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異界の魔獣使い28

少し間があきました。

28


数で言えば20はいかないくらいだろうか、ラーガが告げたタクサンノナニカは、すべてミイラ化した鬼人族のようである。


「この人たちは…」


グルグが不思議そうに聞いてくる。


「たぶんですが、鬼人族の術師…」


頭部には1本または2本の角、ミイラ化しているとは言えボロボロになった服装は術師のものとわかるものだ。


「ちっ!面倒だぜ。おいこの部屋は、このままにして引くぞ。部屋の中のもの触るな!持ち出すな。命おしければだ!」



ライズはまさか自分がこれに行き当たるとは考えもしなかった。


「反対側見に行ってる連中を呼び戻し、地上へ戻るぞ。この地下にあるものは、死にたくなければなんであれ持ち出すな」


なんて面倒なものが、ここにあるんだとライズはこれからのことを考えているようだ。


「スーズさん。副長は何をあわてているんですか?」


「ここに鬼人族の術師らしき者がいるからです。聞いたことありませんか?鬼人族は、悪魔封じをする術師だと…」


鬼人族とは、外見の角を除けば人族とさしたる違いはないのだが、人族にはない特性として悪魔封じの能力を持つのだ。

彼らなくしては、魔族との戦いに勝利することも出来なかったわけだが、ここに20近くいる鬼人族の術師がいると言うことは、この部屋のどこかに悪魔を封じたままの何かがある可能性が高いのである。


「あれは御伽噺じゃなかったのですか?昔祖父から鬼人族の術師の物語は聞いたことありますが…」


鬼人族は、町でもよく見かけるし自分と顔見知りの鬼人もいるが、悪魔封じとかいった仕事をするような者はみたこともない。


「どんな話を聞いたか知りませんが、今でも悪魔は居ます。鬼人族の術師も一般人の知らないところで活動しているのは確かです」


悪魔は生き物ならなんでも寄生する。

魔族との戦いでも熾烈だったのは、人に悪魔が寄生し知らず魔族を呼び寄せ気づけば滅んだ村や町が数知れずになるからである。


「鬼人族の術師は、物に悪魔を封じ封印するようです。封じ物に使う物が、どのような基準で決めているのかは知りませんが、悪魔を封じた物が壊れた時に再び悪魔は復活すると言われています。御伽噺で知っていると思いますが、悪魔は魔族を率いて、この世界を滅ぼそうと虎視眈々と狙っています。物語は誰もが知っていますが、冒険者はみなこの話を馬鹿にはしません」


冒険者ギルドでは、冒険者が手に入れた宝の鑑定がされる。それが悪魔憑きの物でないか確認の為だ。物に封じられていた悪魔は、解放された時は一番身近にいる生物を糧とし、二番目に目に付いた者に憑く。そして憑かれた者が悪魔憑きになるのだ。


「では副長が言う。触るな。持ち出すなは…」


ほんの出来心で持ち出した物が悪魔封じされた物であった場合。持ち出した者が糧になり、その周囲の誰かが悪魔憑きになる可能性があるからだろう。


「死にたくなければとしか言えないですね」


面白そうできてみれば、結果がこれだとは…


「念のため結界石の用意しておいて良かったぜ。おい!お前ら何も持ち出ししてないだろうな」


ライズが部屋への入り口で結界を展開させる。こうしておけば誰かが入るのを防げるからだ。


「持ち出すもなにも、そこにいる鬼人族の術師みただけですよ。まぁ不安はわかりますが、なんなら後で聖水なり聖別された物触るなりしますよ」


呆れたように、スーズはライズにぼやく。


鬼人族がどうやって悪魔憑きを見分けるかは知らないが、一般には聖別された物に触れさせることで見分けるのが知られている。


「副長、悪魔って悪魔憑きって今もいるってことですか?」


ずっとただの物語と思っていたことが、覆され信じ切れていないようだ。


「下っ端連中は知らんものが多いが、秘密裏に悪魔憑きが起こした事件は結構あるぞ。街に住んでる人間も御伽噺としか考えていないようだが、お前も職位上げた時にその説明受けることになる。俺だって最初は信じていなかったからな」


なんにせよここに簡易だが結界をはってしまえば、鬼人族の術師がくるまでの応急処置になるだろう。


「ところでライズさん。戻ったら私はまた牢屋行きですか?」


「んなもんなしだなし!お前のことよりこっちの方が最重要だからな。とりあえず連絡取れるようにはしておけ」


どうやら悪魔がここにいるかもしれないと言うことで、スーズがしでかしたことは後回しにすることに決めたらしい。


「わかりました。上戻ったら私への連絡は、魔獣ギルドへお願いします。依頼で留守してなければ、そこで大体の連絡はつくはずです」


「わかった。ただこのことは内密にしろよ。いらぬ混乱は避けたい」


「ギルド長くらいには、話す許可ください」


どちらにせよ、国の上位貴族と各ギルド長へは後ほど緊急で連絡が行くはずである。

鬼人族の術師に部屋の検証をしてもらわなければならないだろうし、いつの時代の術師かも調べる必要が出てくる。

そうなると、厄介なことにこの街に自分の顔見知りが来る可能性もある。


「ああその辺は大丈夫だな。一般に広まりさえしなきゃ何とかなるはずだ」


街中の地下とはいえ、ここまで規模が大きいあの鬼人族のミイラの発見は初めてのはずだ。かなりの術師も集まってきそうである。











次から元の話にもどします。

とりあえず悪魔憑きは、悪魔を封じこめた物が壊れない限り憑かれることはありません。なので知らずそんな物を持っている人もいるかもしれません。

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