1981年 夏 彩
きょうもハンバーガー屋さんの前で赤信号を待っていた。
たくさんの制服たちが並んでいた。
うちの制服はシンプルで白いカッターシャツに紺のスカートだけだった。
左腕のところに薄い色で英語で校名が入っていた。
この町では、有名な制服だった。私も中学校の頃からあこがれていた。
さっそうと歩く姉さんたちはかっこよく輝いてみえた。
今年からわたしもその一員となった。学校は長崎の高台にあり、学校からは長崎の町が一望できた。
信号がすすめを示した。いつものように、大学病院前の電停を目指してすすみはじめた。
浦上川に架かる橋の中央まで進んだところで、制服の男子高校生が二人が目の前に進んできた。
「こんにちは。僕たちバンドやっているんだけど、今度原楽器でコンサートやるんだ」
背の高い色の黒いひとが声をかけてきた。制服は近くの男子校の生徒だった。
「音楽に興味ありますか。僕たちはアリスのコピーをやっています。ほかにも3つバンドが出ます」
「私、アリス大好きです。お父さんがよく聞いています。いくらなんですか」
思わず私は反応した。
「本当は、500円なんだけど、今日初めての方なので300円でいいよ」
色が黒い目がくりっとした人が背の高い人をチラッとみて答えた。
「いつですか」
「7月26日。夏休みの最初の日曜日」
「ふうん。友達と行こうと2枚ください」
小さい赤い財布から600円出した。
色の黒い男の子は赤いチケットを渡しながら
「500円でいいよ。ありがと。きっとみにきてね」
「7月26日だから。レーテというバンドだよ。一番最後に出るから」
背の高い男の子もニコニコしながらいった。
チケットは手作り感たっぷりだった。
受け取って、また電停をめざした。
男の子たちはほかのうちの制服に声をかけている。
長崎では今高校生バンドがあつい。
どんな演奏をしてくれるのだろう。
もうすぐ5時だというのにまだまだ高く、セミの鳴き声がしていた。
もう梅雨が明け夏が始まろうとしていた。
何かがおおきく変わろうとしているように思えた。