異界の魔獣使い7
前置きが多すぎたのか話がなかなか進みません
どこが魔獣使い?と思われるかもしれませんが
おいおい進んでいく予定です。
7
太陽が眩しい。
今日も晴天になるようだ。
食事を済ませ片付けを終えたセルファたちは流れ着いた荷物を確認に川岸に向かう。
昨日までは助かることしか考えていなかったので、
荷物が流れ着いているなと思っていた程度だが、
大河を見れば今だ色々と流されているようだ。ほとんど見た限りでは魔道船の残骸ばかり。
川岸には流れの関係か、色んな物がかなり流れ着いている。
昨日みた、かつて人間だったものの一部とかは消えていた。
夜のうちに死肉喰いの妖獣か魔獣が掃除したのだろう。
「運べない大きさの物を見つけたら言ってください。ああ、川には気をつけて」
セルファはポケットからシラユキの首輪に付いていた宝石を取り出すと、
大河に向かって子供がよくする石を水面に飛ばす石投げをする。
綺麗にカットされていた宝石は、キラキラと光ながら何度か水面を跳ね大河に沈むと思われたのだが、
跳ねていく宝石に大口を開けた巨大な魚のような生き物にあっという間に喰われていた。
「ああなる可能性もあります」
つくづく昨日は運が良かったと思う。
犠牲者には悪いと思うが、大河にいた妖獣・魔獣の腹が満たされていたから襲われなかっただけなのかもしれない。
『すっげー。あんなのがうようよしてんだここは』
へーとカイが大河を見て言う。
『もったいな~い』
あのキラキラ石欲しかったなぁと思うシラユキだが、隷従とか追跡されるとかの意味を深く
理解しきっていないようだ。
「これで当面は大丈夫か、追手が追跡を辿っても、大河の中と分かればそれ以上は探さない。
希少な宝石でもこの中に入り探すのは無理」
シラユキの背に乗る小人族三人は、宝探しだと散らばった。
「とりあえず運べそうなものから見るか」
流れ着いているさまざまな木箱を物色する。
見つけた木箱は、はじから道具袋へといれてしまうことにする。
道具袋の大きさから見て普通なら入らないと考えられるものばかりなのだが、
一部の冒険者ご用達の何でも入るこの袋はかなり便利な品物だ。
買うにしてもまず売ってない。高レベルの冒険者にしか出回らないこともあって数は少ない。
(作られる数がなかなか増えないため、一般にまで出回ることがないのが理由なだけだが)
あらかた見える範囲にあった木箱を入れてしまう。
まだ川岸の水面に漂っている木箱もあったが、そちらは危険を考えあきらめることにした。
シラユキ達が見つけたものも、どんどん入れてしまい確認はおいおいすればいいだろう。
道具袋のなかにある限り、生ものだろうが腐ることもないのだ。
「こんなもんですかね。さて今後はどうするか決めますか」
『シラユキはセルファについてく』
『俺たちは、いずれエライザの森に帰れりゃいつでもいいって話し合った。
こうして生きてるだけでも運良いし、にーちゃんに付いてくのも面白そうだしな』
小人族の三人は、エライザの森は直ぐには無理と理解して話し合って決めたことを告げる。
「わかりました。とりあえず何年かかろうが、いずれはエライザの森へ連れて行くことを
私は約束します。そしてこれを見てもらえますか」
道具袋から取り出したのは、エブラード王国のおおまかな地図だった。
大河ムーリルヴァはやや太い線でかかれており、王都エブラードの位置が確認できる。
「私たちが流された大河ムーリルヴァですが、現時点ではどの場所に居るかわかりません」
王都エブラードから、大河ムーリルヴァの下流にある地方都市ムルヴァーラ
「このムルヴァーラの方が近いはずなので、ここを目指します。
魔獣使いになるためのツテはあるのでその辺は大丈夫かと思いますが、
何年かかるかわかりませんが魔獣使いの里へ行き
訓練することになるので、シラユキ覚悟しておいてください」
『セルファさんツテって、このムルヴァーラに魔獣使いの知り合いの方でもいるのですか?』
「ええ。友人が住んでいるはずです。黒い狼系の魔獣を使うんですがね」
ムルヴァーラまでは空からの魔道船なら半日、馬車で3日、徒歩で1週間ほどの距離になる。
かなり流されていたので、徒歩の半分ほどの距離を歩けばたどり着く可能性が高いと考える。
大河ムーリルヴァに平行した石畳の道が整備されているため、迷うことは少ない。
道中の妖獣・魔獣に夜盗さえ注意していれば良いだけだ。
「本来なら、この大河ムーリルヴァを船に乗り下る手もなくはないのですが、
そのための大型船もなければ妖獣・魔獣除けになる魔方陣もないためできません。
ここは地味に歩くしかないです」
こうして大まかな方針が決まったことで、セルファは魔獣使いになるべく進みはじめることとなる。
読んでくださりありがとうございます。
感想、誤字、文法の間違いの指摘ありがとうございます。
おいおい直していく予定ですので、しばしお待ちください。