プロローグ
俺はなぜかここで寝ていた、というよりは寝そべっていた。
しかし、この場所に見覚えはないなぜこんな場所に来たのか・・・思い出せ・・・
今日俺は久々に外に外出した。
何せ今日は待ちに待ったゲームの発売日だからだ、そのゲームは発売日が決定してから延期・・・またそれから延期・・・これを何度も何度も繰り返して数年たってようやく発売日が完全に決定した。
なぜそんなに延期を繰り返したかは定かではないが・・・
もちろん最初の発売日からずっと待っていた俺は今日という今日を楽しみにしていた。
ただそれを待っていたのは俺だけではなく日本に何人もいるはずである。
ただそいつらの書き込みをパソコンで時折見かけることがあるのだが揃って書いてあるのが「頼むから普通の生活を送らせてくれ・・・」だった。
おそらく発売延期が何度もあり精神的にまいってしまったのだろう。
俺はそんな書き込みを一度もしなかったし思ったことさえもなかった。至って普通の生活も送れた
なぜ自分でもそんな生活が送れたかは不思議ではあるがその発売日までを毎日楽しくまだかまだかと思っていたからだろう・・・と、ついさっき適当に思った
近くのゲームが専門においてある店までもう少し・・・と思った所で俺の数少ない友人であるヒトシがいた。
「お、お前が外出するなんて珍しいな砂漠に雪が積もって勝手に雪だるまが作れて動き出して雪合戦をしながらかき氷を食うよりも珍しいぞ」
「全然外出しなくて悪かったな・・・しかし!今日は待ちに待ったあのゲームの発売日!もちろん行列という名の聖戦に巻き込まれるであろう!しかしそのゲームという姫を助けるためならば私はたとえ火の中水の中にさえ飛び込むぞ!」
といつもの冗談交じりで話す友人ヒトシと俺、もちろん俺は冗談ではなく至ってこれが普通なのだが
「聖戦って・・・姫って・・・」
「どうした?兵士が戦にでなくてどうする!姫を助けなくってどうする!もし姫の命に何かあれば・・・私は・・・私は!」
「あーハイハイ俺が悪かったです、すいませんでした」
するとそこで腕時計から10時を知らせるアラームが鳴った。
「おっと・・・あと一時間で開店だそろそろ行かないとな」
俺はヒトシに別れを告げゲーム店に向かった。俺の思った通り店の前には長蛇の列ができていた。
「目測・・・およそ20メートル以上あります!」
と俺は誰かに伝えるように言った、誰かがいるわけでもないがおそらく自分は興奮と期待に心が躍っているのだろう。
そして俺は列に並んだ。その後も後ろに並ぶ人々がいた。
「フッ・・・愚かなる愚民どもよ・・・兵士は常に戦を迎えても大丈夫なように準備をしておくのが当たり前であるぞ!」
今思えばおよそ20メートル以上も離れているのだから自分も遅いといえば遅い。
しばらくすると11時を知らせるアラームが鳴った、開戦の合図である、それと同時にシャッターの開く音がした。
「うおぉぉぉ開戦じゃあああああ!姫!今行きますぞおおおお!」
何人かが俺の方を驚いたように見ていたが気にしないことにする
およそ30分くらいしただろうか、ようやく俺は店の中に入れた。
「おお・・・姫・・・なんと麗しゅうお姿・・・」
そのゲームはまだまだ残っていたがおそらく全員には手に入らないだろう
あと10人くらい、心なしか鼓動が少しずつ早くなっている気がする
すると突然後ろから急停車するいくつかの車の音が聞こえた。
中から出てきた人は皆覆面をつけており、手に銃を持っていた、これが俗に言う覆面強盗であろうか。
「この店は我々が占領した!この店員が人質だ!この店員を助けたければここの店の商品をすべて余す事無く我々に渡せ!誰かが勝手な真似をしたらそいつを打ち殺す!」
俺は頭が空になった
しばらくして冷静になった俺から出た言葉は
「うおぉぉぉぉぉ姫は俺が必ず救う!」
といい奴らに特攻したその瞬間、銃弾の放たれた音と共に意識が途切れ目が覚めたらここにいたのだ。
「そうか・・・俺は死んだのか・・・そうかそうか・・・」
なぜ俺は冷静なのだろう、そう思った瞬間
「・・・いやいやいやそれはないって!あれは絶対俺がかっこよくあいつらを倒して姫を救出できるってパターンだって!」
だれがそんなパターンを決めたのだ、と自分に自分で言いたかったがすぐに
「ああ・・・姫よ・・・先立つ不幸をお許しください・・・できれば民たちの平和を祈っておいてください・・・」
俺はどれだけあのゲームが好きなのだろう・・・
「・・・でここはどこなんだ?真っ暗だし何も見えないし・・・もしかして・・・あの世?」
するといきなり目の前に大きな扉が現れた。
「つまり・・・入れってことか・・・?」
その大きな扉を開けた向こうには困ったような顔をした女性がいた。
「ええと・・・あの・・・待たせてしまい申し訳ありませんでした!」
・・・え?待たせてしまって申し訳ないって・・・え?
「あ!突然言われてもわかりませんよね!すみません!」
「えっと・・・あーうん」
「き、今日はい、いい天気ですね!」
と妙にガチガチになりながら言っているいい天気といっても真っ暗なのだが
「えっとあのあの!」
そろそろ俺も落ち着いてきたが、よく見てみればこの女性はとても整った顔立ちをしている。
これが俗に言う美女なのだろう、髪は赤く背中辺りまで伸びている。
「あーなんていうか・・・その・・・とりあえず落ち着いてくれ」
「は、はいそうですね!すいません・・・」
といい頭を下げた、顔を上げてしばらくしたらその女性は口を開けた
「あの・・・非常に言いづらいのですが・・・」
言いづらいということは・・・つまり・・・
「あなたは・・・死んでしまいました」
「やっぱりか・・・」
俺の予想は間違ってなかったようだあの時俺は銃で打たれて死んでしまったのだ・・・
「あっそんなに気を落とさないでください。大丈夫です」
とその美女が微笑んだ
「大丈夫って生き返ることができるのか?」
俺は期待半分疑問半分で聞いた
「いえ・・・生き返る、というよりは転生するというのが正しいかもしれません」
「転生・・・?マンガや小説でよくあるあれのことか?」
「はい、これからあなたはとある世界にて第二の人生を歩んでもらいます」
「なるほど、所で今疑問が三つほどあるんだが、質問していいか?」
「もちろんです!私が答えられる範囲であればですが」
「じゃあ・・・ここはどこなんだ?転生したら俺の見た目や身体的パラメーターは変化するのか?なんで俺は転生しなくてはいけないんだ?」
一気に三つも聞いてしまったが確認しておきたかったのだ
「まずは一つ目ですね、ここは、簡単に言えばあの世ですね、みなさんが亡くなった時に必ず来る場所です。といってもここの部屋に来るのはあなたが初めてなんですけどね」
俺が初めてとは嬉しいやら悲しいやら複雑である
「二つ目ですが、見た目や身体的パラメーターなどは変化はありませんそのままの年齢そのままの姿で転生します」
見た目がイケメンになったら喜ばしい限りなのだがそうはいかないらしい
「で三つ目なんですが、ここの部屋に来るのはあなたが初めてといっていましたが、人間に限らず死んでいったすべての者たちはは生前に行ってきたことで何に転生するか決まるのですが、それらが基準に満たない場合はこの部屋に来て新しい人生を歩んでもらいそこでまた死んだら基準判定、ということになっています。」
「俺・・・基準に満たしてなかったんだなぁ・・・」
自分では普通の生活を送っていたつもりがあったのだが、理由はともかく基準には届いていなかったらしい、がっくりと項垂れていると
「あ!えっと、そ、そのすいません!お気に触るようなことを言ってしまって・・・」
「いや、気にしなくていい、自分に問題があったのならしょうがないおとなしく運命を受け入れるさ」
とかっこよく行ってみたが内心結構なショックだったのは言うまでもない。
「そういや俺が転生する世界ってどんなところなんだ?」
「えっと・・・ラギスという世界ですね」
「ラギス?」
まるでどこかのゲームの世界でありそうな名前である
「ラギスというのは魔物や魔法などが存在する世界ですね」
「つまりRPGの世界というわけか・・・」
「分かりやすく言えばそうなりますね」
この女性は現実世界のこともある程度は精通しているのかもしれないマンガや小説、RPGという言葉も知っているようだし、何よりこの美貌でこの親切は反則である。
「さて・・・そろそろお時間なのですが、一つだけ特典があります」
「特典?」
と言いながらも大体わかっていた、何度か家で異世界に行く小説を見かけたことがあるのだ
「はい、現実の人間がいきなり魔物の世界に行ってもすぐやられると思います、なので特典としてあなたの望むものを一つ叶えてあげます。」
予想通りだった、望むものなんでも一つということは伝説の武器や凄まじい身体能力とか無敵のスキルとかでもよいのだろう
「うーむ、どれにしようか・・・最強の装備・・・いやいや無敵のスキル、すべてを砕く剛腕や神速の足・・・悩むな」
すると非常に困ったような顔をした女性が
「えっと・・・あの!すいません!もう時間がないのであなたをこのまま異世界に転生させます!また後日なんらかの補償をしますので、本当に申し訳ございません!」
「え、いやそうゆうのは最初に、いやまだ何も決まって」
言っている途中、俺の足元に大きな魔方陣が現れ俺の体が光を包んでゆき少しずつ意識が薄れていった
薄れていく意識の中、女性は本当に申し訳なさそうな表情をしていた。
でも・・・やっぱり最初に言ってほしかったな・・・そう思った瞬間また意識が途切れた
目が覚めたらそこはとある部屋の中だった。
そこには木製のドアと外の光を入れている窓くらいしかなかった「んーまぁその補償とやらに期待するか!」
とやや吹っ切れて外に出たまず目に入ったのが鎧や剣、槍、斧などを身に着けた男性、女性などが目に入ってきたそれを見た瞬間異世界に来たという実感がわいてきた
「こうゆう時はまず・・・」
異世界に来たときはまずギルド登録、というのがお約束なのだがここでも同じなのだろうか
「あの、ギルドはどこにあるか教えてくれないか?」
と恐らく道具を売っているのであろう商人らしき男に聞いた
「なんだいお兄さんこの町は初めてかい?ギルドならあの大きな建物だよ。大きくて分かりやすいから道に迷う心配はないだろうが念のためこの地図を頼りに行ってみな。」
と、この町の地図を渡された
「サンキュ助かったよ」
地図を受け取り確認する。
このまま真っ直ぐ行けばギルドには到着しそうだ。
俺は地図を確認しながらギルドに向かっていった。
コメディーとありますがコメディー要素が少ない・・・というかないに等しい・・・精進します