第三話
今回から本格的に・・・始まるといいなぁ
つーか前回なんであそこで話切ったんだろ・・・
「え?ああ、俺たちがゴブリン討伐依頼の契約者だが参加希望か?」
そこには二人の少女がいた、装備はつけてはいないが、見た感じでは二人とも魔導士っぽい雰囲気である。
するともう一人の女性が出てきた
「私たちが参加希望者だ!詳しくはカードを確認してくれ」
「ちなみにカードの管理は姉さんに任せてあるんですよ、心配性ですよね」
「いやあんたに渡したら5分でなくすからな!何故装備をなくさないか不思議なくらいだよ!」
と話しているが、姉さんと呼ばれた方は声がでかい、やたらと声がでかい
俺は受け取ったカードを確認した、名前ライナ、プリースト、もう一方は、名前レイナ、ソーサラーとの事らしい、レベルはお互いに13である、腕は期待できそうだ。
プリーストは回復、補助に長けた魔導士、と言っていた、これは嬉しい、多少の無理ができるだろう、攻撃能力もあるらしいがあまり期待できないらしい、ソーサラーは、逆に攻撃専門だそう、補助もあるが、これも期待するほどではないとか。
「よしじゃあ今から会議を行う、とりあえず俺たちはどうすればいいと思うか?」
すると、俺は重大な点に気付いた
「・・・そういえば、近接って・・・俺だけ?」
そう、パーティバランスである、近接1で魔導士3である、バランスが良いか悪いかと言われたら悪いかもしれない
これは困った、話によれば、魔法を使うには限度があっていわゆるMPが存在しているらしく、それが尽きたら魔法が打てなくなるらしい
俺が対策を考えてたら妙な視線を3つ感じた、それは現段階の仲間の視線だった、それらは皆それぞれ期待の目をしているように見える
「やめろ!そんな目で俺を見るな!俺レベル1なんだぞ!レベル1に何期待してるんだよ!」
「いやいや、私たちがもし魔力尽きたら、シュウさんしかまともに戦えなくなるんですよ?そりゃ期待しますよ!」
というのはフレイだった、それに同調するように姉妹も頷いている
「うむ!それに魔力は自分のスタミナとも言うべきもので使いすぎると疲れてしまう!もし私たちみんなが使い果たしたら・・・君がおぶってくれなければろくに移動できないだろうな!だが私の攻撃魔法をなめてもらっては困るぞ!」
と、と得意げに言った魔力切れに慣れたのだろうか、慣れて大丈夫なものなのだろうか、しかし俺はレベル1だ。
「あ~期待してくれるのは嬉しいが俺は、旅人でレベル1なんだ、念のため言っておくが募集紙を見てるだろうが、それに書いてあることに一切間違いはないからな?」
「はい、それは私も姉さんも承知の上です、でも大丈夫ですよ、私が補助をかけますので!」
と言うのは妹の方だった、いや分かってるなら、少しは対策考えてくれよ・・・どこから来るのかその自信は・・・
と、俺の片に手が置かれた、その手はフレイだった、顔には笑みが浮かべてある
「大丈夫です!私もレベル1ですよ?同じレベルなんですから、私も同じくらいの実力ですよ!」
「いやあんたは中級職だろ!旅人という初級職と中級職を比べるなよ!俺がみじめだろ!」
と散々言っているが、頭の中で俺は今回の作戦を決めた
「心配になってきた・・・いいか?作戦を発表するぞ?まずは俺が前衛で壁、もとい近接攻撃をする、その間に3人で魔法詠唱、フレイとレイナが攻撃、ライナは俺に補助魔法で体力が減ってきたと思ったら回復、これで行こう。」
「うむ、わかった、異論はない」
「はい、私も大丈夫です」
と姉妹が声を揃えて言った、流石姉妹といった所か、
「それでは我々は装備を整えてくる、しばし待っていてくれ」
と姉は言って、ギルドから出て行った、自分の家を持っているのだろうか、いつしか自分もほしいものである。
「しかしあの姉妹名前は似てるがは性格が真逆だな、妹がややおとなしめといった感じで姉は男らしいといった感じだったな、妹がプリーストで姉がソーサラーなんだろうな」
「そうですね~あのお二人仲が良いし、レベルも申し分ないので今回は割と簡単だと思います!」
「ん~まぁ油断は駄目だな、俺はレベル1だしな」
「いや私もですよ?」
だからあんたは中級職だろうが!、と言いたくなるのを我慢した、もう突っ込むのも疲れた、こんな調子でこれから大丈夫だろうか・・・そういえばあの姉妹の名前は分かったが、どっちがどっちかはまだわかっていない、俺もフレイもカードを渡していない、依頼が終わったら一応渡しておくか
すると後ろから声が聞こえた
「待たせたな、さて行こうか!」
いつの間に来ていたのだろうか、姉妹は全く同じ装備をしている、
「あ、そういえば、あんたらはどっちがどっちなんだ?」
無論、名前の事である、ほとんどわかっているが、念のためだ
「む、言ってなかったか?では改めて紹介しよう!私がライナだ!職業はプリーストだ。」
「私がレイナです、職業はソーサラーです。」
「・・・は?あんたがレイナじゃなくて?」
「ああ!私がライナだ!プリーストのライナだ!」
その割には性格が真逆である、こんなことってあり得るのだろうか・・・?
「あら、もしかして姉の性格と職業が真逆と思ってるんでしょうか?大丈夫ですよ、姉の実力は実際戦闘で見れば分かります、そこであなたの考えも変わるでしょう!多分!」
とレイナは言ったが、それはあんたもだろう・・・というか多分って・・・
「あの~シュウさん?人を性格で判断しちゃいけませんよ?」
「それは分かるんだが、お前が言っても説得力0だぞ・・・女神なのにバカって・・・」
「え~と・・・それは~・・・あはは・・・」
目の前の女神は笑って誤魔化した、自覚があるのだろう
「馬鹿という自覚があるのなら、少しは頭使ってください、お願いします・・・」
するとライナが口を開いた。
「すまんが、そろそろ行かないか?早く戦いたくてうずうずしてるんだ!」
いやそのやる気は買うが、プリーストの攻撃魔法は・・・いや、もしかしたら攻撃魔法を特化しているのかもしれない、レイナの方も補助魔法を特化している可能性もなくはない
「あ、ああ行こうか・・・」
俺の心配をいざ知らず意気揚々としている姉と一歩引いた目線から話している天然な妹、頭の残念な女神、今気づいたが男は俺だけで、いわゆるハーレムパーティだ、しかし嬉しいかと言われたら微妙なところなのだが・・・姉妹は二人とも結構な美貌の持ち主である、まさに物語のヒロインといった感じだ・・・性格を除いたら、だが
「性格を除いたらって・・・さすがにそれはひどいぞシュウ・・・」
「俺の心を読むな!心を!」
しばらく歩いていたら町の外に出た、見渡すと結構多くの魔物がいる、ゴブリンの姿もある
調べたとおり、ゴブリンは手に棍棒を持っている、大きさはそれほどでもないが、顔は子鬼のような顔である
「さて、俺は戦いに不慣れだからある程度数の少ない群れのゴブリンから行きたいんだがいいか?」
「お前はそれでも男か?男なら20匹くらいの群れに突っ込んでこい!」
「じゃあお前が行けや!俺はレベル1なんだ!レベル1の素人に無理させんな!」
すると俺は4匹のゴブリンの群れを見つけた、俺はその群れに狙いを定めた
「おい、あのゴブリンの群れを討伐するぞ、各自ちゃんと、自分の役割を果たせよ?」
「分かってるよ!私に任せておけ!」
「壁役頼みましたよ~」
「シュウさんお願いしますね」
途中で心にもない言葉が聞こえた気がするが気のせいだろう、俺はゴブリン達に向かって突撃していった、すると後ろから魔力の気配を感じた、詠唱をしているのだろうか、俺は振り返ることなくゴブリン達に向かっていった、流石にゴブリン達もここまで近づかれたら俺の存在に気付くようで、手にした棍棒を構えた、すると後ろから光の矢が飛んできた、これが魔法だろうか、その矢は狙いを違えずゴブリンに命中したが・・・煩わしいように頭を振っただけであった。
「どうだ!私の魔法は!凄いだろう!」
「いや、ライナは攻撃じゃなくて補助回復だっての!全然効いてねえぞ!」
「シュウよ!塵も積もれば山になるのだぞ!つまりどんなに威力が小さくても、何度も重ねればいつしか大きなダメージを与えていることになるのだ!」
「いいこと言ってるように聞こえるが全然かっこよく・・・うおっ!」
ゴブリンが手にした棍棒で殴り掛かってきたのだ、それを間一髪で避けて、剣を叩き込む、手ごたえはあったのだが当たりが浅いのか、あまり効いている様子はない
「とにかく、ライナは補助に回れ!レイナ、フレイ攻撃頼むぞ!」
「補助なんてみみっちいことできるか!攻撃一辺倒で行くぞ!」
「バカ!お前バカ!」
すると突然後ろから火球が飛んできた、その火球がゴブリンに当たった、ゴブリンの全身に炎が燃え広がり、塵も残さず焼き尽くされてしまった、そのゴブリンはまだ一撃も食らってなかったのである
「おお、ナイスだフレイ!」
「ふふん、どうですか?私をただの頭が悪い人と思ったら大間違いですよ?」
これが中級職の実力であろうか、一撃で魔物を倒すのは今の俺では不可能だが、フレイのおかげである程度は楽になってくれる、これで頭が残念じゃなかったら言うこと無しなのだが・・・
俺は先ほど切りつけたゴブリンにまた一撃を入れた、今度は当たりが良かったのだろうかゴブリンに深々と刺さり、その一撃でゴブリンは倒れた
しかし、レイナの動きがない、そろそろ攻撃魔法が来てもいいころだと思うのだが、なかなか来ない。
俺はレイナに叫んだ
「おい!レイナ!早く攻撃魔法を頼む!」
「・・・使いたくありません」
「いや、何言ってんですかレイナさん!冗談がお得意ですねー!」
「冗談ではありません、使いたくないのです!補助しかできないのです!」
「・・・マジ?」
「・・・マジです!」
それは申し訳なさそうな声だった、しかも消え入りそうな小さな声である
「そんな申し訳ないと思うなら攻撃魔法覚えろよチクショー!」
俺は怒りの一撃をゴブリンに食らわせた、もはや半ば八つ当たりである、するとその一撃だけでゴブリンは倒れた。
あと一体・・・なのだが、ライナが何発も光の矢を放っていたいたせいか、ゴブリンは倒れていた。
「アハハ、やったな、ほら見ろ私の攻撃魔法なかなかだろう?」
とやたら得意気である、色々言いたいことがあるため俺は姉妹に近づいて行った、そして、俺は叫んだ
「お前らはなんでその職業を選んだ!?ライナ!お前攻撃したいならソーサラーになれよ!レイナも補助がしたいならプリーストになれよ!なんでこう真逆な職業を選んだんだよ!俺は今この瞬間人生最大のミスマッチをというのを感じたぞ!」
「いや・・・だって・・・冒険者として登録した際にこうなったのだから・・・なぁ?」
「あ、はいそうですね、私達はその時からこんな調子でしたよ?」
もう返す言葉もない、しかしせっかくの仲間なのだ、こんなに厳しく言ってもしかたないだろう。
「その時からって・・・あんたら、パーティ組んだことあるのか?」
「いや・・・そういわれたらパーティなんて今回が初めてだよな?」
「知らない人と行く依頼は初めてですね、少なくとも記憶がありません」
「パーティ経験がないのなら初めに言っといてくれよ・・・まぁ俺もだけどさ・・・」
「まぁまぁシュウさんそう怒らずに、今は目の前の依頼を終わらせましょうよ」
と微笑みを浮かべながらフレイが言った、不思議と心が落ち着く
依頼のゴブリン討伐は10体以上倒せばいいらしいが、骨が折れそうだ
その後時間をかけて、計15体のゴブリンを討伐した、その頃には、4人全員が疲れ果てていた
俺は体力の消耗や慣れない激しい動き、他の3人は魔力消耗による疲れである
「ふぅ・・・なんとか倒したが・・・こんなに疲れるもんなんだな・・・」
「もう煙も出ませんよ・・・」
「久々にハードな戦いができたな・・・」
「走れませんよ・・・私は・・・」
しかし俺たちは素人にしては頑張った方だと思う、カードを見てみるとレベルが3に上がっていたのだ、フレイも2に上がったようである
「よし、ギルドに帰るぞ依頼終了だ」
「あの・・・シュウさんすみませんが肩を貸してくれませんでしょうか・・・」
「すまない・・・私も・・・」
「私も・・・魔力消耗が・・・」
「・・・俺にそんな体力が残ってるとでも?」
「シュウさんなら・・・シュウさんならきっと私達3人を支えて町に帰れるはずです!」
何を自信に言っているのかは分からないが、このまま見捨てるほど俺は鬼ではない。
結局俺は両肩に真逆姉妹、背中にフレイという、非常に変な支え方をして町のギルドに帰ってきた。
ギルドに入った瞬間、いろんな冒険者の視線がこっちに向いたような気がしたが、気にせずそのまま椅子に3人を座らせた、そして俺は報酬を受け取りに行った。
「お疲れ様でした、これが報酬金です。」
受付嬢は俺の苦労を知ってか知らずか、少し報酬金を増やしてくれた、同情であろうか、それともただ単にゴブリンを規定数以上倒したからなのかは分からないがただ一つ言えることは
「同情するなら、もう少しまともな仲間をくれ・・・」