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EPISODE3/第2陣は要注意対象

 ジストとカイルが向かった先にいたのは、蟹の様な紫の中量多脚型UMS『タリス』だ。全部で3機いる。今3機がいるのは岩だらけで足場の悪い不整地で、そういう戦場では、どんな悪路でも走破出来る多脚型はかなり有利だ。今の所確認されている武装は腕に装備された『シザースキャノン』が二つのみ。球状のエネルギー弾を発射するほか、『シザース』の名が示す通り切断用の鋏としても使える。ペルセウス12機が追いすがって攻撃しているが、周りに護衛として控えているグラーベが邪魔して戦況は進まない。

「どうするジスト?」

「俺達が行ってもあのグラーベに邪魔されるのが落ちだろう。マリア、狙撃できるか?」

「私を誰だと思ってるの?」

「なら任せた。グラーベをやってくれ。俺とカイルはタリスに攻撃する。」

「ちょっ、勝手に仕切らないで!この隊の隊長はカレンなんだから!

 すると、通信が入った。

『こちらカレン・ヴァータム。たった今ジョナサンのアーサーを出撃させた。後5分もすれば合流できるはずだ。』

「ナイス!ああいうのと戦闘になる時には凄い頼りになるからねあれは!」

『とりあえず、アーサーが着くまで足止めを頼む。可能なら撃破して構わない。』

「「ラジャ。」」

 ジストは地上に降りて敵に突っ込み、カイルは上空から4丁拳銃でエネルギー弾をバラまく。随伴するグラーベは対弾シールドを装備し、防御を固めた体勢だ。

「ハアッ!」

 ジストのガウェインセイバーがグラーベを2機ほど一気に串刺しにし、刃を横に薙ぎ払って飛びのいた直後に貫かれた2機がまとめて爆散する。続けて連射されたパイル弾がグラーベを次々と貫いて爆破していき、タリスに向かって道ができる。

 次の瞬間、ジストはガウェインのスラスターを最大出力で噴射、一瞬でゼロからマッハ1,5に加速してタリスとの距離を詰め、そして十分接近するや一瞬でマッハからゼロまで減速する。パワードスーツでこんなことをやれば、まず間違いなく脳がGでつぶれて御陀仏だが、TBは機械であるため人間に比べて無茶な加速の融通も利くのだ。

「シッ!」

 ガウェインセイバーが振り下ろされるが、目の前のタリスはシザースキャノンでその一太刀を防ぎ、そしてもう片方のシザースキャノンを振り上げた。急速旋回でかわすが、鋏がわずかに装甲を掠める。

 と、その時だった。いきなり飛来した大出力の粒子ビームがタリスの装甲を一撃で貫き、粉々に粉砕したのだ。ジストが目をやると、そこにいたのはジョナサンが駆るアーサー、そして7機のTB『イスカンダル』だ。


 アーサーは中型や大型との戦闘を目的とするTBで、装備するのは1対の大ぶりの実体剣、『カリバーン』と『エクスカリバー』だ。まずカリバーンは通常形態のソードモードのほか、重心を傾けて90度回すことでガンモードに変形、威力は、通常兵器で言うへビィマシンガンに当たるロングビームライフルと同程度であり、大型の敵に対して使用するには十分な性能だ。もうひとつのエクスカリバーは銃にはならないが、通常形態『フィジカルモード』から、10メートルほどのビーム刃を進展させる『パーティクルモード』ともなる。パーティクルモードの方が威力とリーチはあるが、半端じゃないほどのエネルギーを消費するため使用にはタイムリミットが設けられており、このモードに移行できるのは30秒間のみとなっている。小回りが利かないためしかし軽量型との戦闘は苦手であり、しばしば出撃せずに待機となることもある。

 イスカンダルは実弾系ショットガンとビームマシンガンをメイン武装とし、左腕のパイルバンカーや背部のミサイルユニット、小型ミサイル内蔵のシールドなど強襲用の武装を装備し、さらに予備武装として右手甲にビームソードと腰にトンファー1対を装備し、近接戦闘能力も十分。設計思想としては、前線に複数で切り込んで敵陣を切り崩し、後続が戦いやすい状況を作り出すのが目的である。


「待たせたな、ジョナサン・アークガルド、派手に行かせてもらうぜ!」

「そのイスカンダル部隊は何なんですか大尉?」

「あぁ、途中で出くわしてな、そのまま同行したってわけだ!」

 先ほどのビーム弾はどうやらジョナサンが放ったものらしい。彼はそのままカリバーンを撃ちつつタリスに突っ込み、イスカンダル隊はタリスに随伴するグラーベに突撃しながらショットガンをぶっ放す。

 加勢によってペルセウス部隊は一気に勢いづき、あっという間に形勢がTB側に傾く。

 ジストもガウェインセイバーを振りかざしてもう1機のタリスに斬りかかり、首に刃をたたきつけられたタリスが地面に倒れ伏す。カラミティ・ジェーンのライフルが最後に残ったグラーベを貫き、UMS側は全滅、戦いは存外あっけなく終了した。

「…戻るぞ。」

「あ、ちょっと待ってよ!」












「撃破数はざっと6体か…やるじゃないか。」

「…今回のは強くはなかった。猛者がいたらもっと苦戦になっただろう。」

「隊長に褒められたってのに謙虚だねお前。っつーか俺たちにもっと心開けっての。」

 ジストは何も言わずその場を去り、自分の部屋へと向かっていった。



 ジストは自室のベッドに横たわり、なんとなしにぼんやりと天井を見上げていた。

「……」

 その瞳からは、何も読み取れなかった。ただ、一瞬だけ、何かの感情がよぎったように見えた。

次はトモエです!

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