~)
(今日は転校生が来るとか!さらに女子!かわいいと良いなぁ~声なんてかけられたらどうしよぉ~)
今のは俺の心の声ではない、
解ってもらえただろうか?
俺は他人の心が読める。そう、他人の妄想が...