ご注文、チョッピ入ります!!
訂正、日ノ宮→火ノ宮
――叶うなら、もう一度彼の地を踏みたい。
――火ノ宮より先は、日本ではない。
――黄金郷エルドラドは、確かにそこにあった。
火ノ宮――
古来より人々に敬われ尊ばれてきた地。
時の加奈子女王も幼い皇子を伴い静養のために訪れたという。
瑠璃子も古典の授業で何度か耳にしたことがある。
だが、それは教科書の中の話。
現在は深刻な過疎地のひとつである。
けれど、この地には今なお人を惹きつける「何か」がある。
最期の旅路をこの地に決めたのも偶然ではないのかもしれない。
キキーッ、キキーッ…
――まもなく火ノ宮駅、火ノ宮駅に止まります。お出口は右側です。お気をつけて降車してください。
――ハッとした。
瑠璃子は車内アナウンスで目が覚めた。
慌てて、リュックを背に背負い降車口から降りたった。
降りたのは瑠璃子の他に二人。
ガランとしたホームにヒューヒューと風が吹き抜ける。
しかし、プラットフォームに足を下ろした瞬間、空気が変わるのを感じた。
その時。
グゥ~〜〜
「あっ」
生きとし生ける者の特権、空腹。
盛大に腹がなった。
そういえばまだ朝食も済ませていない。
隣の雲雀がそれを見てニンマリと笑う。
「腹が鳴っては戦はできぬ。ご飯さがすよ!」
さっそく、駅周辺の飲食店を探すこととなった。
***
駅前のを抜け、少し裏地に入った場所にその店はあった。
――めし処 よろず屋一膳。
木造の低い建物が肩を並ばせ並んでいた。
もちろん、人通りは他にない。
「…やめようよ。ここ、どう見ても一見さんお断りだって!」
「常連客だけで店回してるやつ!!」
「ぜったい、なんだあいつって目で見られるよ!」
雲雀に止められたが、瑠璃子はなんだかこの店に引き寄せられるような感覚がして、店の戸に手をかけた。
――ガラガラガラ
店に踏み入るとすぐに感じの良い、割烹着姿の年配の女性が出迎えてくれた。
「いらっしゃい。ひとりかい?」
「はい。」
店内はこぢんまりとしていて、カウンターが5席、奥に小上がりが二卓、厨房の奥では寡黙そうな店主が姿をちらつかせる。
客は瑠璃子の他にいなかった。
「これ、メニュー表ね。ゆっくり選んで。」
そう言って差し出されたメニュー表を見て瑠璃子は驚愕した。
――チョッピ!?
何やら可愛らしい響きだ。
鯖の煮付け、肉じゃが、ほだか煮といった
家庭料理が並ぶ中に突如としてカタカナ。
(これはたのむしかない。)
「チョッピお願いします!!」
迷わずチョッピを注文した。
「あいよ!」
厨房から店主の頼もしい声が聞こえる。
今や今やとオーダーを待ち構えることかれこれ30分。
――ついにチョッピが姿を表す。




