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EPISODE12/戦争は人を変える PART3

 急展開、の予定です。でもまだやりたいこと全然できてません。

 今回は226主体です。

 ついさっきまで味方だった兵士たちが、エネルギー弾を、弾丸を、ミサイルを発射し、刃を振るう。UMSの物とはケタ違いの威力を持った兵器の攻撃を浴びせられ、先ほどまでとは比較にならないペースで人類軍の兵力が失われていく。そしてそれと同時に、何処から湧いて出たのか今までとは比較にならないほどの大量のUMSが現れ攻撃を開始。どうやら、先ほどまでの戦闘は前座にすぎなかったらしい。

「ちょっちょっちょっ、どういうことなのよこれ!?」

 咲魔が困惑しながらも果敢に立ち向かう。しかし、周りの兵士は予想外の増援と味方の裏切りであらかたがパニックに陥っており、ほとんど使い物にならない状況だった。

 ちらりと塔の頂上を見やる。すると、そこに向かって金色のTBが飛翔していった。



「オッサン!いったいなんの冗談だ!」

 ギルガメシュ―ルーク・アブルホールがいら立ちを募らせてカインズに問いかけた。

「何がだね?」

「何だもへったくれもねえ!何でTB同士が戦ってるんだ!何でおっさんがUMSの指揮をとってるんだよ!」

「ああ、その事か。君が知る必要はない。」

「!!……てンめェ…」

 ルークがジャマダハルを振りかざし、カインズに飛びかかる。…しかし、刃が届くよりも前に、閃いた光刃がルークを弾き飛ばしていた。

 その刃の主はアリーサ・ケイオスだった。ビームドゥサックを両手に持ち、ルークにむけて刃を突きつける。

「敵が一人とは限らんぞ。」

「アリーサ…ウソだろ…お前まで…」

「感傷に浸っている暇があるのなら目の前の敵と戦え!」

 アリーサは鋭い声と共にルークに襲いかかる。ジャマダハルとソードブレイカーでなんとか攻撃をいなすが、状況的にどう見てもルークの圧倒的不利だ。そして、一瞬のすきをついた鋭い斬撃がギルガメシュのボディに噛みつき、シールドエネルギーをごっそりと持っていく。

「そう言えば、お前が今まで模擬戦で私に勝てた経験はなかったな。実戦ならばなおの事、か。」

「クソッタレが!ふざけんじゃね…」

 そこまで言った時だった。急に、ルークの意識が引きはがされた。ギルガメシュから力が抜け落ち屑折れた時には、彼の意識は強制的に生身の体に戻されていた。




 いきなりだった。咲魔のすぐ近くでなんとか体勢を立て直して反撃するTBのうち1機が、いきなりデュアルアイの光を消して屑折れたのだ。

 TBの最大作戦行動時間は物にもよるが大体が450時間前後だ。この程度の時間でエネルギー切れになることはまずあり得ない。となると、考えられる要因は二つ。生身の体に攻撃を受けてパイロットが死んだか、それともオペレーター側から強制リンクアウトされた時か…

 どうだっていい。まずはこの状況をどうにかしなければ。波いる敵を何とかさばいていくが、それでもこの数はきつい。

 と、次の瞬間。視界が急にブラックアウトする。意識を引きはがされる嫌な感覚を感じながら、咲魔は夜哉のヨシツネと朝儀のジャンヌ・ダルクがデュアルアイの光を消して倒れるのをちらりと見ていた。



 真っ暗だった視界が、いきなり明るさを取り戻す。

「…!!」

 そこはグリパヘリルではなかった。そして咲魔の意識があるのは、生身の肉体…

 そこまでを認識した時だった。コネクターのキャノピーが抉じ開けられ、すさまじい力で引きずり出されたのは。

「よお咲魔。いい様じゃん。」

 声がした。ハルヤのものだった。その方向を振り返った彼女が目にしたのは、穹を乱暴にねじ伏せてブラッディピアッサーの切っ先を首筋につきつけるレイナのヴラド=Ⅳと、それを仁王立ちになって見るハルヤのジャック・ザ・リッパ―の姿だった。その、受け入れるにはあまりにも衝撃的な光景は、状況を全て物語っていた。

「……ハルヤ…?レイナ…?何…どういうこと…?」

「見りゃわかるだろ?穹を人質に取ってるんだよ。」

 見れば、夜哉と朝儀もその光景をにらみつけている。この二人が敵についていないだけまだましなのかもしれないが…

「反抗なんて考えない方がいいぜ。今の僕らの手にかかればお前らなんか5秒で臭い生ゴミの塊に早変わりさ。」

「…クッ…」

 咲魔は懐のホルスターに仕込んだ小型ハンドガンをつかんだまま、何もできなかった。

「…要求は何?私たちの命?」

「さすがにそこまでは求めやしないさ。カインズから無駄な殺しは止められてるしね。ま、本音を言えば、今すぐにでもブチ殺したてやりくてウズウズしてるんだけどさ…」

 ハルヤの声は恍惚とした歪みを帯びていた。かつて226の戦士として戦った彼の面影など、欠片も残ってはいなかった。

「…チャリオットを渡して。あなたたちは出て行って。要求はそれだけ。」

 レイナが、穹を押さえつけたまま端的に言った。

「…ダメ…皆…うっぐぅ!」

 穹が声を絞り出すが、直後にレイナに髪をつかまれて乱暴に頭を持ち上げられた。

「…人質はしゃべらないで。次しゃべったら殺す。動いても殺す。咲魔以外が喋っても人質を殺す。悲鳴は例外だけど。…で、要求は呑むの?」

「ふざけないで!誰があんたたちの言うことなんか…」

 すると。

「駄目だっつーのレイナ。お前ヌルすぎ。それと咲魔もさ、いい加減隊長ヅラすんのやめてくんない?ハッキリ言ってウザいんだよ。」

 ハルヤは穹の近くに歩み寄るとレイナの手を払って穹の腕をつかみ、『軽く』捻った。

 バシッ!と嫌な音が響き、穹の腕が関節のないところで曲がった。

「ヒッ…うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!あっくぅ…痛い…うぅぅ…」

「一回ノーという度にこうするぜ。両手両足を折り尽くせば次は指をへし折る。それもやり尽くしたら次は肋骨を一本ずつ砕く。肋骨がなくなれば腹を裂いて内臓を引きずり出して殺す。なおノーっって言うなら夜哉には5㎜口径のご褒美をプレゼントして鉛の糞をしてもらう。それでも無理なら朝儀の体を引きちぎって…」

 ハルヤの声がどんどん熱を帯びてくる。想像するだけで興奮してたまらない、といった声色だ。

「…止めて…」

 咲魔はどうにか声を絞り出した。

「わかったから…このチャリオット明け渡すから…だから穹を離して…」

 それしか選択肢はなかった。もう聞いているだけでも耐えられなかった。

「…賢明な判断に感謝。」

 レイナが乱暴に穹を突き飛ばした。よろめく彼女を朝儀が抱きとめる。






 チャリオットが走り去っていく。咲魔は近くの木に手をついて黙りこみ、夜哉はすさまじい形相で去っていくチャリオットをにらみつける。朝儀は持っていた布と折り取った枝で穹の腕を固定しようとし、穹は掠れそうな声で何度もごめんなさい、とつぶやいていた。

 すると。

 すぐそばの茂みから、がさっ、と音がした。全員がそれに気付き、咲魔と夜哉はハンドガンを抜いて構えた。今やこんなものが役に立つとは思えないが、少なくとも気休め程度にはなる。

 やがてそこから影がたちあがった…

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