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7/9

招かれざる客

この7話は残酷な描写があります。

お手数ですが、ブラウザバック等お願い致します。

闇バイトの収益ルートを掌握し、自動的に資金が転がり込むシステムを構築してから数日。

事態は思わぬ方向から動いた。


『ピンポーン』


高級タワーマンションの自室。俺――石田拳也がくつろいでいると、無機質なインターフォンの音が鳴った。

モニター越しに確認すると、スーツ姿の男女5人が険しい顔で立っている。その出で立ちと空気感で、一目で警察の捜査員だと分かった。

どうやら、明らかにおかしい金額が流れ込んでいる俺の偽装口座を辿り、契約時に使った偽名とこの部屋番号まで嗅ぎつけてきたらしい。


「有能なアリもいたもんだ」


俺は軽く息を吐いた。

ここで居留守を使ったり、力ずくで追い返したりしても不審に思われるだけだ。穏便に済ませて、適当に誤魔化すのが一番賢い。何かボロが出たとしても、俺の力があればどうとでもなる。

玄関のドアを開けると、先頭に立つ初老の捜査員が警察手帳を突きつけてきた。


「石田拳也さんですね。署まで任意同行をお願いできますか」


「ええ、構いませんよ。ご苦労さまです」


俺はふっと人の良さそうな笑みを浮かべ、目線を落としながら、何気なくパーカーのポケットに手を入れた。

スマホか財布でも取ろうとした、ただそれだけの動作だった。


「何をしている! 武器か!?」


極度の緊張状態にあった若手捜査員の早とちりだった。

彼が血相を変えて、俺に向かって飛びかかってきた瞬間――俺の『防衛本能』が勝手に弾けた。



ドシュッ!!


「うっ……ぐはっ……」


俺の影から凄まじい速度で射出された漆黒の『触手』が、飛びかかってきた捜査員の腹を深々と突き破っていた。

口から大量の血を吐き出し、捜査員の身体が串刺しになったまま宙に浮く。


先日、あの大学生を締め上げた際に「攻撃手段としても使えるのでは」と思い、夜の街でチンピラ共を狩って練習していたのが、完全に裏目に出た。


「あーあ。穏便に済ませようと思ったのに」


「ひっ……!? な、なんだこれはぁっ!?」


目の前で後輩が宙吊りにされ、血の雨が降るのを見た別の捜査員は、腰を抜かして後ろに倒れ込んだ。

さらにその後ろにいた捜査員たちが、弾かれたように特殊警棒を伸ばし、スーツの内側に付けた無線機に向かって怒鳴り始める。


「至急至急!!こちら高木、対象が抵抗――」


応援を呼ばせるわけにはいかない。

俺は何も考えず、さらに5本の触手を展開した。

1本は、腹を突き破った男のスーツから無線機を強奪。

3本は、目にも留まらぬ速度で他の捜査員たちの懐に潜り込み、同じく無線機を引っ張り出して破壊した。

そして最後の1本は、通信を試みていた女性捜査員の『額』へと直接めり込ませた。


「あ……がっ……」


血は出ない。物理的な破壊ではなく、脳の神経ネットワークへの直接干渉だ。

彼女の眼球が上転し、意思とは無関係に口が勝手に動き始める。


『……こちら高木、対象に異常なし。以上』


無機質な声で無線に応答させると、通信を切断した。

これで5名中2名は完全に行動不能。だが、残った3名のうちの1人、屈強な体格をした捜査員が、恐怖を怒りで塗り潰して俺の本体へ突進してきた。


「この化け物がぁっ!!」


俺は新たな触手を出して彼の両手足に巻き付け、空中で雁字搦めにして取り押さえる。

そのまま俺の身体の目の前まで引き寄せると――自らの脇腹の肉を蠢かせ、そこから『新しい腕』を1本、生やした。


「なっ……!?」


俺は新造したその腕を、拘束されて身動きが取れない捜査員のへその辺りに、ズブズブとめり込ませた。


「がっ、あ……ぁぁぁぁっ!?」


腹の奥底を直接かき回される、うにょうにょとした生々しい感触が俺の脳にも伝わってくる。

捜査員は白目を剥き、口からカニのように泡を吹きながら、自分のへそに突き刺さった俺の異形の腕を、震える両手で必死に掴んでいた。


(あれ……なんかこの前の、大学生の彼に似てるな)


既視感に、思わずくすっと笑みがこぼれてしまった。

限界を迎えた捜査員の意識が途切れ、首がガクンと垂れ下がる。

奥を見ると、腰を抜かしていた捜査員も恐怖とショックで気絶していた。

残るは1名。

額に触手を刺された女性捜査員の後ろで、特殊警棒を俺に向け、ガチガチと全身を震わせて仁王立ちしている若手の女性捜査員だけだった。

俺は触手で彼女の首に巻き付き、ズルズルとこちらへ引き寄せる。

そして、両手で彼女の頭部を鷲掴みにし、その『記憶』の奥底へと直接アクセスした。



「う、うぎゃああああああああっ!! やめてええええっ!!」



脳を直接かき回される激痛と恐怖に、彼女は涙と鼻水を流し、俺の腕をバンバンと叩いて抵抗する。


「うるせぇな。目ん玉潰すぞ」


俺が低く、絶対的な冷たさを込めて呟くと、彼女はヒッ、と息を呑み、声を殺して嗚咽を漏らしながらピタリと黙り込んだ。いい子だ。

彼女の脳内から、ここに来ることになった経緯、警察がどこまで情報を掴んでいるのか、上層部の動きなど、すべての情報を閲覧し終える。なるほど、大東神社会が尻尾を出したのが発端か。


「情報提供、感謝するよ」


俺は彼女を床に解放すると、血まみれの玄関を指先一つで浄化した。

そして、腹に風穴が空いた男をはじめ、気絶している5名全員に【完全治癒】と【蘇生】の魔法を施し、さらに【催眠】で『ここに来てから今までの記憶』を綺麗に改ざん・消去した。


数秒後。

ハッと我に返ったように、5人の捜査員たちが目を瞬かせる。彼らの体には傷一つなく、服の汚れすらない。


「えっと.....石田拳也さん。署まで任意同行をお願いできますか?」


「ええ、構いませんよ。ご苦労さまです」


俺は先ほどと一言一句違わぬ会話を交わし、パーカーのポケットに両手を突っ込んだまま、人の良さそうな笑みを浮かべて玄関を出た。


「さあ、行きましょうか。」

少し残酷にし過ぎました.....。

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