第七話
「「「レアパンドラ討伐お疲れ様でした!」」」
皆がギルドに集まり勝利の祝杯を挙げていた、俺たちはレアパンドラの討伐に成功し、多額の報酬と自身の強化に成功した。
「いや~今回のMVPは私ですね!なんといってもシュウさんを箱の中に吹き飛ばせたのは私のおかげですし!」
「あんたは人の痛みを知れ、そして穏便に物事を進めてくれ、話はそれからだ」
とは言ったものの箱の中に入れたのは実際フレイのおかげでもあるしそこらへんは感謝しないでもない
「まぁ、箱に吹き飛ばしてくれたおかげで倒せたようなもんだから、そこは感謝する、ただそれとこれは別だ、いま罰を考えてるから楽しみにしておけ、あと数分で罰ゲーム開始だ」
「・・・はい、すいません、でもですね!やっぱり私がいなかったら多分倒せませんでしたよ?だから少しでも罰を軽く・・・」
「甘ったれるな!現実とは非常である!」
俺はそう言いながらも罰ゲームを考えていた、なるべくフレイにも自分と同じ痛みを味わってほしいので考えが付かない、するとだれかがこっちに近づいてきた
「おーう!シュウ!お疲れさん!お前今日は頑張ったなぁ!私も全身の血が騒ぐのを感じたぞ!」
そう言っているのはライナだった、相変わらず攻撃一辺倒での援護だったがそれでも気を引いてくれたのでありがたい限りである、そこで俺は罰ゲームを思いついた、それの実行のために確認を取る
「なぁレイナがフルバーストで攻撃魔法を放ったらどうなるんだ?」
「ん?とうとう私の良さに気付いたか!そうだな・・・『紅蓮』並かそれ以上の威力はでるかもな!」
「かも?フルで放ったことはないのか?」
「ああ、流石に私も馬鹿ではないからな!数回に分けて使うぞ、一度でいいから使ってみたいものだ」
よし、これで完全に罰ゲームが決定した。
「そういえばさっきフレイが自分に向かって思い切り放っていいと言っていたぞ!よかったな!」
フレイは自分にいきなり話題が降られたことに驚いた様子である
「・・・へ?なんで私?優秀な壁役はシュウさんがいるじゃないですか!私脆いですよ?魔道士ですよ?」
フレイは必死に抗議しているがライナには聞こえていないらしい
「何!?それは本当か!?ありがとう!私は今一つ確信したよ!持つべきものは友だと!仲間だと!」
「よかったね!姉さん!」
いつからいたのだろうかレイナも出てきている、そして喜びを分かち合っている、これは自分の想像以上に進みそうだ。
「さぁ、ここまで期待してくれているんだ、やらないわけにはいかないだろう!フレイさん?それともできないんですか?人々の幸福を願う女神様なのに?」
「え、あ、うぅ・・・わ、わかりました!わかりましたから外に行ってやりましょう!ただ私が死なない程度でお願いします!」
作戦成功、計画通り
その後俺たちは外の平原に出ていた、そこには仁王立ちで魔法に構えているフレイ、魔法をチャージしているライナ、ただただ傍観している、俺とレイナ
「・・・おいあんたの姉さんさっきからチャージしているが、まだなのか?」
かれこれ、もう5分以上チャージしている、こっちにもピリピリとするような、火花らしきものが飛んできている
「なんだかんだで姉さんは攻撃が好きですから、これが姉さんの本気です」
すると魔法のチャージが終わったらしく、一気に雰囲気が変わった。
「行くぞ!フレイ!耐えてくれ!そして、ありがとう!私のために体を張ってくれて!」
「ほんとは嫌なんですけどね!こうなったら自棄です!引かぬ媚びぬ省みぬ精神で行きます!」
その瞬間目の前が大きく輝いた、すると巨大な光の矢がフレイめがけて飛んでゆく、それはいつも見ている魔法と比べると圧倒的である、ここまで巨大だと思っていなかったのか、フレイは驚いている
「え!?ちょ!?なんできゃああああああ!」
その光の矢は思い切り直撃して爆発した、煙が立ち込めておりその姿は確認できない、しばらくして煙が晴れたらそこには焦げたフレイが倒れていた、どうやら気絶をしているらしい。
「・・・あのーライナさん・・・?」
「あー、なんだ、その、ギルドで一緒に飲む約束している人がいるから帰る!今日は私の家に泊まっていけ!これが鍵だ!」
と言って俺に鍵を渡して、逃げるように去った、もう一人の妹は
「私誰かに呼ばれた気がするので・・・」
と言い、姉と同じように逃げるように去った
「ちょっとまてい!俺を置いていくな!やったのお前らだろ!逃げるな帰るな!」
と言ってもあの姉妹は一向に足を緩める事はなく去って行った
「・・・ったくしょうがないな・・・」
俺はフレイを抱えて、レイナの家に向かった。
「ん・・・あれ?ここは?」
「お、目が覚めたか、ここは真逆姉妹の家だ」
フレイはベッドの上で横になりながら言った、まだ目が覚めきっていないのか少しふらふらしている
「レイナさんがあそこまで強力な魔法を打てるとは知りませんでしたよ・・・あれ?お粥がある?それにこれは・・・」
フレイは自分の額にある物に気が付いた、それは少しの氷がくるまれた小さい袋である、あの後俺はフレイをとりあえずベッドに寝かせた、そしてフレイの熱を確認したら、やや熱かったので、冷やしていたのである、目が覚めた時に空腹だったら困るので、お粥を作っていた
「・・・まさかシュウさんが看病してくれたんですか?あの血も涙もないシュウさんが?私のためにお粥を?」
「お前は一言余計だ、あと別にお前が心配だったからだとか、そんなんじゃないぞ、俺が取り残されたから俺がしかたなく看病をしたり、少しの責任を感じたり・・・とにかくそうゆう事だ、決して心配だったからじゃないぞ」
我ながらバレバレな照れ隠しである、流石の馬鹿女神もこれには感づいた
「アハハ、シュウさん優しいですよね、最初この世界に来て私たち4人でやっていた時はいつもいつも怒ったり呆れていたりしていましたが、あの人たちと組んで数週間たってもほとんど毎日一緒にいるじゃないですか、シュウさんは思いのほか優しい人なんですね」
思いのほかは余計だが、優しい、と思われているのは意外だった、自分は誰にも優しいなどと言われたことはない。
「今回のことだって、シュウさんが私を看病してくれたってことは、私を大事な仲間として見てくれていることですよね?いつもいつも私に悪口を言っていても、それでもいつも一緒にいてくれるってことは、大事な仲間とゆう事ですよね?本当にあなたがパートナーでよかったですよ、これからもよろしくお願いします」
少々照れくさいが悪い気はしない・・・あれ?なんだこの雰囲気?俺はこいつと恋人みたいな感じで話してるぞ?
「あーなんだ、今回は俺の気紛れだ、これからはないと思え、だが、お前は確かに大事な仲間だ、それに偽りはない、これからもよろしくな、そしてそこでニヤニヤしてる奴ら、今すぐ出てこないと夜中に襲うぞ?」
俺は後ろのドアを少し開けて話を聞いている姉妹に気付いた、姉妹は妙に残念そうである
「あーばれちゃったか、いやー帰ってきたら何かアツアツムードだったからねぇ、邪魔しようにも流石に私も空気を読んだぞ?」
「ですので、ここは静かに事のいきさつを眺めておこうかと・・・」
「お前らは・・・全く変わらないな・・・」
だが何一つとして変わらない仲間たちに同時に少しうれしく思えるのもまた事実なのであった。
・・・なんか・・・今回・・・真面目?になっちゃった・・・