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異界の魔獣使い20

20



まず最初にすることは、チュリム伯爵を知る人物がいると思われる畜産科を探すことである。


「君、すまないが畜産用に研究されている魔獣に関する場合は、誰に相談すればよいんだ?」


どこの受付で良いのかわからず、総合窓口案内に聞く。


「畜産用となると、畜産科のウォルフナー先生の研究所になります。畜産科は、別棟に

なりますので、この建物をでて左にある建物へ行ってください。そこで大体の実習などが行われているはずなので、詳しい質問はそちらで聞いた方が早いです」


「わかった。ありがとう」


「どうしてですか?チュリム伯爵のことと、畜産用の魔獣って関係するんですか?」


チュリム伯爵の、現状を訴えたのが何故こうも話がずれていくのかわからないリファである。


「チュリム伯爵が、畜産用の魔獣に精通していたのなら、ここにも知り合いがいるはずだからだ」


「「???」」


スーズが言うことの意味が、まったくわからないリックとリファであった。



◆◆◆◆◆




畜産科の厩舎は、かなり独特な獣臭さがあり、何種類かわからないが食肉用、生乳用、獣毛を利用する魔獣が研究されている。


「なんか変な顔だな」


リックは柵の向こうに見える魔獣を見て言う。


「メルファーとピグリスの外見を持ち合わせているように見えるが…」


顔がメルファーで体毛の柄がピグリス。

メルファーはイノシシで、ピグリスは柄のある豚と思っていただけば良いだろうか。

どちらも食肉できる魔獣だ。

どうやらここは魔獣のなかでも、食肉に向いた獣を交配させている場所のようである。


「あそこに誰かいますね、私聞いてきます」


リファは数人の実習生らしき者がいるほうへ、走っていく。


「ウォルフナー先生みつけましたよ~」


リファの横に立つ杖をついた年配の男性が、探していたウォルフナー先生らしい。


「君たちは…?ここで話もなんだからワシの部屋へ来てくれたまえ」


側にいる実習生に、しておくことを指示すると部屋へと案内する。


「さて散らかっているが、適当に座ってくれ」


ウォルフナーの研究室は、来客用のソファがある場所以外は、全て畜産用の書物など所狭しと散らかり放題である。


「ワシに何の用かね?冒険者に見えるが?」


杖を傍らに置いて、向かい側のソファに座る。


「はじめまして。私はスーズと言います。こちらの二人は、タリム村からきた冒険者のリファとリックです。魔獣の畜産改良で、チュリム伯爵と言う方がいるのですがご存知ありませんか?」


「知っとる。古い友人の一人じゃな。向こうは20ほどワシより年下だが、それなりの評価はされおるはずじゃな。ここ最近は便りがないが、あれは研究馬鹿なところがあるから改良にのめり込んでおるんじゃろうな」


確かに10年ほど前までは、そうなのだがその後を知りたいのだ。


「チュリム伯爵ですが、代替わりして息子さんが領地を治めているそうです。ここ10年ほど本人の姿は見えないようです」


「はっ……?今なんと言った?」


「息子さんが…」


「チュリムに息子などおらぬぞ。研究馬鹿が講じて、結婚もしていないはずじゃ。養子の話もまったく聞いたこともない」


「じゃあ、あれは誰だよ!近隣の村から若い娘浚ったり、したい放題やってんだぞ!」


リックは、浚われた娘たちの現状などをこと細かくウォルフナーに話す。


「妙じゃの?4年前ににチュリムの名で、論文が発表されておる。見た限りでは、本人の筆跡であった」


となると4年前までは、確実に生きていたと言うことだろうか?


「気になるようであれば、貴族院へ問い合わせしてみればどうじゃ?あそこは婚姻や養子の記録が残されておるはずじゃ」


ウォルフナーからは、それ以上の成果は得られなかったがチュリム伯爵の息子?と言う新たな謎が出てきたのであった。

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