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EPISODE8/疑念は芽を出す

 奇襲してきたUMSを殲滅し、夜哉が穹に熱烈なアタックを受けている頃、ジストはチューブ飯を啜り、チャリオット内をぼんやり歩きながら思索にふけっていた。考えていたのは、あの圧倒的な強さを持つ、漆黒のグラーベの事。

 と、作戦室に入った時、カイルとカレンが二人で食事のバー-カロ○ーメイトみたいなやつだ-をかじっていたのを見つける。

 普段の彼なら素通りすることろだが、今回は違った。というのも、その二人のうち片方に話があったからだ。

「…カレン、少しいいか。」

「ん?どうしたジスト?」

 声をかけられたカレンが、かじりかけのバーを片手に振り向いた。

「えっと…僕は邪魔かな?」

 カイルが頬をぽりぽり掻きながらおずおずと尋ねる。

「…別に聞かれて困る話じゃない。」

 ジストが、そっけなく答えた。

「ほう、わかった。どういう要件だ?」

「…隊長のお前に、少し話があってな。…この間の黒いグラーベ、覚えているか。」

「…アイツか…」

 カレンが、その話を聞いて真顔になる。直接見た訳でも剣を交えた訳でもないが、アンナがデータ収集用にモニタリングしていた、あのグラーベの映像をカレンは後で観ている。その圧倒的な強さも知っていた。

「…あのクラスの猛者が市街地襲撃に出てきたことなど、今までなかった。」

「…確かに…」

「言われてみれば…」

 カレンとカイルが同様の反応を示す。というのも、普通、あれぐらいの猛者にもなると、市街地襲撃に現れる事はまず無く、要塞攻略や防衛戦といった重要な戦闘にしか出てこないのだ。そもそもTBがUMSを完全せん滅する事を作戦内容としているため猛者クラスの数自体少ない。UMS側も貴重な戦力をむざむざ失うリスクを高めるよりは、という考えなのであろうが。

「…それが、あの時は出てきた。それも、それなりに強いというクラスじゃない。『殺戮人形姫』の二つ名の咲魔まで圧倒するほどの手練だ。…どう考える…?」

 カレンが少し下を向き、側頭部に人差し指をあてる。その思案の時間はそこまで長く続かなかったが。

「…様子見、じゃないか?この所、UMSの攻撃ペースは少しゆるくなっている。その分こちらが楽で助かるがそれは置いておいて、だ。グリパヘニルが発見されてから、ずっとこの調子だ。」

「つまりカレン、こう言いたいの?グリパヘニル攻略作戦の迎撃に当たって、UMSには何か秘するものがある。そのために、猛者も前線の戦力を見ておきたいと考えてる、って。」

「大体、そんなところだ。まあ、私の憶測にすぎないがな。わかった。隊のみんなには少しばかり敵の動きに警戒するように呼びかけておこう。」

「…頼んだ。」

 それだけ言い残して、ジストは歩き去って行った。

 ジストが作戦室を後にしてから、カレンは沈痛な表情をし、カイルに向けて言葉をかけた。

「…カイル、さっきの話とつながるようだが、どうも、何となく嫌な予感がするんだ。」

「君の勘、当たるからね。そう言われるとやな感じするな。…でもねカレン、何があっても、僕は君を思ってるから。絶対、守るから。」

「……」

 その言葉を聞き、カレンは少し赤くなり、そして、笑った。

「…ああ、よろしく頼む。だが、守られっぱなしにはならんぞ。」

「分かってるよ。」





 この二人は知らなかった。このカイルの何気ない言葉が、思ってもいない形で現実となる事を。

 皆に降りかかる衝撃も。

 何か結びが前回と似てますね。ハイ、駄目ですねこれは(駄目なのか?)。

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