異界の魔獣使い3
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「野営の準備した方がよさそうです」
白雪彪が気になるが、詳しいことは野営準備を整えてからのほうが安全だろう。
「白雪彪さん詳しくは野営準備後と言うことで、この場所は完全に安全かわかりません
ので少し移動します」
まぁ逃げたきゃ勝手に逃げてくれてかまわないのだが、くつろげるよう野営準備して
からで遅くないだろう。
セルファは野営準備の為に、道具袋から結界石を4つ取り出す。
精霊契約が切れてしまい、精霊魔法が使えなくなってしまった不便さは多少ある
のだが、結界石さえあれば周辺にいる魔物を寄せ付けることはないだろう。
ただし、すでに結界の中にいる魔物に関してはその限りではないが
野営準備に必要な広さの四方に石を置き。中心に魔よけの魔方陣を展開させると、
大人が3人余裕で眠れる大きさのテントを取り出し設置する。
テントの幅を利用して紐を結び、濡れた衣類をそこにひっかけ濡れた衣類をそこで乾かすことにする。
魔方陣からそれほど離れていない場所に火の準備をすることにして、
その辺に落ちていた枯木を集められるだけ集め、簡易竈を作るための石もいくつか探し出し準備する。
「こんなもんかな」
安全面が気になるところだが、とりあえずは休む必要があるだろう。
『セルファ感謝するわ。人間でも良いやつはいるのね』
隷従の首輪をはずしてもらって白雪彪は、毛づくろいしつつそう告げる。
「さてそれはどうでしょう。それよりも、これからどうしますか?」
所持していた簡易食で簡単な食事をすませ、ぎこちない様子の小人族へ聞く。
樽の中にいた小人族は女の子2人と男の子1人だった。
お姉さんな感じがエル、やや恥ずかしがりな子がミル、男の子はカイと言う名で
白雪彪の世話をする為に船に乗せられたらしい。
彼らも無理矢理、住み慣れた森から連れ去られ人間に隷属を強いられたらしい。
「王都では隷属する者は、犯罪者以外は禁止されたはずですが、
どこにも馬鹿はまだまだいるようです」
『セルファさんありがとう』
『ありがとな』
『ありが…とうございます』
助けてもらった礼を言われるのは悪い気はしない。
小人族をこうして近くで見るのははじめてだが、なかなかに小さく愛玩用に
隷属させたくなる気持ちも分からなくはない。が、セルファ自身隷属することには反対だ。
人であり他種族であろうが、犯罪者でない限り隷属し、自由を奪う権利はないと思っているからだ。
『セルファ、名前頂戴。名無しはなんか嫌だし』
「そうですね。貴方は白雪彪ですし、安直ですがシラユキはどうでしょうか?
異界語の言葉ですが、白い雪と言った意味ですが」
異界語、聖王と呼ばれるユウキ・スガワラの故郷の言葉だと教える。
『シラユキ…私はシラユキ!わかったわ』
「気に入ったようでなによりです。省略して呼ばせたければユキだけでも良いでしょう」
『セルファさん助けて貰ってなんなのですが、お願いがあるのです』
小人族のエルがそう告げる。
「なんでしょうかエルさん?」
だいたい何が言いたいか分かるような気はするが、セルファは聞いた。
『森へ帰りたいのです。私たちが住むエザイラの森へ・・・連れて行ってくれませんか』
やはりと思う。元居た場所へ戻りたいと誰もが思うことだ。
「…残念ですが、今は無理です」
そう言われた小人族が泣き出すのは当然で、助かった喜びもつかの間奈落へと落とされた気分だろう。
連続投稿です。よろしくお願いします。