次期女王陛下の従妹も思考回路的には脳筋です
前に投稿した話の裏話的(フレアside)なものです。
前作を書いた後に書いたので、多少の矛盾はあるかもですが、あまり気にしないで見てください。
私はフレア・グラド。
ハルモニア王国の公爵家令嬢です。
私のシルフお姉様は世界で一番綺麗な方です。
あ、シルフお姉様は、シルフ・グラオといって、やはり同じ公爵家の令嬢です。
というか、あちらの方が本家にあたります。
早い話、私の父とシルフお姉様のお父様が兄弟ですわ。
なので幼い頃から私とシルフお姉様と、もう一人の従姉妹であるフローラは歳が近いこともあり、よく一緒に居ました。
フローラはこの一族には珍しく物静かでおとなしい子ですが、シルフお姉様は色濃くこの一族の血を引いており、5歳の頃には、公爵家騎士団に混じって剣を振り回しておりました。
その姿がなんと言っても愛らしくて、美しくて。
私は、心を奪われてしまいまし。
成長されてからも、美しくて美しくて、四六時中見ていたいほどです。
そんなシルフお姉様の最大の悩みは、婚約者であるアルフレッド王太子です。
現女王陛下、国王陛下の唯一の子ですが、男尊女卑思想が強い人間です。
また、頭が少し残念です。
剣の腕自体は立つようですが、お姉様に負けてしまうために、霞んでしまいます。
尤も、お姉様に勝てるのなんて、この国では、ギルバート殿下か、今の騎士団長くらいしかおりませんが。
そのせいか、アルフレッド殿下はシルフお姉様に口うるさく辛く当たります。
お姉様は色々諦めたのか、必要最低限の注意をするだけで、放置を決め込んでます。
それでも、必要最低限の注意を差し上げるだけ優しいと思いますわ。
ちなみにでもないですが、お姉様のこの婚約、発端は殿下がお姉様に一目惚れしたことにあります。
でなければ、グラオ家唯一の子どもであるお姉様が、王太子殿下に嫁ぐことはありません。
だって、殿下に何かあった場合、次の王位継承者は、女王陛下の弟君であられるギルバート殿下か、女王陛下の兄である我らが祖父の家系からです。
流石に祖父は年齢的に無理がありますので、祖父の長男の子であるお姉様になります。
残念ながら、シルフお姉様のご両親は亡くなられておりますので。
それでも、無理となれば我が家とフローラの家から、更にそれでも問題があれば先代のご兄弟の血筋である他の公爵家から出されるでしょう。
こんなわけで、血がかなり近いのと、政略的な意味も含めて、本来我が家と王家は少なくともしばらくは結婚はしないだろうと思われてました。
それを、王太子殿下の一目惚れで覆しました。
犯罪ではないですし、それで仲睦まじく、国がおさまるのなら、他の公爵家や貴族達も何も言いません。
現状、国はだいぶ平和だからです。
なのにですよ。
この状況です。
なので、私、あえて王太子殿下に冷たくしなかったんです。
お姉様は王太子殿下に冷たくしていました。
なら、普通に接した私に靡いて不義なことでもしてくれれば、破滅に追いやれるかなぁと。
お姉様が怒らなくても、女王陛下がブチ切れて婚約破棄にするかなぁと。
そのくらいの考えでした。
女王陛下夫妻は、一人息子の王太子殿下には甘いですが、同時に厳しくもあります。
不義なんて赦さないです。
とはいえ、私自身が傷物となって我が家や本家の名に傷がついては問題ですので、あくまで普通に接しただけです。
そしたら、これですよ。
卒業式典で、お姉様をエスコートせず私のエスコートに名乗り出ました。
この話が来た時点で女王陛下、国王陛下にはご報告済みです。
婚約破棄に傾いていましたが、あろうことか、その式典の場で婚約破棄の見世物のような茶番を行いやがりましたわ。
これには、周りも騒然としました。
同学年の者たちからしたら、二人の仲が冷え切ってるのはわかってましたし、王太子殿下の性格や成績もわかってました。
が、ここまでアホだったかと。
しかも、家名を間違う挙げ句、「頭でっかちの脳筋」とかいう理由のわからないことをのたまいます。
あれには、令嬢たちは扇で口元を隠してプルプルしてましたし、令息達も声を出さないように俯きながらプルプルしておりました。
みんな、笑いたかったのでしょうね。
で、打ち合わせ通り女王陛下と国王陛下が現れて、茶番は終わり、男尊女卑発言で女王陛下に見切られたのか、王太子殿下は元王太子殿下となりました。
廃嫡です。
が、やはり一人息子だったからか、王籍は抜くが、一応公爵としては扱うことになったそうです。
ま、更にやらかしたら平民落ちさせるとは言ってましたが、この国、別に平民だからってそこまで人権ないとかないですからね。
次の王太子は案の定ギルバート様です。
が、問題はここからです。
「王弟殿下が、王太子なのは構いませんが、お姉様がなぜ婚約者になるのですか!!」
「別にいいだろうが。元々、あの馬鹿が横槍入れなければ、俺がシルフと婚約して結婚する予定だったんだ」
「お姉様は私のものです。渡しません」
「いや、俺のだ」
私と殿下で喧嘩になりました。
この喧嘩で、ふたりともお姉様に鞘におさまっていたとはいえ、そこそこ本気で剣で殴られました。
そんな、暴力的なお姉様も素敵です。
いつ見てもお美しいです
「お姉様、お姉様は良いのですか?王家に振り回されて」
「ギルくらいだろ。私より強い人。それに、嘘ではないからな」
え?
どれがです?
「だから、本当に俺はシルフが5歳になる前から、シルフを婚約者にって言ってたんだよ。けど、シルフの年考えやがれって、姉貴がぶん殴ったから我慢してたのに、ああなったんだよ」
殿下が恨めしそうに女王陛下を睨んでいます。
今は内々の集まりだから、ある程度は何しても許されます。
そして、女王陛下は気まずそうに目を逸らしてます。
多分忘れてたんですね。
「フレア嬢的には思うところもあるだろうが、国外に強い人間見つけて、飛び出されるよりはマシであろう」
国王陛下が優しくおっしゃられます。
お姉様ならやりかねませんからね。
というか、もしかして……
「婚約破棄されなかったら、逃げ出してました?」
「そこまで薄情ではない。が、外交だと言って一人で飛び回る可能性はあったな。その間、私より先に別の女に手を出したとかしたら、不義だって離婚に持ち込みはするがな」
物理的に手を出されなくして、あれの有責で別れる気だったんですね。
さすが、お姉様。
強かですわ。
一応、我が国の決まりとして、上位貴族以上は複数の妻や夫を持てます。
現女王陛下の配偶者はおひとりですが、先代の国王陛下は4人の妃がおりました。
正室に手を出さないのに、側室に手を出すのは言語道断です。
もちろん、側室でもない人間に手を出すなんてもってのほかです。
そうなれば、国王陛下や女王陛下でも糾弾され追放されかねません。
手を出したうえで子どもが生まれないのなら、仕方ないかで済んだりもします。
人や家によりますけど、王家は仕方ないですみます。
事実、先代国王陛下は正室との間に子がいませんでしたので。
「そしたら、俺が辺境に連れ去るだけだったし」
やりそう。
殿下の領地は辺境ですからね。
国防のためですが、辺境に連れ去られましたら、なかなか行けません
「シルフ。幸せにするからな」
「え?あぁ、うん」
珍しくお姉様が赤くなられました。
とても可愛いです。
この可愛らしい生き物なんですの?
これはこれでいいですね。
今までクールでしたお姉様が、ギルバート殿下といる時にだけ、恋する乙女になるのはありですわ。
これはお二人でいる所を愛でるしかありません
「フレア嬢、フローラ嬢。脳筋のふたりを支えてくれ」
「もちろんですわ」
「えっと……出来る限り頑張ります」
お姉様達の治世、このフレア・グラドが守ってみせますわ。
何人たりとも邪魔させませんわ
一応これで、シルフの婚約破棄話は終わりです。
かけたら他国の話やほかのカップル(という表現でいいのか?)の話も書いていこうと思います。




